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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
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ただひとつの太陽

【朝 日の出】


朝焼けに染まり世界が目覚める





【最果ての村 入り口】

        

ヒューマと太陽の司祭を送る村の人々

ヒューマ:「村長さん、みんな。お元気で」

村長:「すまないヒューマ。お前に希望を背負わせすぎた私たちを許してくれ」

寂しく笑顔することしかできないヒューマ

抱擁(ほうよう)を交わすヒューマと村長

太陽の司祭:「では、参ろうかヒューマ」

最果ての村を後にするヒューマと司祭

今一度、振り返り別れをするヒューマ

ヒューマ:「オレは、二度とこの村に戻ってくることはないんだろうな」





【東の最果ての村】

        

作りは西の最果ての村と変わらない造り

村全体を濃い霧が包んでいる

村の入り口に出迎えの人数がある

霧の向こうから、フレア、ファロス、スーリヤの姿が現れる




対峙する一同

太陽の司祭:「おかえりフレア、いや朝陽の子よ」

フレア:「ただいま司祭様」

太陽の司祭:「ようこそ、夕陽の子ファロスよ」






【山岳都市メンヒル 大地の大聖堂】


廊下(ろうか)を小走りにゆく大地の侍女アリア

アリア:「最近、お客さんが多いなあ」

門の向こうに見える巨大な馬と大男のシルエット

アリア:「ご無事だったんですね、良かった」

セレンとペガサスが立っている。






【東に向かう道中】

         

ヒューマと司祭の行く手に霧が立ちこめる

ヒューマ:「すごい霧だ」

太陽の司祭:「こんなに濃い霧が出たことはないな」

ヒューマ:「初めてだ。母さんの村に行くのは」

太陽の司祭:「なあに、我々の村と何も変わらない」

ヒューマ:「本当に?」

太陽の司祭:「我々は表の裏の関係だ。裏と表でもある。どちらが欠けても存在はできない。ちょうど男と女のようにな」

ヒューマ:「でも、昔はひとつだったんですよね」

太陽の司祭:「そうだ。いずれ私たちはひとつになるように定められているのだろう」


        


まじまじとヒューマの顔を見る司祭

ヒューマ:「な、なんです?司祭様?」

太陽の司祭:「表も裏もない、ただひとつの太陽。二つではない強固なただひとつの太陽。私たち太陽の民が、人の世が望んでいる、ひとつの太陽。それはヒューマ、お前のことなのかもしれないな」

ヒューマ:「オレが、ひとつの太陽?」

太陽の司祭:「まだ分からないが、我々は長い間、ひとつの太陽を手に入れていないからな」




ヒューマ:「一つの太陽が手に入ったら、二つに分かれていた太陽は消えて無くなる?」

太陽の司祭」「それは誰にも分からない。私たちは太陽を二つに分けた。だが、二つに割った太陽を一つにしたことはないからな。どうなるかは分からない」

先を進むヒューマと司祭







【東の最果ての村】


ようやく到着したヒューマと太陽の司祭

ヒューマ:「ここが、母さんが生まれた村なんだ」

出迎えにくる東の村の司祭達

太陽の司祭:「久しぶりだ夕陽の子よ。そして良く来た太陽の子ヒューマ」

軽くお辞儀をするヒューマ

太陽の司祭:「お前の父と母はすでに着いている。長旅で疲れただろう。今日はお前の母の家でゆっくり休め」







【東の最果ての村 フレアの家】


恐る恐る扉を開けるヒューマ

囲炉裏(いろり)のある土間で鍋をかき回しているファロスの背中

ファロス:「よう、ヒューマ遅かったな」

ヒューマ:「父さん・・・」

パンの皿を持って母フレアが登場

フレア:「お帰りヒューマ」

ヒューマ:「母さん・・・」

どこにでもあるような家族の風景

ヒューマ:「父さん、母さん、あの・・・・」




奥からのそりと出てくるスーリヤ

スーリヤ:「おかえりヒューマ」

ヒューマ:「スーリヤおばさん?なんでここに?」

スーリヤ:「まあ聞きたいことは山ほどあるだろうけど、晩ご飯でも食べようじゃないか」





【夕暮れ 東の最果ての村】


フレアの家の煙突から煙が立ち上る





【東の最果ての村 日の出】



フレアの家の近くに立つヒューマ

頭の上をかすめて行きそうな勢いの強烈で圧倒的な日の出

日の出と対峙するヒューマ





【上 空】


朝焼けの空を飛ぶペガサス

背にはセレン、サーラ、ミラン、アリアが乗っている

思い詰めた表情のサーラ

深い霧の中に突入するペガサス






【東の最果ての村 フレアの家の前】


家の前にスーリヤが立っている

スーリヤ:「ヒューマ、おいで」

スーリヤに(うなが)されて、後を付いていくヒューマ




ヒューマ:「スーリヤおばさん?」

スーリヤ:「なんだいヒューマ?」

ヒューマ:「おばさんはみんな知っていたの?オレがこうなることも?」

スーリヤ:「いいや。分からなかったよ。でも、一つだけ分かっていたことはあるよ」

ヒューマ:「それは?」

スーリヤ:「お前さんたち人間は一生懸命ってことさ。どんな時でも全力で生きている。楽な時も辛いときも、楽しい時も苦しい時も。だからお前さん達は『司る者』になったのだろうよ。私らに変わってね」





ヒューマ:「私たちって?」

スーリヤ:「私も『司る者』だったんだよヒューマ」

ヒューマ:「えっ?そうなの?」

スーリヤ:「なんだい気がつかなかったのかい?意外と()だねお前さんは」

恐縮するヒューマ

ヒューマ:「その、どうしておばさんは『司る者』じゃなくなったの?」

スーリヤ:「(ゆず)ったんさ。お前さんがたにね」

ヒューマ:「譲った?」

スーリヤ:「そう、お前さんたちは森を出ても暮らしていけるようになったからね。そういう潮時ってやつが来たからね。もう私らがお前さん達人間を守ってやる必要もなくなったからだね」

ヒューマ:「おばさん達が俺たちを守っていた?」

スーリ:「さ、おしゃべりは終わりだよ」



連れられてくると、目の前に巨大な岩が待っている

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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