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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
18/46

大いなる岩戸

【東の最果ての村 大いなる岩戸】


ヒューマの前にそびえ立つ一枚岩

ファロスとフレアも(そろ)っている

ヒューマ:「父さん、母さん」

フレア:「ヒューマ、悪く(とら)えちゃダメよ」

ヒューマ:「わかってる。まだオレは早すぎたんだよね」

ファロス:「太陽を人間の敵にするわけにはいかないんだ。これはお前だけの問題じゃない。この世界の問題なんだ」

ヒューマ:「わかってる。司祭様、オレはどうすればいいんですか?」




太陽の司祭:「お前は、一時的に隠れるのだヒューマ。この岩戸の向こうにな」

岩戸が、どうしようもない物事のようにそびえ立つ

ヒューマ:「隠れる?どれくらい」

スーリヤ:「時が来るまでさヒューマ。その時が来るまでの辛抱(しんぼう)ってことさ。今のところ、どれくらいなのわからないんだよ」

ヒューマ:「わからない?」

スーリヤ:「時が来れば、お前は(よみが)る。太陽の巫女(みこ)と一緒にね」

ヒューマ:「太陽の巫女?」

怪訝(けげん)な顔になるヒューマ

ヒューマ:「太陽の巫女?」




サーラ(オフ):「行かないで!」

声の方へ振り向く一行

サーラとミラン、アリア、そしてセレンが近づいてくる

ヒューマ:「サーラ・・・」

ファロスとフレア「サーラちゃん」

サーラ:「ヒューマ、行かないで。ずっと私を照らしてくれるって言ってくれたじゃない」

ヒューマ:「サーラ・・・」




スーリヤ:「なんだい、どこぞへ行ったと思ったら、連れてきちゃったのかい」

セレン:「別れは人を時に強くします。しかし望まない別れは人を弱くします。それは不本意なことです」

スーリヤ:「あんたの経験かい?」

セレン:「私は、大地の乙女が悲しむ姿は見たくないのです。これは、私を(みちび)いてくれた大地の乙女に対するせめてものお礼です」

スーリヤ:「仕方ないねえ」

セレン:「仕方ないのです。私たち人間は弱いので」

スーリヤ:「やれやれ」




サーラ:「スーリヤおばさん。なんとかならないんですか?ヒューマがいなくなったら、私、私じゃなくなっちゃう」

ヒューマ:「サーラ、これはサーラのためでもあるんだよ。これ以上オレがサーラを照らし続けたら、サーラにだって悪い事が起きるんだ。オレは、オレのせいでサーラに悪影響が出るなんて耐えられないんだ。わかってくれよサーラ」

サーラ:「わからない!わからない!私はカラカラになったりしない、砂漠にもならない、ヒューマの光りがどんなに強くたって、()えられる!」




スーリヤ:「サーラ!」

いつになく(はげ)しい調子のスーリヤ

スーリヤ:「サーラ、これはお前さんだけの問題じゃないんだよ」

サーラ:「私だけの・・・」

スーリヤ:「そう。人間だけの問題でもない。

この世界はお前さんたち人間だけのものじゃないんだ。大地には人間だけが住んでいるわけじゃない。イヌもネコもウシもウマもブタもトリだって大地が必要なんさ。海が干上がったらサカナたちはどうするよ。

今はお前さん達人間が司っているけど、支配しているわけじゃないんだよ。お前さんたちは自分たち以外の命も守ってやらないといけないんだ」

サーラ:「そんな・・・」




スーリヤ:「サーラは優しい子から全部1人で受け止めようとするし、それができる娘だけど、優しさだけじゃみんなを守っていけないんだ。強さもないと、岩のような強さが必要なんさ。それはお前が一番分かっているだろう」

(うなず)くサーラ




スーリヤ:「サーラが居るのは好都合だね」

ファロスとフレア:「???」

スーリヤ:「さ、わかったらこの岩戸を開けておくれ」

ヒューマ:「なんだって?」

セレン:「大賢者?どういうことですか?」

スーリヤ:「どういうことって、こういうことさ。ヒューマを隠す岩戸を開けるのは大地の乙女、サーラの役目って言うこと」

ミラン:「そんなヒドイ!」

スーリヤ:「ひどくてもなんでも、そういうことなんさ。さ、サーラ開けなさい。お前さんならできるだろう」

大地にくずおれるサーラ

宗教的要素が多い作品ですが、この件は日本神話から拝借しました

読了ありがとうございました。

今後もごひいきによろしくお願いします。

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