燦々(さんさん)と
【丘陵地帯 風のキャンプ】
風車が重たそうに回っている風のキャンプ
族長ジェスのテントのキッチン
鼻をひくひくさせて革袋の臭いを嗅いで、顔をしかめるグレイス
革袋の中身を鍋にぶちまける
腐臭を放っている乳製品
グレイス:「こんなに悪くなるのが早かったかしら」
ジェス:「どうした?」
グレイス:「最近、物が悪くなるのが早くて困るわね」
ジェス:「そうだな、ちょっと暑いな、この所」
のろのろと回る風車の羽の向こうで太陽がぎらぎらと燃えている
【海上 マリア・アズーラ号】
光る波間を漂うマリア・アズーラ号
小山のような氷山が漂っている
氷山の頭は、波間にいくつも見える
渋面を作る、サングラス姿のベルタ
【聖都スクード 騎士団本部】
強烈な光りを発し、中天に輝く太陽
騎士団本部にある、ひっそりとたたずむ、陸のような盛り上がった聖廟
【星の騎士団本部 聖廟 外観】
物言わぬひんやりとしているたたずまいの聖廟
どこに入り口があるのかまったく分からない建物
【聖廟 地下牢獄】
ローソクの薄明かりしかない聖廟内部
水滴すら落ちない乾いた空気の中で揺れる炎
深皿のような牢獄の中、フレイがうつぶせに倒れている
フレイ:「・・・」
頭を抑えて起き上がるフレイ
頭痛の種は2日酔いでも打撲でもなく、ワインに混ぜられていた眠り薬
フレイ:「どこだここは?」
まったく人の気配がない、深皿のような室内
わずかな声や物音も反響をするようである
深皿の底にいるフレイ
どうあっても登って脱出できそうにもない場所
【ゆりかごの森 スーリヤの庵】
対話をしているスーリヤとセレン
セレン:「私たちは、これからどのような道を歩んでゆけば良いのでしょう?僅かのつながりしかないこの世界と、もう一度共に生きていくためには?」
スーリヤ:「星の呪いを解く、しかないのかねえ?」
セレン:「星の呪いを解く?」
スーリヤ:「今のあんたたちに欠けている星の声を聞くのさ。7人が揃って、初めて何かが分かるのかもしないねえ」
セレン:「人の司る者は揃ったことがないから、分からないと?」
スーリヤ:「そういうこと」
ピクリと何かに反応するスーリヤとセレン
ゆるゆると庵の外に出る2人
【ゆりかごの森 スーリヤの庵がある庭】
恐ろしく鋭利な短刀を構えた白装束姿の者がスーリヤの庵を取り囲み、ジリジリと包囲の輪を狭めてくる
セレン:「これは?」
スーリヤ:「あんたに用があるみたいだね」
セレン:「ということは、『原初の闇』の手下?」
スーリヤ:「だろうね」
【山岳都市メンヒル 郊外の麦畑】
ずっしり実った麦の穂
一面黄金の波が打ったような麦畑の刈り入れ
丁寧に刈り入れをする、オーバーオールに麦わら帽子姿のサーラ
髪はシンプルに後ろでまとめてある
額の汗を拭き取るサーラ
こんがり日焼けした肌が美しい
サーラ:「・・・ふう・・・」
太陽を仰ぎ見るサーラ
サーラ:「ちょっと、張り切りすぎじゃないヒューマ」
頭上にぎらぎらと輝く太陽
アリアの声:「サーラ様」
声の方に向き直るサーラ
刈り入れが終わった麦畑を走ってくる、サーラと同じくオーバーオールに麦わら帽子のアリア
サーラ:(ピクリ!)
何かに反応して麦畑を見回すサーラ
のんびりとした麦畑の風景が広がっている
やってくるアリア
アリア:「サーラ様」
サーラ:「どうしたのアリア?」
アリア:「お客様ですサーラ様」
サーラ:「お客さん?」
アリア:「はい、サーラ様」
刈り入れの終わった麦畑の端で手を振る人影
燃えるような赤毛
デニムのショートパンツから伸びる白い太もも
赤のシャツに黒革のベスト
サーラ:「ミラン・・・」
サーラとアリアに走り寄るミラン
その様子を見ている麦畑に隠れる影
【大地の大聖堂 厨房】
かまどにパン生地を載せたトレーを入れるアリア
トレーを置いて、かまどを閉める
作業台では、サーラとミランが向かい合ってパン生地をこねている
サーラとアリアは平服にエプロン、ミランは普段着に赤と黒の縦縞のエプロン
額に汗を浮かばせているミラン
ミラン:「パンって大変なんだね作るの」
アリア:「パン、作ったことないんですかミラン様?」
ミラン:「うん、初めて」
サーラ:「疲れたミラン?」
ミラン:「楽しいよサーラ」
こねた生地を寝かせる棚がある
ミラン:「こっちは焼かないの?」
サーラ:「こうやって寝かしておくと、おいしいパンに焼き上がるようになるの」
ミラン:「自然になるの?」
サーラ:「そう。不思議なんだけど、寝かせないと美味しいパンにならないの」
ミラン:「へえ~おもしろいね」
サーラ:「不思議でしょ」
ミラン:「パンにも司る者がいたりして」
サーラとミラン「(笑う)」
アリア:「ちょっと火が弱いかな」
ふいごを手にするアリア
サーラ:「弱い?火が?」
ミランを見るサーラ
ミランの横顔が知らんぷりをしている
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。




