蘇る(よみがえる)世界
一旦、ヒューマとサーラが隠された岩戸の向こうの話になります。
◆岩戸の向こうの世界
【夕暮れ 謎の山】
不毛の大地の向こうに、灰色の空を焦がして太陽が沈んでいく
遠くの森に長い影が伸びる
尾根に立ち、岩戸の向こうの世界の夕陽を見ているヒューマ
手のひらを広げるヒューマ
固い殻に包まれた植物の種がある
ヒューマ:「サーラ、俺たちがこの世界でやることが解った」
【謎の森 巨木】
巨木の上の梢に座り、沈み行く太陽を眺めるサーラ
サーラの美しい横顔に夕陽が差し込む
手のひらを広げるサーラ
固い殻に包まれた植物の種がある
サーラ:「私たちはきっと、いえ、必ず解り合える・・・」
【謎の山 尾根】
黄金の鳥と対峙するヒューマ
黄金の鳥:「話し合いとは?」
ヒューマ:「これ以上殺し合いをしたってなんになる?お前の言っていることは大地を守っていることでもあるんだぞ。
あの連中と新しい世界を作れるだろう。
お前達だって子供達にキレイな水を飲ませたいとは思わないか?」
【謎の森 沼地】
銀色の一角獣と向き合うサーラ
一角獣:「奢った連中に森を広げることなどできるわけもない」
サーラ:「そんなことないわ。鳥は遠くまで飛ぶことができるし、私たちよりも早く大地に森の種を運んでもらえるわよ」
一角獣:「・・・・」
サーラ:「このまま砂だらけの大地じゃ、どっちにとっても良くないわよ。森を草を大地に広げるのよ。鳥たちと一緒に」
【謎の山 尾根】
黄金の鳥:「しかし私たち気高き鳥は大地の獣とは話ができない」
ヒューマ:「オレがする」
黄金の鳥:「お前が?」
【謎の森 沼地】
一角獣:「お前がここを去っていった人間と違うことは認めよう。だがお前は人間だ。そのお前が鳥と話し合いをする、というのか?」
サーラ:「鳥のほうに人間がいるわ。私があなたたちに代わって話をする」
【謎の山 尾根】
黄金の鳥:「人間と人間が解り合える、とでも言うのか?」
ヒューマ:「解り合えるさ」
【謎の森 沼地】
一角獣:「人間同士が解り合えると言うのか?
サーラ:「大丈夫よ」
【謎の山 尾根】
ヒューマ:「俺たちは」
【謎の森 沼地】
サーラ:「私たちは」
※カットバック
ヒューマ:「解り合える」
サーラ:「解り合える」
【不毛の大地】
対峙する太陽の鳥たちと大地の獣たち
二つの勢力の一番前に立っているヒューマとサーラ
ヒューマ:「なんかすごく久しぶりに感じるな」
サーラ :「そう?うん、そうね、久しぶりね」
二人同時に手を出す。
二人の手の中には固い殻に包まれた植物の種がある
ヒューマ:「なんだ、サーラも持っていたのか」
サーラ:「当たり前でしょ」
ヒューマ:「さあ作ろう」
サーラ:「全ての生き物が暮らしてゆける世界」
ヒューマ:「みんなの力で」
二人の手から種が落ちる
種が地面に届く瞬間に、二人から強烈な光りが溢れる
光りは天に向かって伸びて、大地を走る
天に伸びた光りは、巨木となり、地を這う光りは草原になり、草原は森に変化して、鳥たちと獣たちを包み込む
ヒューマ:「行こうサーラ!」
サーラ:「うん!」
ヒューマは黄金の鳥の背中に飛び乗り、サーラは白銀の一角獣にまたがる
飛び上がる黄金の鳥
いななきを上げて大地を蹴る一角獣
空と大地を駆ける黄金の鳥と銀色の一角獣
彼らが飛び、駆けると砂漠は緑に変わり、川が流れを取り戻し、灰色の空が澄み渡っていく
併走する黄金の鳥と一角獣
空をかけるヒューマと黄金の鳥
大地を蹴るサーラと一角獣
各地でわき上がる命の息吹
森には地を這う生き物が溢れ、空には鳥が舞い、清流に魚が戻ってくる
山の頂に立つヒューマとサーラ
二人の傍らに現れる黄金の鳥と白銀の一角獣
何も言わずに笑顔を交わすヒューマとサーラ
黄金の鳥:「礼を言うヒューマ」
笑顔で応えるヒューマ
一角獣:「私たちはお前たちのような人間を待っていたサーラ」
やはり笑顔で応えるサーラ
一角獣:「もうこの世界は大丈夫だ。全ての生き物が等しく暮らせる世界に戻った」
黄金の鳥:「人でも、神でもない、支配するものがいない、命に満ちあふれた平和な世界。私たちの待っていた世界だ」
サーラ:「良かった」
ヒューマ:「俺たちでも役に立てたみたいだな」
黄金の鳥:「お前達の優しさがあれば、世界は大丈夫だ。さあ元の世界に戻る時だ」
ヒューマ:「元の世界に?」
一角獣:「生き物が住めない不毛の世界を作ってはならない。お前達はその優しさを持って元の世界に戻るのだ」
サーラ:「それじゃあ、この世界は?」
黄金の鳥:「お前達の世界の遠い未来だ。神と人が支配した世界の終焉だ」
一角獣:「そして人は、神は世界を捨てた。残った我々は世界を作り直そうとした」
ヒューマ:「ちょっと待ってくれ。俺たちがいる世界は、神とかいうものが支配している世界じゃないぞ。誰も支配なんかしちゃいない」
黄金の鳥:「今、お前達の世界は『神と人が支配する世界』へと変わろうとしている」
ヒューマ:「変わろうとしているって?」
サーラ:「どういうこと?」
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。




