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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
3章 おっさんがダンジョンを強くする
34/81

仲間たちの実力

 ダンシングレー( お玉さん )ドルにお茶を淹れてもらい、トロルの事を考えていたら狩りに出ていた部隊が帰って来た。


 いつもの様に外周りユニーク部隊(ナンバーズ部隊)を出迎える。うちの最強戦力の冥府の番犬( ハチ )がしょんぼりとしながら先頭を歩いてくる。あまり成果が良くないのか、なにも言わずにコボルトのロクに魔石を渡すように促した。


 ロクから受け取った袋は軽い。中にはシャドウウルフ(オオカミ)の魔石が8個しかなかった。


 そう言えば先生のレベル上げを始めた所だ。やっぱりDP(ダンジョンポイント)を使ったら収入が減るのか……。どうしたらいいんだろう、と思いながらハチを見ると何か言いたそうだ。


「オオカミは、いないの? バンパイアバット( 吸血蝙蝠 )は増えてると報告してきたのに」

 ・・

 ・

 ハチが話してくれた内容を纏めると、ナンバーズ部隊が朝、集落に付くとオオカミが直ぐに逃げて行ったらしい。そこで昨日と同じように二手に分かれてなんとか8個は集めたって感じだそうだ。ただオオカミの数が減っているかと言うとそういう訳ではないようで、昼になって部隊が帰ろうとするとオオカミたちは徐々に戻ってくるのだそうだ。


 そう報告し終えたハチは少し沈黙をはさんだ後、悔しいので昼からもピクシーのスーと二人でオオカミ狩りに行きたいと言いだした。


 こっちのパターンが読まれてるのか……それなら確かに昼からの狩りも良さそうだ。それに“守りの森”は戦力的には問題ないしハチも退屈そうにしてた。


 けどスーは嫌がりそうだな。いちおう聞いておくか。


「スー、ハチが二人で今からオオカミ狩りに出発したいと言ってるけど、どうする?」


 少し悩んだ後スーが答えた。


「スーは、隊長とオオカミ狩りにいく~」


 予想外の答えだ。でも嫌がってないならまったく問題ない。


「じゃあ、ハチ。少し休んでからスーと一緒に行って来て」

「「「主様あるじさま 感謝。 ハチ公 主様あるじさま 役立つ!」」」


 よっぽど嬉しいのか三つ首の声を重ねて答え、尻尾をビュンビュン振っている。



 ハチとスーを送り出した後にお玉さんと残りのメンバーで“守りの森”に向かう事にした。付いたら大蜘蛛、クロップスビー(キノコ蜂)を探しだして狩っていく。


 狩り始めてから結構な日にちが経ってるが蜘蛛の数はあまり減っていない。どんどん復活してるようだ、前に退治した場所に新しい奴が住み付いている。それに比べてキノコ蜂の方は、ちょっとずつ少なくなってはいるかもしれない。


 しばらくの間、レベル上げの為に1人で狩っていたらお玉さんが声を掛けてきた。


主様あるじさま、私にも戦わせていただけないでしょうか?」


 お玉さんは昨日に引き続きフルプレート鎧を召喚していた。ただ、鎧は昨日よりパーツが多くなったのか少し動きやすそうになっている。本体であるお玉は腕の中にでも隠れてるのか、何処にいるのか分らない。自分のレベリングをひとまず横に置き、面白そうなのでやらせてみる事にした。


 ちょうど、ピクシーのサンがキノコ蜂の群れを見つけてきた。


 するとフルプレート鎧がどこからか取り出したお玉を両手に持つと、ガチャガチャと騒がしい音を立てて走りだした。鎧の両手に持たれたお玉は徐々に形状を変えていき、柄は1m以上伸び、お椀の部分は大きく長細くなりながら角度が緩くなっていく。そして、まるでラクロスのラケットのようになった金属の大きなスプーンを鎧が手に持って走っている。


 唖然としながら眺めていると、お玉さんはそのままキノコ蜂に突っ込んで、その大きなスプーンをおもいっきり振り回し始めた……がスプーンの重さに耐え切れずくるくるっと独楽のように回ってバランスを崩してしまった。しかもそこに蜂が大きな針を突き出しながら飛び込んでくる。


 やばい! 助ける為に前に出ようとすると「主様あるじさま、この程度は問題ありません」とお玉さんが言い切る。


 言われたまま立ち止って様子を見ると、鉄の鎧は蜂の針を軽く跳ね返す。さらに、蜂の毒も鎧の表面を流れるだけで問題ないようだ。敵の攻撃を無視しながら、何度も何度もスプーンをブンブン振り回す。


 初めはヨタヨタしていた足腰も次第に定まり出し、スプーンの振りが鋭くなっていく。終いには、ぐるんぐるんとスプーンを振り回しながら、キノコ蜂の首を次々と刎ねていく。いつの間にか音楽も奏でている。あまりの変化に付いて行けず、はっとして気づいたらお玉さんがキノコ蜂を殲滅していた。


