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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
3章 おっさんがダンジョンを強くする
37/81

色々と変化するものとしないもの

 女王蜂を捕まえてダンジョンに戻る途中、別れ間際のケンタウロスの態度を頭に浮かべ少し早まったかなと思う。そこで、ダンシングレー( お玉さん )ドルの考えを聞いてみる事にした。


「最後のミーズの様子だと、もっと色んな話を聞く事が出来た?」

主様あるじさまの事を認めてくれたようですが、ケンタウロスは排他的なので難しいと思います。どうせ、最初の頃のように誤解を招く結果になるかと」


 隣でカチャカチャと歩くお玉さんがそう答えてくれた。欲張ったら駄目かな。先頭を進むピクシーのサンをなんとなく眺めながらダンジョンに戻る。



 何か問題が起こる訳で無く昼前には無事に戻ってこれた。まずコボルトのナナとロクから魔石を受け取り頭を撫でて褒めてやる。


「よくやった、ありがとうな。あと、キノコはお玉さんの指示を聞きながら片付けておいて」


 お玉さんを先頭にナナとロクが洞窟の中に入って行った。次にサンの頭も撫でながら褒める。


「サンもお疲れさま。もうすぐ収穫だから、畑の様子を見ておいて」


 サンはフフフッと喜びながら飛んでいき、ケット・シーとゴブリンたちに指示を出し始めた。


 冥府の番犬( ハチ )とピクシーのスーにはその場で女王蜂を見張ってもらう事にして、急いでコア部屋に移動する。事前に決めていた通り地下に新たな部屋を作るのだ。

 ・・

 ・

 少し手こずったが、新たに作った部屋に女王蜂を放り込む。すると、ここまで女王蜂を連れてきたスーがはしゃぎながら声を掛けてきた。


「マスター。スーはね、女王蜂さんのことわかるの。だから、スー頑張るの。スーが面倒みるの」


 確かにここまで大人しく従わせていたな……少し悩んで、ハチの顔をみるとハチが推薦してきた。


「スー 任せる 大丈夫」「女王蜂 スー 命令聞く」


 ハチがそこまで言うなら問題なさそうかな。


「じゃあスー、ここは任せるから気を付けるようにね。あと、必要な物があれば報告するように」


 スーは嬉しそうに女王蜂の周りをキャハハハハと笑いながら飛び回った。そして、


「きーちゃん、ここで直ぐ、卵産むって。だから食べ物欲しいって」

「ん? きーちゃんってなんだ、卵を産む?」

「キノコ蜂の女王のきーちゃん。ここ良い所だがら、卵産んで仲間作りたいって。たくさん! それでね、ご飯食べたいっていってるの~」

「そういう事か、わかった。で、どれくらい必要だ」

「スーがね、運んでいい? 行ってくるね~」と言いながら飛んで行った。


 ……まぁいいか。あとはハチに任せようとすると、ハチまでが頑張ると言いだした。


「女王蜂 スー任せる 大丈夫」「主様あるじさま、ハチ公 集落に行きたい」「オオカミ狩る 魔石集める 頑張る」


 確かに今日の魔石の量は少ないが……。


「ハチ、行ってくれるのは嬉しいけど、無理していたり疲れたりして無いか?」

「ハチ公 無理してない。疲れてない」「ハチ公 主様あるじさま 役立ちたい」「ハチ公 行きたい お願い」

「そこまで言うならあれか、判った。今日も頑張ってくれたのに助かる、お願いするわ」


 そう言いながらハチの三つの頭と首筋を両手で撫でまわしてあげた。


 すると気持ち良さそうに仰向あおむけになりながらじゃれてくる。お腹と脇腹を撫でまわし、感謝の気持ちを伝えておいた。


 そこへ、お玉さんがナナとロクを連れて降りてきた。それを見たハチは直ぐに興奮を抑えると二匹を引き連れて出発していく。スーには女王蜂にエサを運んだら、集落に向かうように指示を出しておく。


 部屋に戻り、ひと息ついているとお玉さんがミルクティーを入れて持ってきてくれた。少し疲れていたから丁度いい。かたわらにひざまずいて控えているお玉さんにお礼をいう。


「お玉さんも今日はお疲れさま。お茶も美味しいし助かるよ」

「ありがとうございます」


 ……ん!? いつもならこの後はすっと退いて行くのにまだ残ってる。


「お玉さん、どうしたの。何か問題でも?」

「いえ、なにも御座いません」と言って、お玉さんは厨房に戻って行った。


 なんだったんだろうか。

 ・・・

 ・・

 ・

 あれから3日が経過した。その間に私のレベルが1つ上がり、19になった。もうすぐクラスチェンジだと、ウキウキしながらコアさんに聞いたら『ダンジョンマスター以上のクラスはありません』と言われガッカリした。


 女王蜂は新たに作った地下の部屋に無事、卵を産み付けたようだ。スーが生れてくるまであと2、3日は掛かると言っていた。先生はレベルが10に上がり、低級の4大元素魔法をすべて使えるようになった。今はお玉さんが火の魔法を、私とサンとスーが風の魔法を教わっている。


