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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
4/46

生かされてきた存在

この辺りから宗教的要素が強くなります。苦手な方、ごめんなさい

【海 上】


立ちこめる霧の向こうへトラックするカメラ




【霧の向こう側 海上】


浮遊する帝都セイクレッド・ガーデン

海上スレスレを浮かんでいる浮上都市

※帝都(第三部18部から22部より)




【帝都セイクレッド・ガーデン 造船ドック】


鉄張りのドックの内部を沢山の作業員がいる

ドッグの中に空飛ぶ船が浮かんでいる

建造中の船を見下ろしている預言者(よげんしゃ)アレキサンダーと次席

科学者の説明を聞いている



科学者:「あと4(せき)の稼働にはまだ時間が必要です」

預言者:「そうですか。現時点で飛ばすことができるのは2艘?」

科学者:「はい、思いの外メインフレームの修復に手間取りまして」

預言者:「引き続きよろしくお願いします」

その場を後にする預言者と次席



次席:「急ピッチで作業させているものですが、なにせダメージが予想以上でして・・・」

預言者:「恐ろしいな・・・」

次席:「は?」

預言者:「人の力とは恐ろしい」

次席:「と、言いますと?」

預言者:「10年も経たない内に、あのようなものを、鳥をも越えるようなものを生み出せるのだ。人間の力とは恐ろしいな」

無言で恐縮する次席



預言者:「このまま人が増え、あのような代物が増えたのなら、神の国は確実に定員より溢れてしまう」

次席:「はあ・・・」

預言者:「それはそうと宣教師(せんきょうし)の数はどうだね?次席」

次席:「はあ、まだ未熟ではありますが、12人くらいは、すぐにでも出立できるかと」

預言者:「宣教師を増やした方が良いな次席。暗殺者よりな」

ドキリとする次席

預言者:「聖戦と暗殺は違うのだよ次席。神は殺しなどなされない。

 皆が神の国の到来を信じれば暗殺も聖戦もする必要はなくなるのだ。まずは布教だな」

次席:「恐れ入りました」

逃げるように立ち去る次席

預言者:「恐れ入るのは私の方だ。人とは人を殺すことにかけては得意なようだな」






【スーリヤの(いおり)


無数のホタルが漂う大木の()()の庵の中で向かい合って座っているスーリヤとセレン

スーリヤ:「ワインでも飲むかい?」

クマがワインのボトルとグラスを運んでくる

セレン:「では少々頂きましょう」

クマが給仕をし、グラスを合わせることなく飲み出すスーリヤ



スーリヤ:「さて、何から話せば良いだろうね」

セレン:「お任せします。これでも『司る者』です。多少の事には動じないつもりではりますので」

スーリヤ:「それはあまり良いことじゃないね。何事にも動じないってのは」

セレン:「マヒしているんですね。多分」

スーリヤ:「マヒか。そりゃマヒもするだろうね。わたしゃあんたたちほど()()()に巻き込まれている『司る者』は知らないからねえ」



セレン:「いったい、何があったのですか?私たち人間と、あなたたち前の時代の『司る者』の間に?」

グラスを飲み干し、目から鋭い光りを発するスーリヤ

スーリヤ:「戦争さ」

セレン:「やはり・・・」

スーリヤ:「アンタが持ってきた盾、あれはあんたたち人間が『司る者』になるために()()()()()()()戦争の遺物だよ」



立ち上がって、庵の奥に消えるスーリヤ

セレン:(しかしなぜ騎士達は虐殺されたのか?)

取っ手のついた()()()()を持ってくるスーリヤ

セレン:(たらい・・・)

()()()には水が張ってある

両手を水に浸して、たらいの取っ手をさすり始めるスーリヤ

水面が泡だって、像を形作っていく

セレン「これは?」

スーリヤ「この世界の記録だね」


()()()の映像

 原始的な(いとな)みをしている人類の姿。毛皮を羽織っているだけの彼らの前に現れる白く輝く存在。

 太古の人類はそれらを畏れ(おそれ)ている


スーリヤ:「あんたたち人間は、今の世が来る前は、ほとんど文明らしいものを持てなかった。

 なぜなら知識も知恵も術もなかったからね。

 私たち『司る者』は時折あんたたちに少しだけ知恵や知識を分けてバランスを保っていたんだ」

セレン:「バランス?なんのバランスですか?」



◆たらいの映像

 石の(やじり)を持った槍などを構えて狩りをする人類と、たくさんの草食動物に少数の肉食獣といった生態系をあらわすもの


スーリヤ:「生き物のバランスさ。

 ある生き物だけが増えすぎても、減りすぎても世界はおかしくなってしまう。

 お前さん達人間は賢く生きられるはずの生き物だがね、まだその時ではなかったのさ」

セレン:「その時?」



◆たらいの映像

 野で動物と大して違わないステージで生きている人類


スーリヤ:「『この世界を司る者』になるには、早かった。

 この世界が起きてだいぶ経つらしいけど、あんたたちはこの世界ではまだ新参者だからね。多くの時間を私たち『()()()()()()()()()()』があんたたち人間を、言い方が悪いけど管理をしてきたんだ」

セレン:「管理下で私たち人類は()()()()()()()と」

読了ありがとうございました。


スーリヤがセレンに見せている「たらいの映像」は

中華鍋やかなえをつかった水の共振現象です。

中国語で「噴水魚洗」や「龍洗」と言います。

もちろん本当の「噴水魚洗」では映像が出ることはありません。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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