「“お玉の体を鎧が振る”という感覚を掴むのに、少し時間が掛かりました。ですが鎧の動かし方にも慣れてきましたし、戦いながら支援も使えそうです」


 最後の方の動き、あれ、多分私より強い。もっと慣れたら、ハチより強いかもしれん。もともと、ステータス的にも優秀だったが……それが、体を手に入れて開花したのか。


 なかなか理解できずに唖然としていると、サンがノームの爺さんを連れてきていた。近くにいたのを見掛けたサンが声を掛けてくれたようだ、後で褒めておこう。


 こちらに近付いて来たノーム爺さんは、お玉さんの姿をみて警戒しているようだ。ノームの爺さんからしたら、ハチがいないと思ったら変な鎧が暴れてる。私ですら驚いているのだ、気になるはずである。


 安心してもらうために、キノコ蜂の魔石を取り出していたお玉さんに横に来て控えていてもらうよう命令する。少し安心したノーム爺さんに、今までも一緒に来てたお玉さんだと説明すると驚いていた。


 お玉さんの声を聴いたが、それでも信じれなかったのか鎧の中を覗き込んで確認している。しばらくして、気を取り直したノーム爺さんがお玉さんに小瓶を手渡す。


「びっくりしたが中には誰もおらんし、声からするに本当にあのお玉かの。ならばこれを……ノームに伝わる蜂の茸で作ったお茶ですじゃ」


 受け取ったお玉さんが、中身を見ながら感想を伝えてくれた。


「香りがよく美味しそうですね。帰ったら淹れてみます」


 今までは味付きのお湯をお茶と言ってたのだが、これは嬉しい。


「有難う御座います。こういう嗜好品はまったく無くて。本当に助かります」


 頭を下げて感謝の気持ちを伝える。

 

「喜んで頂けて良かったですじゃ。それとキノコ蜂の巣の事ですがの、二日後を予定してますじゃ。そちらの都合はどうですじゃろうか」


 二日後、陽が昇ったら直ぐに“守りの森”に来ますと喜んで約束した。向こうのメンバーを聞くと他にノームが二人とケンタウロスとグリフォンが来るらしい。ケンタウロスとグリフォンは蜂の巣には入れないそうだが、出てきたキノコ蜂を倒したりするそうだ。新たな種族との出会いもあるのか。


「会えるのを楽しみにしてますとお伝えください」と伝えてノーム爺さんと別れた。


 洞窟に戻る前に少しだけ野菜を採り、いつもの様にサンダーボア(稲妻猪)を1匹捕まえて帰る。イノシシはお玉さんが、カシャカシャと歩きながら担いでいる。お玉さんが言うには鎧の体なら相当に力を出せるそうだ。



 陽が沈みきる前に洞窟に到着した。お玉さんは帰ると早速お茶を淹れてくれた。あの赤い実を甘く煮たジャムが入っている。うん、美味しい。色も赤いし紅茶のようだ。いつものように食事までのんびりと過ごす。


 陽が暮れたのか蝙蝠達が偵察に出て行った。ハチたちは遅いなと思っていると、ちょうど帰って来たようだ。


 魔石の入った袋を中央の口にくわえ、左右の口がオオカミの死体を咥えている。スーもはしゃぐように飛び回っている。出迎えるとオオカミの死体を横に置いて


主様あるじさま 魔石 どうぞ」「ハチ公 スー 頑張った」と誇らしげに袋を渡して来た。


 中を確認すると魔石が16個も入っている。


「おお、良くやった」と言いながら袋を渡した位置でそのまま待っているハチの頭を撫でてやる。


 嬉しそうに左右の頭も近づけてきた。その二つの頭も撫でていると、スーが飛んできてハチの真ん中の頭の上に座り「スーも! スーも頑張ったんだよ」


 そう言って褒めて欲しそうにこちらを見ている。こいつまた調子に乗って、と思っていたが頭の上に乗られてもハチは怒らない。ハチも認めるぐらい頑張ったという事か。


「スーも良く頑張ったな」


 小さい頭を軽く撫でてやるとキャハハハと言いながら飛び回りだした。ゴブリンとケットシーにオオカミを運ばせて上に移動する。


 すでに、お玉さんが料理を用意してくれていたようだ。みんなで揃って食事をすませる。うん、美味しい。後は寝る前の修行だ。


 リッチ先生の所に移動すると、お玉さんとピクシー達が魔法の修行を始める。横ではハチがナナとロクに木刀を持たせ戦い始めた。私もリッチ先生と向き合う。


 すると、先生が報告してきた。


「レベルが1つ上がりました」


 うん、順調だ。さっそくスケルトン三体と修行を始める。


 あれ、手強い。午前中は打ちこんでいたのに。あっ、先生もレベルが上がったからか。




 くそ、また打ちこめなくなった。

【閑話休題】

ハチが昼に帰って来た時の報告。

「部隊行く オオカミ逃げる」「部隊 分ける 探す」「オオカミ狩る 8匹」「時間 帰る オオカミ増える」

「・・・・・」「ハチ公 悔しい」「ハチ公 スー 2人 昼から狩り」「主様あるじさま お願い」 

3つの頭がバラバラにしゃべるのですが、分かり難い。

纏めてみると――――――――。

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