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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
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燦々(さんさん)と

【丘陵地帯 風のキャンプ】


風車が重たそうに回っている風のキャンプ

族長ジェスのテントのキッチン

鼻をひくひくさせて革袋の臭いを()いで、顔をしかめるグレイス

革袋の中身を鍋にぶちまける

腐臭を放っている乳製品



グレイス:「こんなに悪くなるのが早かったかしら」

ジェス:「どうした?」

グレイス:「最近、物が悪くなるのが早くて困るわね」

ジェス:「そうだな、ちょっと暑いな、この所」


のろのろと回る風車の羽の向こうで太陽がぎらぎらと燃えている





【海上 マリア・アズーラ号】

        

光る波間を漂うマリア・アズーラ号

小山のような氷山が漂っている

氷山の頭は、波間にいくつも見える

渋面を作る、サングラス姿のベルタ





【聖都スクード 騎士団本部】


強烈な光りを発し、中天に輝く太陽

騎士団本部にある、ひっそりとたたずむ、陸のような盛り上がった聖廟(せいびょう)





【星の騎士団本部 聖廟 外観】


物言わぬひんやりとしているたたずまいの聖廟

どこに入り口があるのかまったく分からない建物





【聖廟 地下牢獄(ろうごく)


ローソクの薄明かりしかない聖廟内部

水滴すら落ちない乾いた空気の中で揺れる炎

深皿のような牢獄の中、フレイがうつぶせに倒れている

フレイ:「・・・」

頭を抑えて起き上がるフレイ

頭痛の種は2日酔いでも打撲(だぼく)でもなく、ワインに混ぜられていた眠り薬

フレイ:「どこだここは?」

まったく人の気配がない、深皿のような室内

わずかな声や物音も反響をするようである

深皿の底にいるフレイ

どうあっても登って脱出できそうにもない場所





【ゆりかごの森 スーリヤの(いおり)


対話をしているスーリヤとセレン

セレン:「私たちは、これからどのような道を歩んでゆけば良いのでしょう?(わず)かのつながりしかないこの世界と、もう一度共に生きていくためには?」

スーリヤ:「星の呪いを解く、しかないのかねえ?」

セレン:「星の呪いを解く?」

スーリヤ:「今のあんたたちに欠けている星の声を聞くのさ。7人が揃って、初めて何かが分かるのかもしないねえ」

セレン:「人の司る者は揃ったことがないから、分からないと?」

スーリヤ:「そういうこと」

ピクリと何かに反応するスーリヤとセレン

ゆるゆると庵の外に出る2人





【ゆりかごの森 スーリヤの庵がある庭】


恐ろしく鋭利な短刀を構えた白装束姿の者がスーリヤの庵を取り囲み、ジリジリと包囲の輪を狭めてくる

セレン:「これは?」

スーリヤ:「あんたに用があるみたいだね」

セレン:「ということは、『原初の闇』の手下?」

スーリヤ:「だろうね」




【山岳都市メンヒル 郊外の麦畑】


ずっしり実った麦の穂

一面黄金の波が打ったような麦畑の刈り入れ

丁寧に刈り入れをする、オーバーオールに麦わら帽子姿のサーラ

髪はシンプルに後ろでまとめてある

額の汗を拭き取るサーラ

こんがり日焼けした肌が美しい



サーラ:「・・・ふう・・・」

太陽を仰ぎ見るサーラ

サーラ:「ちょっと、張り切りすぎじゃないヒューマ」

頭上にぎらぎらと輝く太陽

アリアの声:「サーラ様」

声の方に向き直るサーラ

刈り入れが終わった麦畑を走ってくる、サーラと同じくオーバーオールに麦わら帽子のアリア



サーラ:(ピクリ!)

何かに反応して麦畑を見回すサーラ

のんびりとした麦畑の風景が広がっている

やってくるアリア

アリア:「サーラ様」

サーラ:「どうしたのアリア?」

アリア:「お客様ですサーラ様」

サーラ:「お客さん?」

アリア:「はい、サーラ様」



刈り入れの終わった麦畑の端で手を振る人影

燃えるような赤毛

デニムのショートパンツから伸びる白い太()()

赤のシャツに黒革のベスト

サーラ:「ミラン・・・」

サーラとアリアに走り寄るミラン

その様子を見ている麦畑に隠れる影





【大地の大聖堂 厨房(ちゅうぼう)


かまどにパン生地を載せたトレーを入れるアリア

トレーを置いて、かまどを閉める

作業台では、サーラとミランが向かい合ってパン生地を()()()いる

サーラとアリアは平服にエプロン、ミランは普段着に赤と黒の縦縞のエプロン

額に汗を浮かばせているミラン



ミラン:「パンって大変なんだね作るの」

アリア:「パン、作ったことないんですかミラン様?」

ミラン:「うん、初めて」

サーラ:「疲れたミラン?」

ミラン:「楽しいよサーラ」



()()()生地を寝かせる棚がある

ミラン:「こっちは焼かないの?」

サーラ:「こうやって寝かしておくと、おいしいパンに焼き上がるようになるの」

ミラン:「自然になるの?」

サーラ:「そう。不思議なんだけど、寝かせないと美味しいパンにならないの」

ミラン:「へえ~おもしろいね」

サーラ:「不思議でしょ」

ミラン:「パンにも司る者がいたりして」

サーラとミラン「(笑う)」



アリア:「ちょっと火が弱いかな」

()()()を手にするアリア

サーラ:「弱い?火が?」

ミランを見るサーラ

ミランの横顔が()()()()()をしている

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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