のぼせた?
お姉キャラ、月の使徒セレンが狂言回し的な役でちょくちょく出てきます
【聖都スクード 全景】
聖都スクードの城門に入っていく豪奢な馬車
【星の騎士団公文書館】
騎士団公文書館 全景
【星の騎士団公文書館 紳士録の棚】
分厚い紳士録をめくっていくデカイ手
「E」で始まる姓名のページの名前を追っていく
生没年、出身地、等級などが創設年度からことこまかに載っている、歴代騎士の名簿
声「エルブランコ、エルドーラム、エルカーム・・・・エルマーク」
分厚い紳士録を閉じる
【星の騎士団公文書館 入り口】
出てくる喪服様のドレスを着ている月の使徒セレン
レース付きの帽子のために顔が見えづらい
セレン:(あれだけ細かく記録を作っているのに、エルランドの名前だけが記載漏れとは考えづらい・・・)
◆回想(第三部5部より)
騎士の亡霊:「私たちは人の世を見ることなく、この地中深く捨てられた。
人の世を知ることなく。ただ恨うらみだけを膨ふくれあがらせて」
セレン:「あなたの名前は?」
騎士の亡霊:「流星の騎士エルランド」
セレン:「エルランド、確かに覚えましたエルランド」
公文書館を出るセレン
セレン:(ここでは過去を知ることができないか・・・)
公文書館を振り返るセレン
セレン:(あとは大賢者しかあるまいか・・・)
セレンの前をボロを着た人物が素通りしてゆく
何かを感じて、ボロを着た人物の背中を見つめるセレン
【大地の大聖堂 控えの間】
冷水が入った手桶に布をひたして絞る手
うつぶせにベッドに寝ているサーラとアリア
サーラは上半身裸で体からは湯気がひっきりなしに立ち上っている
冷やし布をサーラの首筋に載せるヒューマ
サーラ:「冷たくて・・・・」
アリア:「すいませんヒューマさま・・・」
SE:ドアが開く音
そろりと入ってくるファロスとフレア
ファロス:「なんだ、ここにいたのか」
ヒューマ:「父さん」
ファロス:「これを鳴らしても誰もこないから、ちょっと迷ったぞ」
呼び鈴を揺らすファロス
「ヤバイ」という顔をするアリア
上半身裸でうつぶせのサーラの背中が目に入る
フレア:「なにしているのあんたたち?」
バツがわるくなるヒューマ
◆時間経過 冷水が入った手桶
フレア:「のぼせた?」
顔を見合わせる太陽の夫婦
ファロス:「こんな山の上で?」
ヒューマ:「良く分からないんだけど、セレンがどうしたとかで・・・」
ファロス:「セレン?」
フレア:「それでヒューマが看病しているってこと?」
ヒューマ:「そういうこと」
サーラの冷やし布を交換するヒューマ
※地中に落ちたセレンを助けるために、長風呂するサーラとアリア
(第三部3〜6部より)
ヒューマ:「父さん、具合は良いの?」
ファロス:「ああ、すっかり良くなった。オレと母さんは村に帰るが」
ヒューマ:「随分急だね」
フレア:「あなたも一緒に」
言おうとしたフレアを制するファロス
ファロス:「オレと母さんは先に帰っている。お前はサーラちゃんののぼせとやらが引いてから来なさい」
起き上がろうとするサーラ
ファロス:「サーラちゃん、そのままでいいよ。ヒューマにたっぷり看病してもらいなさい」
フレア:「サーラちゃん、たっぷりのぼせてて」
いたずらっぽくウインクするフレア
苦笑しかできないサーラ
ファロス:「ではな、ヒューマ」
ヒューマ:「ああ、気をつけてね父さん、母さん」
ファロス:「さ、行こうか母さん」
【山岳都市メンヒル 大門】
太陽の夫婦を見送る大地の司祭
ファロス:「見送りありがとう。大地の司祭」
大地の司祭:「なんの、こちらこそ大したもてなしもできませなんでした。これからも体をいたわってください。あなたたちはまだ世界に必要なのですから」
ファロス:「どうやら、太陽が生まれ変わる時期に来ているらしいよ司祭」
司祭:「は?」
ファロス:「いや、なんでもない。それよりヒューマがもう少し厄介になると思うがよろしく頼む」
フレア:「お世話になりました司祭様。では参ります」
司祭:「お二人に大地の加護がありますように」
祝福をする大地の司祭
【街 道】
整備された街道を歩く太陽の夫婦と護衛の最果ての村の一団
フレア:「いいんですか、あなた?」
ファロス:「何がだいフレア?」
フレア:「ヒューマですよ。看病っていってものぼせただけでしょ?何にのぼせたのか、誰にのぼせたのかしらないけど」
ファロス:「なんだい母さん、ヒューマをサーラちゃんに取られて焼き餅やいているのかい?」
フレア:「まあ、あなたったら!」
ファロス:「まあいいじゃないか。今の間だけはサーラとヒューマでいさせてあげよう」
フレア:「大地の乙女とか太陽の子じゃなくてってこと?」
ファロス:「俺たちの時にはスーリヤおばさんが守ってくれた。今のサーラとヒューマにはそういうものがないからな。少しの間くらいいいじゃないか。試練や決まり事ばかりが人の生きる道ばかりじゃないだろう」
フレア:「私たち『司る者』でも?」
ファロス:「『司る者』だって人間だよ」
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。