集まった人々は幸いである
宗教的要素が強い作品ですが、この件は、イエスの磔刑です。
【カナン大地】
威厳を持って壇上に立つ預言者アレキサンダー。
両手を広げ全身で「目覚めよ」コールを受ける
アレキサンダー:「聞け!」
雷鳴のようなアレキサンダーの声に静まる群衆
アレキサンダー「ここに集った人は幸いである。なぜなら新しい世界の始まりを見ることができるからだ」
地鳴りのような応呼が群衆からわき起こる
アレキサンダー:「ここに集まった人は幸いである。なぜなら、まもなく到来する『神の国』を目の当たりにするからだ」
【丘陵地帯】
ジェス:「神の国だあ?そんなものが来ると思っているのか?」
ベルタ:「ここに集まった人は本気で思っているわ」
ジェス:「ベルタ?」
ミラン:「神の国・・・」
【カナン大地】
磔刑になっているファロスの足下に進む預言者アレキサンダー
アレキサンダー:「聞け!」
水を打ったように静まりかえる群衆
アレキサンダー:「この者は『太陽の子』であった。だが、この者はあなたたちに背を向けた背徳者である」
【丘陵地帯】
ジェス:「背徳者だと?勝手なこと抜かしやがって。野郎ども、突撃するぞ」
ベルタ:「待って兄さん」
ジェス:「なんで止める妹よ」
ベルタ:「何か意味があると思うの。この場所、この状況、この雰囲気。仕組んだ意図があるはず」
ジェス:「当たり前だ。あつらが仕組んだんだ。俺たち『司る者』を亡き者にするために」
ベルタ:「違うわ。仕組んだのはファロスさんよ」
ジェス:「なんだって?」
【カナン大地 大集会】
群衆を前にボルテージを上げようとするアレキサンダー
アレキサンダー:「聞け!神の国の住人よ!」
黙って聞いている群衆
アレキサンダー:「背徳者の素顔を。太陽の子の真の姿を知るがよい!」
原子の炎が入ったランタンを掲げるアレキサンダー
アレキサンダー:「この炎は、太陽から生まれた炎ではない。人間の手で生み出された原子の炎、聖なる炎だ。太陽に左右されることのない、人間のための炎だ」
磔刑になっているファロスに「原子の炎」が燃えるランタンを近づける。
アレキサンダー「もしこの者が清廉潔白であれば、その身は火に焼かれて天へと旅立つであろう。
もしこの者が背徳者であるならば、邪な契約を結んでいる者ならば、火をも受け付けぬ体を持っているであろう」
ランタンを叩き付けるアレキサンダー
原子の炎が足元からファロスを焼き始める
【丘陵地帯】
ミラン:「大変!たいへん!大変!」
銃を抜くミラン
ミラン:「火あぶりにするって、何考えているのよアレックス!」
ジェス:「ファロスの旦那は太陽の子だぜ?火あぶりくらい平気じゃねえのか?」
ミラン:「あれは、太陽から生まれた炎じゃないのよ。人間が生み出した、消えることがない炎なの」
ベストのポケットから銃弾を取り出すミラン
ミラン:「これでもない、これも違う」
ようやくお目当ての銃弾を手にするミラン
ミラン:「これこれ!」
弾頭にキスをして、一発だけ弾倉に装填するミラン。
ファロスに銃口を向ける。
ベルタ:「何をするのミラン?」
ミラン:「火を消すの。火は燃えるときに酸素を使うから、この銃弾で酸素を吹き飛ばして・・・説明すると長い!
ジェス、ファロスさんの近くまでの風を教えて」
ジェス:「風?」
ミラン:「ファロスさんの所まで銃弾を届けたいの。それには風速とか湿度とか解らないとちゃんと届けられないの」
ジェス:「わかった。ファロスの旦那まで見通せればいいんだな」
何を思ったかミランに目隠しをするジェス
ミラン:「ジェス!ふざけないで」
ジェス:「お前は見るな。オレがお前の目になってやる。だからって目で見るわけじゃねえ。感じるんだ。風を感じるんだ」
ミランの網膜に気流に乗ってファロスの所に届く、銃弾のイメージが飛び込んでくる。
ミラン:「見えた!」
引き金を引くミラン
落ちる撃鉄。
ジェス:「風になれ!」
銃口から飛び出す銃弾。
風の流れに逆らうことなく、風になって狂気の集団の上空を進む銃弾。
【カナン大地 磔刑場】
遥か彼方から飛んできた銃弾がファロスの足元に当たって、周辺の空気を吹き飛ばし、原子の炎を吹き飛ばす
アレキサンダー:「むっ?」
爆破の衝撃で木製の十字架が崩れて、ファロスを解放した
【丘陵地帯】
ファロスが助かったことを確認する『司る者』たち
ミランとジェス「やった!」
【カナン大地 磔刑場】
磔刑から解放されるファロス
ファロス:「ミラン、余計なことを・・・・ありがとよ」
読了ありがとうございました。
ミランが放った銃弾は、消化爆弾というものです。
爆発で一時的に火災周辺の空気(酸素)を吹き飛ばして、消火するというものです。
油田火災など大規模火災で利用されるものです。
もちろん、人がくらったらひとたまりもありません。
今後もごひいきによろしくお願いします。




