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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
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恐れか裏切りか

太陽、月、大地、風、水、火ときて、星を司る者がいない理由です

【大地の大聖堂 控え室】


サーラの冷やし布を取り替えるヒューマ

ヒューマ:「マヒか・・・」

サーラ:「えっ?」

ヒューマ:「サーラの言うとおりかもしれないな。

 オレ達のしていることって危ないことばっかりだもんな。

 海じゃ遭難(そうなん)しかけたし、森や雪山じゃ魔物と戦ったり、普通じゃないことばっかりだもんな」

サーラ:「・・・」



サーラ:「5年前、あのまま村にいたら、私たち今はどうなっていたんだろう?私はあのまま太陽の巫女(みこ)でヒューマと太陽が昇るのを待っていたのかな?」

ヒューマ:「待っていなかったんじゃないかな」

サーラ:「そう?」

ヒューマ:「多分、村を抜け出して、探しに行くと思うよ。太陽を探しに」

サーラ:「私も一緒?」

ヒューマ:「そうさ一緒だよ。村を出ても出なくても俺たち一緒だよ。今だって一緒じゃないか」

サーラ:「そうだね」

ヒューマ:「ちょっと危なっかしいこともあるけど、俺たちはずっと一緒だよ」

サーラ:「これからも?」

ヒューマ:「これからも、ずっとさ一緒さ。危なくなったらオレが守ってやるさ」



ベッドに顔を埋めて()()()()らすサーラ

ヒューマ:「どうしたサーラ?まだ気持ち悪い?」

顔を埋めたまま頭を横に振るサーラ

サーラ:「嬉しくて嬉しくて、涙が止まりません・・・」

ヒューマ:「えっーなに?」






【スーリヤの(いおり)

        

ホタルが飛び交う庵で対話をしているスーリヤとセレン

セレン:「それで、その戦争というのは?」

       


()()()の映像

 ピカピカの鎧に身を包み、さっそうとペガサスにまたがる騎士団の若者達。

 飛び立つベガサス。彼らに希望を(たく)して手を振る人々


スーリヤ:「今でもハッキリ覚えているよ。

 星の力を借りた騎士団がペガサスにまたがって天地を駆けていった。それは(りん)としていてね。

 人間たちの希望の光だったんだよ彼らは。

 あちこちで戦いが起きた。たくさんの犠牲(ぎせい)があったけど、人間は勝った。

 晴れて世界は人の世になったんだ」

セレン:「だが、人は星の騎士を(ほうむ)り去った」

       


()()()の映像

 次々に墜落(ついらく)し、海に()み込まれていく星の騎士達。

 巨大な地割れが若者を呑み込んでいく


スーリヤ:「それが『司る者』の最初の仕事だった。風がペガサスから翼を奪い、海が彼らを沈め、大地は墓を掘った」

セレン:「司る者が司る者を葬ったということですか?」

スーリヤ:「そういうことらしい」

目を閉じるセレン。盛りすぎの()()()()()が鬱陶しい

セレン:「なぜ、そんなことを」

スーリヤ:「詳しくは知らないが、星が持つ力を恐れたんだろう」

セレン:「力を持ちすぎたということですか」

スーリヤ:「人間は強い力を持つ者を頼りにする反面、恐れもする。その恐れに突き動かされる形で、同朋(どうほう)(ほうむ)るしかなかったのだろう」

絶句して目を閉じるスーリヤ

スーリヤ:「悲しいねえ・・・。みんなヒューマと同じ年くらいだったんだよ。待っている娘はサーラと大して変わらない・・・」





【大地の大聖堂 控えの間】


ヒューマ:「地下にそんな所がねえ」

サーラ:「セレン、大丈夫かな?」

ヒューマ:「大丈夫だよきっと。俺たち冥府(めいふ)からも帰ってきたんぜ!」

サーラ:「そうだね」

ヒューマ:「見たこともない星の騎士団の盾か」

サーラ:「気になる?」

ヒューマ:「いや、その、そんなんじゃなくて」

サーラ:「大丈夫よ。もう焼き餅やいたりしないから。セレンも気になるけど、フレイとミラン、どうしたのかな?」

ヒューマ:「フレイがいるから大丈夫だろ」

サーラ:「うん、そうだね」





【聖都スクード 星の騎士団本部前】


(ひざまず)くボロを着たフレイ

フレイの前には、かつての師匠で一等星の騎士オリバーが立っている



フレイ:「お願いですマスター。私はもう一度騎士としてやり直したいのです。何も何も守れなかった私は・・・」

口ひげをなでるオリバー

オリバー:「フレイ、お前も騎士だった者なら我らの掟は知っているだろう。自ら騎士を辞めた者はどの騎士にも戻れないことくらいは」

フレイ:「知っています。ですが、ですが、私は愚かでした」

オリバー:「いかに私が一等星の騎士でも口利きなどはできない。もうお前は騎士団の掟に縛られることはないのだ。お前はお前が守りたい者を守・・・」



フレイが帯びている五芒星(ごぼうせい)の騎士剣が目に入るオリバー

オリバー:「フレイ、お前、その剣はどこで?」

フレイ:「これは、ある人から頂戴しました」

オリバー:「もらった?」

なぜ元の師匠が動揺(どうよう)しているかが分からないフレイ



オリバー:「フレイ、今の所は私の家に宿を求めよ。いいな」

フレイ:「はいマスター。ですが・・・」

オリバー:「今すぐに馬車を仕立てる。護衛も出す。そなたの兄たちも出向かせよう」

フレイ:「????」

部下を呼び耳打ちをするオリバー

オリバー:「よいか。フレイザードを私の邸宅に軟禁(なんきん)せよ。絶対に目を離してはならん。いいな」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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