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太陽が昇らない国の物語(仮) 第四部  作者: 岸田龍庵
太陽の試練 大地の試練
11/46

強すぎるが故に

【山岳都市メンヒル 大聖堂の裏山】


落ち葉が敷き詰められた深い山に入っているサーラとミラン、それにアリアと大地の司祭ご一行

秋の入り口にさしかかった山の空気は思いの外冷えている

ミラン:「寒いね」

手をすりすりしているミラン

サーラ:「寒い?」

ミラン:「うん。寒い」



なおも登り続ける一行

一行を追うように影が落ち葉を踏んでいく

到着したのは山頂近くにそびえ立つ巨木

尋常(じんじょう)ではない幹の太さと、枝葉が()()()()お盆のように大きく広がっている

ミラン:「すごい木だね。どっしりしている感じ」

サーラ:「私たちの何百倍も長生きしている木なんだよ」



地面に手をつくサーラ

ミラン:「どうしたの?」

サーラ:「ちょっと怖いけど動かないでね」

サーラと、ミラン、アリアのいる地面が盛り上がる(電動リフトの要領)

ミラン:「うわっ」

サーラ:「動いちゃだめよ」

巨木の枝葉の部分まで10メートル近くまで、せり上がる地面

ミラン:「すごい」

サーラ:「ミランはまだここにいてね」



地面のリフトから木に飛び移り、器用に枝葉の周りを移動する大地の乙女と侍女

枝周りを歩いて丹念(たんねん)に調べるサーラ

高齢の樹木であるにもかかわらず、新芽が見える



新芽に触れるサーラ

アリア:「サーラ様、こっちにもあります」

枝葉の反対からアリアの声がする

サーラ:「やっぱり育ちすぎね・・・」

ミラン:「それってどういうこと?」

サーラ:「無理してるってことなの」

ミラン:「無理?」

地面のリフトに戻るサーラとアリア



サーラ:「最近太陽がものすごく強いでしょ?

 植物が育つためには水と光りが欠かせないのだけれど、太陽の光りに釣られて、育たなきゃいけない、育たなきゃいけない無理をするのよ植物は。

 この季節になると太陽の光りも穏やかになって植物は冬を越すために、エネルギーを蓄えるの。でも今は越冬のためのエネルギーを新芽を育てるために使っているの」

ミラン:「それが無理をしているってこと?」

サーラ:「そう。このままじゃ冬が越せなくなってしまうから、なんとかしなきゃね。ミラン、新芽を焼いてくれる?」

ミラン:「焼く?」

サーラ:「かわいそうなんだけど、この新芽が木に負担になっているわ。今から育ち始めても、この大きさじゃ冬は越せない。かといって木にも影響があるから共倒れになってしまうから」

ミラン:「だから焼くの?」

サーラ:「木に、自然に無理をさせちゃいけないもの。どうして太陽がこんなに強いのかはわからないけど、植物にはそんなことわからないから、私たちが手をかけてあげないと」

ミラン:「そうなんだ・・・」

いいながらモジモジするミラン

手のひらにはヤケドの跡しかない



ミラン:「あのねサーラ。お手伝いしてあげたいんだけれど、もう火が使えないんだ」

サーラ:「・・・・」

ミラン:「火の力がね、なくなっちゃったんだ。今まで簡単に火が(おこ)せたんだけど、もうできないんだ」

うっすらと涙を浮かべるミラン

        


物言わずミラン手を握るサーラ

火打ち石を取り出して、カチカチ叩いて火をおこそうとするアリア

ようやく起きた種火(たねび)を丁寧に扱うアリア

ミラン:「火って起こすの大変なんだね」

今まで見たこともない火のおこし方をぼんやりと見ているミラン

サーラ:「火だけじゃないわ。木を育てるのも、パンを作るのもそんなに簡単じゃないってこと」



サーラ:(ピクリ!)

ミランが来た時に感じた何者かの気配を察知するサーラ

司祭:「サーラ様!」

見下ろすといつのまにかサーラ達は白装束(しろしょうぞく)に白い面布(めんぷ)を被った者達12人に囲まれていた

白装束の者達は、一様に短刀を抜いている



地面のリフトが下がって地上に戻る3人

ミラン:「なんであんた達が?」

驚きながらも銃を構えるミラン

ミランを制するサーラ

サーラ:「大丈夫。任せて」

ミラン:「でも、こいつら」

サーラ:「分かってる」

一行を落ち着かせるサーラ



サーラ:「増えたの?」

ギクリとする白装束

サーラ:「3人しかいないと思っていたんだけど、随分増員したのね」

さらに動揺(どうよう)する白装束

サーラ:「気がついてないとでも思った?ちゃんと人数分の足音は大地が教えてくれていたから、最初からわかっていたんだけど」

白装束:「随分と強気だな大地の乙女」

サーラ:「あなたたちがどこからきて、どんな目的で私たちをつけているのかは聞かないけど、いますぐこの山から出て行って。そうすれば私は何もしないから」



白装束①:「そうはいかない」

白装束②:「我らは流水の聖女から遣われた者。大地が邪魔ゆえ、お前を排除する」

サーラ:「ベルタが寄こしたのに、あなたたちからは水の雰囲気も潮の香りも全然しないんだけど、それはどうして?」

答えない白装束

サーラ:「私たちを仲違(なかたが)いさせたいんでしょうけど、ご生憎様ね。そんな偽物に引っかかるほど、私たちは間抜けじゃないのよ。早いところ、この山から出て行って」

白装束③:「我らの目的はただひとつ、『司る者』を排除すること。そして人々を神の国に導くこと」

サーラ:「もう一度言うわ。今すぐこの山から出て行って。帰ったらあなたたちを送ってよこした、そうね、ベルタの偽物にでも伝えて。『ベルタを含めた私たちは、まだやることが沢山あるから、排除されるわけにはいかないって』」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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