目覚めよ!
より宗教的要素が強くなっております
自然崇拝から神仏崇拝への移行です
苦手な方ごめんなさい
【とある村】
太陽が沈まない白夜が始まり、広場に村人が集まって騒然となっている
村人:「村長、私たちはいったいどうしたら良いんでしょう?」
村長:「分からぬ。かつて太陽が昇らない季節があったが」
声:「目覚めよ!民衆よ!」
天から声が響く
轟音とともに空飛ぶ船が低空飛行で現れる
村人:「なんだあれは?」
呆然として、立ちすくむ村人達
空飛ぶ船からタラップが伸びて、声の主が地上に降り立つ
法衣に黒革の分厚い本を携えている
村人:「なんだあんたは?」
法衣の男は威厳を持って騒然としている村人と向き合う
法衣の男:「私は神の預言者だ」
村長:「神?神とはなんだ?」
法衣の男:「この世の主たる存在だ。ただ一つのこの世界を統べるお方だ」
村長:「その神が何の用だ」
法衣の男:「今、世界はかつてない危機に直面している。いや、直面しようとしている。太陽の乱れは世界の乱れとなるであろう」
村長:「そうじゃ、太陽が乱れては作物が取れぬ。家畜も育たぬ。乳飲み子もぐずる」
法衣の男:「今まであなたたちは太陽の秩序に従ってきた。だが見よ!」
白夜を仰ぎ見る法衣の男
法衣の男:「太陽はもはやかつてのような秩序を持ってはいない。太陽は死に絶える。
私はあなたたちに言う。
目覚めよ!
今こそ太陽の秩序から脱却し、人の世を取り戻すのだ。誰にも支配されることのない、人が支配する世の中にするために、太陽を捨て、新しい神の秩序に身をゆだねよ。見よ!」
火の点いたランタンを取り出す法衣の男
法衣の男:「この炎は太陽のカケラではない。薪など必要としない新しい炎だ!この炎は半永久的に燃え続ける、私たち人間が創造した新しい炎だ!」
村人の目が新しい炎に釘付けになる
法衣の男:「民衆よ!今こそ目覚めよ!太陽に支配された歴史に終止符を打つのだ」
あれほど騒然としていた村人たちから、一斉に鬨の声が上がる
群衆の輪のはずれで鬨の声をあげずに冷ややかに眺めているのはジェス
ジェス:「ペテン師め」
そのジェスに音もなく近づいてきたのは風の民
風の民:「お頭、あちこちで同じようなことが起きてます」
渋面を作るジェス
ジェス:「て、ことはなんだ。あちこちに空飛ぶ船があるってことか?」
頷く風の民
風の民:「いっそのこと吹き飛ばしてしまっては?」
ジェス:「いや、そんな簡単な話じゃなさそうだ」
音もなく群衆から離れる風の民
【カナン大地に向かう街道】
法衣の預言者を先頭に移動する大群衆
法衣の男:「目覚めよ!」
大合唱:「目覚めよ!」
法衣の男:「目覚めよ!」
大合唱:「目覚めよ!」
【丘陵地帯】
カナン大地に近い丘陵地帯
うねるように移動していく大群衆を、さも不気味なものを見るような視線で見ているジェス、グレイス、ベルタ、セレンそしてミラン
ジェス:「なんだこりゃ・・・」
ベルタ:「恐怖ね」
ミラン:「恐怖?」
セレン:「恐怖が人を駆り立て、恐怖が人を団結させるのです。それは狂気に変わる」
ジェス:「セレン、なんとかならないのか?お前は狂気も操ったりするんだろう?」
セレン:「残念ですが、沈まぬ太陽が月を遮っています。それにこれは月がもたらした狂気ではありません」
ミラン:「どういうこと?」
ベルタ:「この人達は望んで狂気に駆られているんでしょう」
セレン:「他者と同じ気持ちになることで不安や恐怖を取り払おうとしています。彼らを突き動かしているのは、狂気でもあり恐怖でもあるのです。それは人を盲目にするのです」
ジェス:「オレには狂気にしか見えないけどな」
群衆の中から磔刑になった男の姿が浮かび上がる
ミラン:「見て!あれ!」
ジェス:「ファロスの旦那!」
【カナン大地】
かつて砂漠であり、今は緑の大地になった地に集まった群衆
黒山の人だかりの中心には仮設の壇上があり、磔刑になっているファロスの姿。
大群衆から「目覚めよ」コールが消えることがない
万雷の「目覚めよ」コールの中、壇上に上がる預言者アレキサンダー
【丘陵地帯】
ミラン:「アレックス!」
ジェスは、風を使って、遠くの壇上にいる預言者を確かめる
ジェス:「あれは、サンタナとか言ったな」(第一部26部より)
ミラン:「サンタナ?」
ジェス:「島の爆発と一緒に吹き飛んだかと思ったけどな」(第一部31部より)
ベルタ:「誰であれ、扇動者の親玉が出てきたみたいね」
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。




