もう響かぬ声……
真っ暗闇の部屋で
冷たい床を肌で感じる
キッチンに積み上げられた
使用済みの食器たちは
強烈な匂いを放ち僕をいじめる
おかえり の声も
ただいま の声も
もう響かない……
水道の蛇口から零れ落ちた水の音が
小さく響く
響く……
僕から零れ落ちた想いの音も
小さく響く……
ポタッポタッ……
それはまるで波紋のように響き渡る……
そして同時に
君がいないことを僕に告げる
君の温もりも忘れられず
君の声も忘れられず
今日も過ぎてしまおうとする
響かぬ声
届かぬ声
諦めてしまいたくなる
君のことなんて……
ただ僕にはそんなことはできない……
君との記憶が
僕の中で響き続けているから……
君の声が聞こえなくても
僕の声が君に響かずとも
僕は君を想い続けるだろう……