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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽が沈まない国
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太陽の子どもたち

岩戸の向こうの世界からヒューマとサーラが戻って来ます

【カナン大地 上空】

        

黄金の鳥が悪天候の中を旋回している

声:「聞いてくれ!みんな」




【カナン大地 磔刑場】


ファロス:「ヒューマか・・・」




【カナン大地 上空】

        

旋回する黄金の鳥

声:「太陽は死なない。太陽は死なない。5年前、太陽が隠された時があったのはみんなも覚えているはず」





【丘陵地帯】


ミラン:「本当にヒューマなの?」


声:「太陽は甦る。しかし、今ここに、太陽は一度休む」






【カナン大地 群衆】


声:「太陽は昇る。遠い昔から繰り返されてきた営みを忘れていけない」





【カナン大地 磔刑場】


声:「新しい太陽は」






【丘陵地帯】


声:「みんなと共にある」




【カナン大地 群衆】

        

空が赤く染まり始め、太陽が沈み始める





【カナン大地 西の空】

        

荒れ狂う天候が落ち着きを取り戻し、全天を覆うくらいの壮大な虹がかかる





【カナン大地 群衆】

        

壮大な虹の橋を見る人

赤く染まり始めた空を見る人

アレキサンダーのことを見ている人は誰もいない





【カナン大地 磔刑場】


ファロス:「そろそろ、休むよ母さん・・・」

ゆっくりと力を失っていくファロス





【太陽の神殿 頂上】

        

沈み行く太陽。

ファロスが流した血のように赤く空を染めて太陽が西の空に落ちてゆく

ヒューマの腕の中で力なく横たわるファロス

フレア、ジェス、ベルタ、ミラン、グレイス、セレン、そしてサーラが側にいる。




ファロス:「キレイな夕陽じゃないか・・・」

ヒューマ:「・・・・」

ファロス:「まさか生きている内に、こんなにキレイな夕陽を見られるとは思っていなかった・・・世界は実に美しいな」

ヒューマ:「父さん、僕がこの世界を守って行きます。父さんの言う美しい世界を」

ファロス:「言うようになった・・・」

フレア:「子供は知らない間に成長するものなんですね父さん」

ファロス:「ああ、そうらしい。知らない間に大きくなるものなんだな・・・」



ヒューマ:「でも、父さん、父さん」

静かに涙を落とすヒューマ

ヒューマ:「本当に・・・沈んでしまうんですね・・・」

ファロス:「ヒューマ、お前・・・・バカ者が。お前は、こんなにキレイな夕陽で、泣くヤツがあるか」

ヒューマ:「俺は俺は、今だけは父さんの息子でいさせてください」

ファロス:「安心しろヒューマ。どれだけ太陽が沈んでもどれだけ太陽が生まれ変わっても、お前はオレの息子だ」

にっこり笑うファロス

ヒューマ:「父さん・・・」




フレアの手を握るファロス

ファロス:「オレは幸せだぞフレア。お前に出会えて、司る者たちに看取られて・・・・」

ジェス:「なに言ってんだファロスの旦那!あんたはあんたは!」

涙声になるジェス

ジェス:「ずっと俺たちの太陽でいてくれよ。俺たちを照らし続けてくれよ」

ファロス:「そうも行かないんだよジェス。太陽は昇っては沈む、生まれては死ぬことを繰り返して、世界を照らしてきた。日々太陽は生まれ変わっている。太陽の営みに従うだけだ・・・」




セレン:「あなたが照らしてくれなかったら、月は輝くことはなかったでしょう。私は、月は漆黒の闇の中を迷い続けていたのだと思います」

ファロス:「オレはそこまでしてないよ。君を照らしたのはヒューマだ」

セレン:「ご謙遜を・・・」



ミラン:「おじさん・・・おじさん・・・おじさん・・・」

言葉にならないミラン

ファロス:「ミラン、オレは罪な男だな。こんな若い娘を泣かせて」

フレア:「まったくですよ父さん・・・」

ベルタ:「太陽がない十年間、私たちが凍えないですんだのはファロスさんが無理をしてくれたからなんだわ、きっと」

サーラ:「私たちみんな、太陽の子なのよ」

ファロス:「(笑い)随分子供が増えたなあ母さん。賑やかだなあ・・・」

フレア:「ええ、本当に・・・」

フレアの手から滑り落ちるファロスの手



夕焼けの時間が終わり、宵闇が訪れる





【カナン大地】

        

無人になった大地

空には星が瞬きはじめた

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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