 サンは風魔法をある程度マスターして、前に聞いていた成長を早めるスキル、グロウスアップを使い始めた。おかげで“守りの森”に野菜を採りに行かなくても良くなった。


 剣の修行の方は、リッチ先生やトロルとの戦いを相変わらず繰り返している。今は先生の操る4体のスケルトンとも互角に打ち合えるようになっていた。トロルとの戦いはロングソード(両手剣)を使い打ち込み、体に剣の重さを覚え込ませていく修行だ。


 オオカミ狩りのやり方は少し変えている。キノコ蜂の巣を壊してしまったので“守りの森”で回収できる魔石が減ってしまった。そこでオオカミの方で安定して稼ぎたいと思ったのだが、なかなか上手く行かなかったのだ。


 オオカミはこちらが居ない時を狙って集落に来るようになったので、どうしても散発的な狩りになってしまい、必要な魔石を揃えることが出来ない。それでハチが常時待ち伏せをしたいと言いだし、今は昼から夜中まではコボルトのナナとロクが、夜中から夕方まではハチが集落で頑張るようになり、スーと蝙蝠達もそれぞれの時間でフォローしながら狩りを行っている。まあ、そのおかげもあって魔石の数は減らなかったが、それでも増えてはいない。



 今日も早朝からみんなが忙しく動き回っている。私は昼まで“守りの森”で狩りをする為に出発の準備をしていた。あまり魔石を稼ぐ事は出来なくなったが、ノームの爺さんとは仲良くしておきたいし、ジャイアントスパイ(大蜘蛛)ダーを狩っておく必要もあるしサンダーボア(稲妻猪)を持って帰りたいってのもある。


外周りユニーク部隊(ナンバーズ部隊)はオオカミ狩りに行っているので人数は少ないが、野菜を持ち帰る必要は無くなったし、キノコ蜂の数も減ってるので少数でも余裕があるのだ。それでお玉さんとサンを呼んだのだが……。



 この3日で色々と変わった。仲間でない魔物の女王蜂をダンジョン内に住まわせた。ナンバーズ部隊は二十四時間体制で狩りをしてる。先生が魔法を覚えて火と風の魔法が使えるようになった。


 だが、それ以上の変化が目の前にある。


 鎧を召喚出来る様になった時は寸胴の様な鎧をガチャンガチャンと操っていた。女王蜂を捕まえに行った時には、少し形をかえ随分滑らかにカチャカチャと動き、ヘルメットにはフェイスガードの装飾が付いてた。それからも少しずつ改良を加えどんどん精巧になり、騒音も小さくなっていってたのだ。


 しかし今の見た目は…………。


 ヘルメットの装飾はさらに細かくなり、頭の横には巻き角まきづのの飾りが付いている。手甲しゅこうは指先まで滑らかに動くようで、腕当うであてや上腕当、脛当、太腿当はスリムな形状をしており、中の体にフィットしているかのようだ。その分、肘当てや膝当、肩当などの関節部は少し大きくなって華やかになっている。


 胴体は上半身と下半身がセパレートになっており、胸の部分が軽く三角に突き出ていて腰はきゅっと引き締まり、お尻の部分は少し丸みを帯びて膨らんでいる。鎧の切れ目からは空っぽの中身の代わりに、目の細かい黒いチェインメイルが見えて不自然さを無くしている。まるで目の前に女騎士がいるかのような錯覚を覚える。


 いや、いるんだろうが中身は無い。それなのに……なんかあれだ。そう、可愛く見えるのだ。


 そのあとに行った狩りは呆気に取られているうちに、いつの間にかに終わっていた。ノームの爺さんが来たようだがそれもあまり覚えていない。



 ダンジョンに戻り、コア部屋に入るとお玉さんがお茶を入れて持ってきてくれた。少し意識しながらそれを受け取りお礼を言う。


「お玉さんいつもありがとう」

「いえ、私の役目ですので。あと、魔石もお願いします」と袋に入った魔石を渡して来た。


 すっかりと忘れてた。それを受け取ってダンジョンコアに吸収させる。ふと横をみると、いまだにお玉さんが横でひざまずいてじっと待っている。


「えっ、まだ何かわすれてる?」

「いえ、そうではないのですが。もし宜しければ、褒めて……頂けないかと」


 最後の方は声が小さくなっていた。今まではただの調理道具だったが、体があるとこんなにも印象が変わるものか。それが「褒めて」とか。


 だめだ、ちょっと可愛らしい。ドキドキしながら目を見て声を掛けようとするが、少し俯きながら頭をこちらに近づけてくる。ん!? この動きは犬たちと同じ動きだ。


 やばい! これに手を出したらやられてしまいそうだ。気分を変える為にも、必死に頭を働かせる。そして、冷静さを装いながら


「撫でて欲しいの? それなら本体のお玉の方が良いんじゃないの?」

「いえ、今はこちらも私の体ですのでよろしければ、このまま頭を撫でていただければ……」


 最後は消え入るような声だった。健気けなげなその態度にもう既にやられてしまったようだ。覚悟を決めて、お玉さんの頭に手を持っていく。




 …………うん、知ってたけど冷たくて固い。

「夜目遠目笠の内」なんて言葉があるそうです。

鎧の中身はありませんが、その仕草が可愛く見えてくるのです。


我々世代の男なら、スキー場のいる娘が可愛く見えて仕方なかったはずです。

脱がしてみたら・・・あっそんな経験なかったです。

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