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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
23/46

敵対する太陽と大地

引き続き、岩戸の向こうの世界の話です

◆岩戸の向こうの世界


【謎の山 尾根】


◆空に放り投げられるサーラ



ヒューマ:「サーラ!」

届かないとは分かっていても、尾根から虚空(こくう)に身を躍らせるヒューマ

ヒューマ:「うわー!」

落下するヒューマを鷲掴みにして助ける黄金の鳥

ヒューマをやや乱暴に尾根に降ろす



黄金の鳥:「無理をするものではない人間よ。翼もない人間は飛ぶことができない。それなのにお前達人間は無理にでも飛ぼうとする」

ヒューマ:「お前!サーラを助けろ!」

黄金の鳥:「私は助けない。あの女は太陽ではないからだ。私は助けないが『大地』が助ける」

ヒューマ:「大地?」

黄金の鳥:「人間の()()()は同じ場所にいてはならない」

ヒューマ:「つがい?」

黄金の鳥:「お前達人間は瞬く間に子を増やし、世界を覆い尽くしてしまう。

ここにいても良いのは『太陽』だけだ。大地はいてはならない。

あの女は『大地』であるから、私は放逐(ほうちく)した。お前は『太陽』であるから私は助けた。そしてお前は『太陽である私』を助けなくてはならない」

ヒューマ:「お前を助ける?」





【謎の森】

        

ウシやらウマやらの大群が同じ方向に向かって歩いている

彼らの先頭には堂々たる体躯(たいく)で額に立派な角を持った白銀の一角獣が悠然(ゆうぜん)と歩いている。

その背に気を失ったサーラを乗せている




【謎の山 山頂】


黄金の鳥:「人間の『太陽』よ。お前はどこから戻って来たのだ?」

ヒューマ:「この言い方が正しいのかは分からないけど、オレはオレが知っている世界から来た」

黄金の鳥:「だとすると、ここはお前の知らない世界だ。人間の太陽よ」




ヒューマ:「オレから質問しても良いのか?」

黄金の鳥:「私の知っている事であれば答えよう。私の知らないことは答えられない」

ヒューマ:「お前は『なぜ戻ってきたのか』と聞いたな。ここには人間はいないのか?」

黄金の鳥:「いない。私の知っている限り『太陽』のお前と『大地』の女以外は、この世界には人間はいない」

ヒューマ:「人間がいない?」

黄金の鳥:「そうだ。いない。いなくなった」




ヒューマ:「どこへ?」

黄金の鳥:「知らぬ。人間はこの世界を去った。空飛ぶ船に乗って」

ヒューマ:「空飛ぶ船だって!?」

黄金の鳥:「そうだ。人間はこの世界に増えるだけ増えて、野や山や森を食い尽くし、自分たちの都合の良いように作り替え、世界を暑くして、もはや自分達の都合のいかなくなったので空飛ぶ船でこの世界を去った。後には砂しかない世界が残った」

ヒューマ:「その、人間が空飛ぶ船でこの世界からいなくなったのはいつの話だ?」

黄金の鳥:「私は直接見たわけではない。そう聞かされているだけだ。私の3代前の太陽からだ」

ヒューマ:「3代前の太陽?」

黄金の鳥:「私たちは一代は、人間の(こよみ)で500年を生きる」

ヒューマ:「500年だって?」

黄金の鳥 :「その時より人間はいない。お前はその時以来の人間だ」




ヒューマ:「どうして俺たちがいることがわかったんだ?」

黄金の鳥:「お前は、太陽の力を使ったな?」

「はっ」としてから、頷くヒューマ

黄金の鳥:「人間の都合で太陽の力を使ってはならない。人間はいつでもそうだ。自分たちの都合でこの世界を作り替えてしまう」





【謎の森 沼地】

        

沼地の縁で白銀の一角獣と会話をしているサーラ

彼らの周りをウシやらウマやらが取り囲んでいる



『あれを見ろ』と言わんばかりにウシやらウマの方に角を振る白銀の一角獣

一角獣:「あれらはお前達人間を恨んでいる。だから人間を襲ったのだ」

サーラ:「私たちを、恨んで?」

一角獣:「そうだ。お前達人間はウシを自分の都合の良いように作り上げ、自分達の望むように増やし、食い尽くし、ウマをこき使った。もはや彼らの本能はただ一つだけだ。人間を殺せ」

サーラ:「人間を殺せ・・・」



一角獣:「全ての大地の生き物がそのような本能を持っているわけではない。だが、あれらのような下等種であればあるほど強い」

サーラ:「下等種?下等種ってどういうこと?生き物に下等も高等もないでしょ?みんな同じ生き物でしょ」

一角獣:「人間に都合の良いように作り替えられた種は下等になってしまった。

お前達人間は知能が低い種は食用みなし、知能が高い高等で殺してはならないと分けて考えた。すべてはお前達人間の仕業なのだ」




サーラ:「そんな・・・私はみんな一緒だと思っているわ。ウシもウマもミツバチだって、それだけじゃなくて木や森や麦だって、私たちと同じ命があって仲間だと思っている」

一角獣:「だから助けた」

サーラ:「えっ?」

一角獣:「お前はここを去っていった人間とは違う。

 お前は人間だが愛がある。だがお前は火を使った。だから下等な者どもはお前を襲った。私たちは敵対しているが、火には共通の警戒心を持っている」

サーラ:「敵対しているって?誰と?」

一角獣:「太陽だ」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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