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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
3章 おっさんがダンジョンを強くする
35/81

ゴブリン集落と蜂の巣と

 翌朝のバンパイアバット( 吸血蝙蝠 )たちの報告では、さらに夜のシャドウウルフ(オオカミ)の数が増えたそうだ。残っているゴブリンの数はどうなんだろうと冥府の番犬( ハチ )に聞いてみた。


「集落には今どれくらい残ってるの?」

「残り 63匹」


 最初は二百以上いたはずだが結構減ってるな。というか、なんか具体的な数字だ。


「そんなに減ってるのか……。これ以上減るなら先にゴブリンを殲滅するとかも考えとかないとな」

「子供 たくさん 生まれる」「ゴブリン また 増える」

「まあ、そうなんだが。今日も何匹いるか数えてきて」

「ゴブリンの数 主様あるじさま 報告する」


 そんな会話をして外周りユニーク部隊(ナンバーズ部隊)を送り出した。その後は畑で作業してたピクシーのサンから報告を聞く。


「マスター。野菜、明日か明後日には収穫できそうですの」


 横でそれを聞いたケット・シーが嬉しそうにしている。そう言えば料理をあげる約束をしていたな、忘れないようにしないと。

 

 厩舎に移動するとダンシングレー( お玉さん )ドルがすでに牛乳を運び終えていた。牛の親子の様子を確認するが特に問題はなさそうだ。担当のケット・シーに散歩ご苦労さんと声を掛け上に戻る。



 お玉さんに今日は如何するのか尋ねると、昨日と同じように畑を手伝ったあとにサンと魔法の修行を始めますと伝えて来た。


 リッチ先生を探し、スケルトンを操ってもらって剣の修行を始める。しばらくするとお玉さんとサンが上がって来て修行を開始する。そのまま昼まで修行をつづけ終了した。途中、サンの土魔法が何度か発動したようだ。良い調子だ。


 少しのんびりしながらナンバーズ部隊を待つ。すると何故かコボルトのナナとロクだけが帰って来た。


 何事かと驚いて迎えに行くと、ロクが魔石を5個だけ持ってきて『隊長 狩ル 夜 帰ル』と伝えてきた。


 ああ、そう言う事か。なら途中で帰ってこなくても問題はないか。魔石の数を見ると午前中はオオカミが近寄って来ないのだろう。



 ナナとロクに少し休憩を取らせてから“守りの森”に出発する。


 最近“守りの森”では自分のレベルを上げる為に、ほとんど一人で戦っている。他のメンバーには魔石を取り出してもらっているのだがクロップスビー(キノコ蜂)が減ったので少し暇そうだ。ジャイアントスパイ(大蜘蛛)ダーを狩りながら、キノコ蜂を探していると四、五階建てのビルのような巨大な巣をみつけた。


 いい場所を見つけたとその場に留まり、そこから出てくる蜂をひたすらに倒し続け夕方まで狩りを続ける。


 帰る前に来たノーム爺さんと明日の予定を再確認して、野菜とサンダーボア(稲妻猪)を手に入れてからダンジョンに戻った。



 食事前にのんびりしてると、ピクシーのスーだけが帰って来た。さすがに何かあったのだろうか? 心配しながら出迎えるとスーがフラフラ飛びながら袋を持ってくる。


「スーね、魔石持って来たんだよ。はい、マスター受け取って」と魔石の入った袋を渡して来た。


 中には8個の魔石が入っている。


「ハチはどうしたんだ?」

「隊長、まだ頑張りたいって。寝る前に戻るって。あとね、ゴブリンの数は61匹って」


 褒めて欲しそうに報告してきたスーの頭を軽く撫でてやる。いつもの様に嬉しそうに飛び回った。ふと、その後ろに目が止まる。


 畑の向こう側にオオカミの死体が4つ積み上げられている。魔石が少ないから責任を感じてるんだろうか、帰ってきたのならば挨拶すればいいのに……。ケット・シーとコボルトを呼んで、それぞれに二つずつ渡す。


 上に戻ってお玉さんにハチが遅くなる事を伝え、食べる分を残して置くように頼んだ。食事を食べた後は先生にお玉さんとピクシーに魔法を教えるよう頼んで地下に向かう。2匹のトロルと刃がなくなったロングソード()で戦うのだ。殴りまくってから上に戻って来た。木刀で修行するだけじゃなく、重い剣での訓練も積んでおかないと。


