絶望から希望へ
俺が放った星読み魔法は食らったのなら相手は倒れたはずと思いながら俺は門に近づいていく。
「痛かったね〜」
「痛かった....」
あの二人の声が聞こえた。水銀を食らったはずなのに死んでいない。皮膚が少し溶けているぐらいで終わっている。
「勝てるはずがない」
影野はそう言って目に光を入れていない。皇も雨宮を絶望に落ちていた。
「勝てるはずもないが殺るしかないよネ〜」
夜桜さんは楽しんでいる。ほかの人達とは違う、なにか楽しんでいるんだろうか…楽しむところがどこにあるのだろうか
「ここで、門を塞がないと被害が増えるだけだ。」
俺はまた、【星読み】の準備をする。勝てなくてもやるしかない。やらないと心のどこかで何かが残るし昔の俺には戻りたくない。
「今度は、足止めを宜しくネ」
「あぁ、わかった」
そう応えるとニコッと笑って彼女は双子に向かって走った。そして彼女は平然とあの双子に攻撃している。
「我は自然の魔法とともに我汝の魔力“牡羊座”の元にて我の魔力は存在する。“木々の蔦”」
詠唱を唱えた。
「あれれ?足が動かないね」
「動かない」
そう。今かけた魔法は行動を封じる魔法として使われる自然魔法である。
「やっと!トマッタ!」
二人が動けないのをわかったから、彼女は二人に向かって攻撃をした。アリドの頭を裂きユルドの首を裂いた。
「夜桜さん、やったのか…」
「ヤッタヨ!」
二人で喜んでいる。やっと、終わった。やっと静かな場所に帰れるのだ。
そう思っていたのはいけなかったのかな…
何処から異様な触手が俺らの首を持って空中にあげる。
「オマエタチハユルサナイ」
俺達を掴んでいたのはバケモノだ。異様な触手を出し。顔のなく。体が触手なモノがそこにはいた。そしてあの双子の倒れた姿がない。
「オマエタチノ冥土の土産としてオシエテヤロウ。コレガ本当の姿ナノダ」
本当の姿。人の姿を無くした、醜い姿。こんなのに勝てるはずがない。
「オマエタチハココデ“コロス”」
首を掴んでいる触手の力は強くなっていく。苦しい。息をするのが辛い
意識が朦朧としてきた中で一つの声が聞こえた。
「お前は覚えてないのか」
何を言っているのかわからない。覚えてるか…そんなの知らない。だけど何処かで聞いたことある声だ。
「お前は生きたいか」
あぁ、生きたいさ。まだ、俺は魔物を全滅させてないのだから。その目的が終わるまで死ねない。
「それならあの時の事は思い出せるな」
あの時....
「あの時もお前は死にそうだったな」
何を言っているんだ。あの時ってなんだよ。俺は....
「お前は私を召喚してくれたでしょ」
召喚....
「月が赤色に光っている日に」
赤色....月....
そう考えていると何処からか鈴の音が聞こえた。チリーンと頭の中で響き渡る。
「ほら、思い出せよ」
鈴の音。俺はどうして忘れていたのだろうか。あの大切な者を
「それなら呼んでみなよ…私を」
あぁ、呼んでやるさ。
そう言うとその声は聞こえなくなったけど覚えてる。俺が言うことはただ一つ
「七つの死に至る罪人の者よ。我に力を貸した前
___サタン」
俺は意識が途切れる前にそういった。