焼け付く思い
第一部からちょくちょく出てきた「ゆりかごの森」に住む、スーリヤおばさんの正体に月の使徒セレンが迫ります。
【ゆりかごの森 スーリヤの庭】
森の中の手入れの行き届いた小さな庭。
庭の真ん中に大木がそびえ立ち、その傍らに椅子に揺られてうとうとしているスーリヤの姿。
森から生き物たちの鳴き声が騒がしく聞こえる
スーリヤ:「何だい、今日は騒がしいね」
空を見上げるスーリヤ
舞い降りてくるペガサスの影
眉をひそめるスーリヤ
羽音を立てずに降り立つペガサス
優雅に馬を降りるセレン
スーリヤ:「随分ハデなご登場だね魔法使い」
セレン:「お初にお目にかかります。大賢者スーリヤ様」
恭しく礼をしてから五芒星の盾を見せるセレン
スーリヤ:「それを持っているってことは、知っているってことかい?」
セレン:「すべてを知ってはおりません。すべてを知るために、あなたの所に参りました」
スーリヤ:「立ち話もなんだから、といっても立ち話じゃ済まないからおいでなさいな」
大木のうろに消えるスーリヤとセレン
【スーリヤの庵】
大木のうろの中のスーリヤの庵
無数のホタルが部屋を照らしている
テーブルに向かい合って座るスーリヤとセレン
スーリヤ:「私からも聞いていいかい?」
セレン:「私にわかることであれば、お答えします」
スーリヤ:「その盾、どこで拾ったんだい?」
セレン:「地中です。深く冷たい地の底。恐らく」
声のトーンを落とすセレン
セレン:「大虐殺があった場所です」
視線の落とし押し黙るスーリヤ
※大虐殺があった場所(第三部4部より)
スーリヤ:「人っていうのは不思議な生き物だねえ。恐ろしく優しいと思えば、恐ろしく残酷ときた・・・」
今度はセレンが押し黙る
スーリヤ:「人間のアンタに聞くけど、どうして人は人のことにいちいち干渉するんだい?」
セレン:「それは人間の1人1人が弱いからでしょう。
私たちは1人では生きては行けません。いかに人智を越えた力があっても。
それを私は教わりました。ヒューマやサーラ、司る者達に」
顔を上げるスーリヤ
セレン:「一方で人は人を恐れます。
弱いが故に恐れます。その恐れが時として人を恐ろしい生き物に変えるのです。
あの大虐殺のように。
私は伝えなくてはなりません。
あのようなおぞましい出来事を二度と起こさないように。人の世がどのような犠牲の上に立っているかを。
教えて頂けますね。私たちの前の司る者スーリヤ様」
【大地の大聖堂 控えの間】
ヒューマ:「太陽の匂い・・・セレンがそんなことをねえ」(第三部2部より)
サーラ:「自分じゃ今まで気がつかなかったけど、私の体ってヒューマに染まっているみたい」
ヒューマ:「よせよ、そんな言い方。恥ずかしいじゃないか」
サーラ:「ううん。私嬉しいの。いつでもヒューマと一緒だなって感じられるのが。今までこういう感覚ってなかったけど、すごく嬉しいの」
ヒューマ:「良かった。サーラが元気になってくれて」
サーラ:「うん」
のぼせているがヒマワリのような笑顔を見せるサーラ
ヒューマ:「でも不思議だよね。他のみんなは太陽の力がそんなに影響していないのに、サーラだけ月のセレンにもわかるくらいあるってね」
司祭の声:「不思議ではありません」
ヒューマ:「司祭様?」
大地の司祭:「お加減はどうですか?乙女様、それにアリア」
サーラ:「ごめんなさい司祭様」
大師の司祭:「まったくあんなに砂風呂に入っていたらのぼせるもの当然です」
サーラ:「でも、セレンがね」
大地の司祭:「もちろんわかっています。しかし優しすぎてご自分の身を顧みないことは、どうかと思います。あなたは『大地の乙女』なのですから」
サーラ:「気をつけます・・・」
ヒューマ:「それより司祭様、サーラが太陽の力に影響されているのってヘンじゃないんですか?」
大地の司祭:「お二人とも、神話は覚えていますか?太陽が一番最初に照らしたのはなんでした?」
サーラ:「大地よね」
ヒューマ:「うん」
司祭:「太陽は大地を照らすことによって、己の存在を確かめることができたのです。照らすものがあってこそ、光り輝き、照らされることで大地も己の存在を知るのです。サーラ様はヒューマ様によって覚醒されたのです」
サーラ:「じゃあ私は前の人とは違うのね」
司祭:「サーラ様は太陽がなくなっていた時代の大地の乙女。太陽が死んでいる時は、大地は次の太陽の側で、甦る手助けをするのです。そして甦った太陽は大地を照らすのです」
サーラ:「でも、私は太陽が昇る前に大地の乙女になっちゃったわね」
司祭:「ヒューマ様からふんだんに太陽の力を頂いたからでしょうね」
ヒューマ:「ふーん。不思議な関係だな俺たちって」
サーラ:「ヒューマは嫌い?こんな不思議な関係って?」
ヒューマ:「そんなことないさ。不思議でもなんでも、俺たちってどっちがいなくてもダメなんだな」
かーっと赤くなるサーラ
サーラ:「思ったより、早く目覚めたんだね私たち・・・」
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。




