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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
13/46

熱く切なく

第二部、第三部にも出てきた「原初の闇」(初登場時は「すべての闇」)が、唐突に出てきます

【大地の大聖堂 育苗(いくびょう)室】

        

水畑を循環(じゅんかん)している水音が静かに流れる

向かい合っているサーラとミラン

サーラ:「随分、危ないことしてきたんだね」

ミラン:「あいつらは間違いないわ。神の信者達よ」

サーラ:「私たちが邪魔だから、やっつけにきたってこと?」

頷くミラン

ミラン:「多分。私を()()()()()んだと思う。私がここまであいつらを案内したのと同じ」

サーラ:「だからってミランが出て行くことないじゃない」

ミラン:「だって私がここにいたら、サーラやアリア、司祭のおじさんたちにも迷惑がかかるし」



サーラ:「あなたが言う神の都って、もうないんじゃないの?」

ミラン:「うん、でも何で帝都の人間がいるのかが分からない」

首を横に振るミラン

ミラン:「私が、私たち、私とフレイと、リエルとメタリオン、がんばったんだよ、がんばってがんばって、やっつけたんだよ!

 火の力を全部使って、やっつけたんだよ!お母さんも手伝ってくれて、火の力をいっぱいいっぱい使って!」

感情が高ぶるミラン

高ぶる感情が涙を抑えきれずに、頬を()らしていく

ミラン:「私、私は、がんばったんだよ!火の力、なくなるくらいがんばったのに!それなのにどうして!」

静かにミランを見つめるサーラ

ミラン:「火の力、なくなっちゃった!もう村にも帰れないし、どこへいけばいいのかわからない!」



サーラ:「ミラン・・・」

顔を上げるミラン

サーラ:「ミランさえ良かったら、ここにいてもいいのよ」

ミラン:「でも・・・」

サーラ:「最初はぎくしゃくするかもしれないけど、すぐに仲良くなれるわよ」

ミラン:「だって、私は火の力をなくしちゃったんだよ」

サーラ:「火の力があってもなくても、ミランはミランじゃない。そうでしょ?」

気持ちが落ち着くミラン



サーラ:「私は火を自由に使えるミランが好きだけど、ヤケドしちゃうミランも同じくらいに好きなの」

ミラン:「・・・・」

サーラ:「ヒューマもジェスもベルタも、グレイスだってセレンだって、ファロスおじさんにフレアおばさんだって、そうよ。ミランのお母さんも私たちと同じよ」

ミラン:「お母さんも?」

サーラ:「もちろんよ。ミランは、ミランだから素敵なの。火の力があるとか、ないとかは関係ない。ミランだから私たちは好きなの。そんな好きな人がどっかいっちゃうなんて私は悲しくなる。ミランは好きな人がいなくなっちゃうと悲しいでしょ」

こっくりと頷くミラン



サーラ:「じゃあ明日も明後日も明明後日もここにいて」

ミラン:「ここにいてもいいの?」

サーラ:「当然よ。まだ刈り入れ残っているんだから!刈り入れ終わったって冬の支度とかやることは山ほどあるのよ」

ミランに笑顔が戻る

ミラン:「私がんばる。いっぱい刈り取りしていっぱいパンをつくるね!」

サーラ:「無理にがんばらなくてもいいの。ミランはミランのできることをすれば」

ミラン:「うん!」

実の姉のように優しく微笑むサーラ



サーラ:「それにしてもフレイはダメねえ。騎士だとか騎士じゃないとか、そんなことどうでもいいのに!まったく男の子ってやつは」

ミラン:「ヒューマもそうだったの?」

サーラ:「ヒューマはフレイなんかよりもっとテキトーよ」

ミラン:「ヒューマってテキトーなの?」

笑い合う大地の乙女と火の探求者




【夜 最果ての村へ向かう街道】


ヒューマ:「(くしゃみ)」

ヒューマ:「誰か噂してんな」

月が雲に隠れて夜の闇が濃くなる

ただならぬ気配に足を止めるヒューマ

街道の先に12の白い影が浮かび上がる

ヒューマ:「こんな時間になんの用だ?」

ヒューマの問いに、抜き身の短刀を構えて答える12人の白装束達

ソロリソロリと忍び足でヒューマを取り囲む

ヒューマ:「問答無用か?」

白装束①:「明日の朝はこない。太陽はここで死ぬ」

ヒューマ:「そいつはどうかな」

ヒューマの体が一瞬にして朝陽のごとく強烈な光りを放つ

目をつぶされて、やたらめったら短刀を振り回す12人の暗殺者

ヒューマ:「相手が悪かったな」

ヒューマに輪になってのされる12人の白装束達

ヒューマ:「明日も快晴だ!」

先を急ぐヒューマ




【夜明け 街道】


足を一時止めて、朝焼けに見入るヒューマ

光りの粉を散らしたような朝陽が大地を照らしてゆく

ヒューマ:「・・・・」

原初の闇:「夜明けとはいつでも美しいな」

突然現れるヒューマの顔になっている「原初の闇」



※原初の闇(第二部36部、第三部32部にも登場)



弾かれたように飛び下がり、同時に構えるヒューマ

ヒューマ:「テメーは!」

原初の闇:「まあ落ち着けよヒューマ。今はこの美しい世界の目覚めを見ようじゃないか」

ヒューマ:「・・・・」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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