 そろそろ、ハチが戻ってくる時間だ。と待ってるとお玉さんが話し掛けてきた。


主様あるじさま、明日の事なんですが………」


 聞くと、ケンタウロスとグリフォンの話だった。ケンタウロスは頭が良いが排他的で、あまり喋らないらしい。グリフォンは言葉を話さない上に縄張り意識が強く、さらに気性が荒いので注意が必要だそうだ。ノームの爺さんがいるから、大丈夫だとは思うが注意して欲しいという事だ。


 面倒くさそうな感じだ。そんな風に明日の事を話し合ってると、ようやくハチが帰って来た。


 今日は良く頑張ってくれたと出迎えると、誇らしげに魔石の袋を渡して来る。中身を確認すると、オオカミの魔石が15個と見た事ないのが5個入っていた。


「ハチ、凄いな!! 本当まじに助かるわ」と、両手で3つの頭を撫でやる。


「あと、この5個は?」

「ロックリザード 手に入れた」


 初めて聞く名前だが、近くにいたからついでに狩ったのだろうか。ひとしきり撫でて褒めた後、ハチに食事をするように指示して上にる。


 コア部屋に入り、魔石を吸収させて行く。ロックリザードは5ポイントしか無かったがそれでも今日一日で400ポイントほど増え、DPの合計が2400ポイント近くなっていた。もうすぐ過去最高だな。そろそろダンジョン内で自分のレベル上げを再開しようか。まあその前に、明日のケンタウロスとグリフォンかと考えながら眠りにつく。




 朝起きて、いつものように蝙蝠の報告を聞く。昨日の夜にハチが暴れたのでオオカミの数は減ったそうだ。


 コア部屋の外にでると、ナンバーズ部隊がすでに出発する準備を整えて待機していた。ハチに今日の予定を伝え、お玉さんとサンもいっしょに連れて“守りの森”に出発する。


 森に着くとすぐにノームの爺さんが挨拶してきた。横には同じような格好の少し若そうなノームが二人立っている。髭と帽子の形が若干違うのでなんとか見分けが付くぐらいだ。


「マスターさん、しばらくお待ちくだされ」


 挨拶しようとしたら待つように言われ、直ぐに蹄の音と羽ばたき音が聞こえケンタウロスとグルフォンが現れた。


「揃ったようじゃの。こちらがケンタウロスのミーズとグリフォンのフィラじゃの。あとこの二人がわしの仲間じゃ」

と、ケンタウロスとグリフォン、ノームの二人を紹介してくれた。


「私は滝の北側に住んでいる者で、マスターと呼ばれています。“守りの森”のノームさんには、いつもお世話になっております。今回はご一緒させて頂く事になり有難うございます」

「いやいや、お世話なんてとんでもないじゃ。逆にマスターさんは大蜘蛛を退治してくれとるし、今回のキノコ蜂の巣もマスターさんのおかげなんじゃ」

「いえいえ、その代わり野菜を頂いたり稲妻猪を頂いたりしています」


 それを聞いたケンタウロスの表情が少し変わった。グリフォンも少し重心を落としたようだ。剣呑な雰囲気にノーム爺さんが慌てて付け加える。


「いやいや、それは大蜘蛛とキノコ蜂退治の報酬のような物じゃ。それに野菜は少しだけじゃし、イノシシも1匹だけじゃ。こっちの方が助かっとるのじゃ」


 その言葉を聞いたケンタウロスが少し表情を緩め、挨拶してきた。


「近隣のかた、宜しく頼む」

「こちらこそ。ミーズさん、フィラさん、よろしくお願いします」


 そう挨拶を返し、こちらのメンバーを紹介した。グリフォンが挨拶するかのように鳴き声を上げて翼を羽ばたかせて空に飛び上がった。


「蜂の巣に移動しますじゃ。付いて来て下され」


 飛んでいくグリフォンをケンタウロスとノームたちが追いかけ、こちらも後につづく。巣に着くとそこは昨日、散々キノコ蜂を倒した場所だった。周りに魔物の影はない。


 グリフォンが地面に舞い降り身を引くし警戒をしている。ケンタウロスも武器を構え戦闘の準備をしているようだ。


 巣の入り口の大きさは60cm程でさすがに私は入れない。ノーム爺さんに話を聞くとノームの3人が中に入って茸を採ってくるそうだ。


 こちらはハチとナナとスーには女王蜂を捕まえるように命令し、ロクとサンにはノームたちの手伝いをするように命じた。


 お玉さんとは昨日の夜に話し合い、ここに残って護衛をして貰う事になっている。


「では、行きますかの」




 そう言うと、ノーム爺さんが巣の中に入って行った。

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