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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽が沈まない国
31/46

背徳者の証明

【カナン大地 磔刑(たくけい)場】


ファロスを見下ろすアレキサンダー

アレキサンダー「見よ!神の国の住人よ。聖なる炎でも焼かれることのない(よこしま)な存在を!この者は身をもって自らが背徳者であることを証明したのだ!」

歓呼する大群衆





【丘陵地帯】


ジェス:「なんだって?」

ミラン:「助けたのに、どうして?」

ベルタ:「このあとはどんな拷問(ごうもん)をするのかしら?水攻め?それとも石打ち?生き埋め?私たちがファロスさんを助ければ助けるほど、あいつらの思うつぼってことね」

ミラン:「そんなぁ」

ベルタ:「いっそのこと津波で水に流してしまうというのもありかしらね」

セレン:「今、ここで天変地異(てんぺんちい)を起こすのはもっと逆効果ですね。かえって世界が不安定であることを証明してしまいます」

なぜか化粧を直し始めるセレン




ジェス:「こんな時に化粧なんかしてんじゃねえテメー!」

セレン:「失礼いたしました。私にツテがあります」

ミラン:「ツテ?」

ベルタ:「(さく)じゃなくてツテ?」

セレン:「三天の主神である太陽を助けるのが、月の役目です。もちろん星もです」

ミラン:「星?」

セレン:「私は一旦この場を離れます。みなさんそれまでどうか自重(じちょう)してください。これ以上の天変地異は神の国の到来を早めます」

歩き始めるセレン




ベルタ:「セレン」

セレンの足が止まる

ベルタ:「あなたが何をしようとしているのかは聞かない。でもあなたの成功を祈っているわ。がんばって」

セレン:「感謝します、ベルタ」




【カナン大地 上空】

        

空を横切るペガサスの影





【聖都スクード 聖廟 牢獄(ろうごく)

        

ロウソク明かりの中、向き合っているかつての師弟



フレイ:「なんども申し上げている通り、私は頂いただけなんです。流水の聖者から」

オリバー:「その流水の聖者とやらはどこにいる?」

フレイ:「わかりません」

オリバー:「では、火の探求者はどこにいる?お前が我が騎士団を()めてでも守ろうとした火の探求者は?」

フレイ:「ミランは、関係がないでしょう」

オリバー:「それがそうでもないのだフレイ」




フレイ:「ミランはもう火の探求者ではないんです」

オリバー:「なに?」

フレイ:「私には良くわかりませんが、火の力を失ってしまったと言ってました。それがどういうことなのか分かりませんが・・・」

オリバー:「お前が守りたかったのは火の探求者なのか?それともミランという娘なのか?」

フレイ:「え?」




オリバー:「お前は火の探求者を守るために騎士団を辞めた。そして火の探求者が力を失い、ただの娘になった途端(とたん)、騎士団に戻ってきた。お前はどちらを守りたいのだ?」

フレイ:「私はどちらも守れなかったんです。ミランも火の探求者も。私にはその力がなかったんです」

ドア音:「ガチャリ」

オリバー:「なんだ?ノックくらいしろ!」

マルキオン:「それどころではないオリバー」




オリバーに耳打ちをする一等星の騎士マルキオン。話を聞いているオリバーの目が丸く見開かれる

オリバー:「本当か?」

マルキオン:「だからここにきた」

オリバー:「フレイ、今日の尋問は終わりだ。だが隠していても誰も得はしないぞ」

脱兎(だっと)のごとく出て行く二人の一等星の騎士

一人残されるフレイ







【星の騎士団本部 渡り廊下】

        

ガシャガシャと金属音を立てながら足早に歩く十二人の一等星の騎士






【星の騎士団本部 城門】

        

五芒星の盾を持ち、優雅にたたずむセレン

手持ちぶさたなのか、足踏みをしているペガサスのシックル

月の使徒と対峙する一二人の一等星の騎士







【星の騎士団本部 会議室(円卓の間)】


円卓を囲む一二人の騎士とセレン

円卓の騎士:「それは(おど)しですか?月の使徒?」

セレン:「脅し?この私が?」

口元を隠して大いに笑うセレン

セレン:「人聞きの悪い。私は取り引きを持ちかけているだけですよ、騎士殿。

 あなたたちもこの世界の治安を守るものとして、今の混乱ぶりを収拾する必要があるのでは?

 というより、あなたたちは()()()()()()()()()()()、この世界を守らされている、それも剣を持つことも許されずに」




セレン:「あなたたちは、同朋(どうほう)を見捨てたのでしょう」

詰問(きつもん)口調のセレン

無言の十二人の騎士たち

セレン:「人の世をもたらした騎士たちは、人の手によって(ほうむ)り去られた」

涙を流すセレン

地中奥深くで触れた騎士の悲しみが体の奥底から(よみがえ)り、稲妻のように全身を貫く。

セレン:「裏切られた騎士の無念は、今も地中の奥深くで、渦巻いています。私はそれを見て、知り、共有し、伝えることを約束しました」

押し黙る円卓の騎士たち

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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