表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
3章 おっさんがダンジョンを強くする
32/81

調子にのらず気を引き締める

 ノーム爺さんと別れたあと洞窟に戻り、みんなで食事をする。


 ダンシングレー( お玉さん )ドルが出してくる料理がいつもより多くて豪華だ。聞くと、もうすぐ洞窟前に植えていた作物も収穫できそうなので、倉庫に運び込む時に在庫整理をして足の早い物を全部調理してしまったそうだ。みんな美味しそうに楽しんでいたが、さすがに食べきれなかった。


 そこで残った料理を眷属に食べさせてやろと思って、久しぶりに地下に行ってみる事にした。


 リッチ先生には、お玉さんとピクシーたちに魔法を教えるようお願いしておいて、冥府の番犬( ハチ )と一緒に地下へ降りて行く。


 料理を見たトロルとケット・シーたちが喜びの声をあげる。全員で分けて食べるように指示したが、いつも修業で殺していたトロルが声を荒げる。


「オデ ゼンブ ダオズ ゼンブ クウ 」


 無茶な事を!? と思っていたら他の2匹のトロルもやる気になってる。ケット・シーたちも3匹でセットなら、とかやる気だ。スライムたちも何かモソモソとしている。


 いやいや、スライムは味とか関係ないだろ。それにケットシーは駄目だ。トロルの攻撃が当たったら簡単に死にそうだ。


 DP(ダンジョンポイント)は大分たまったけど、レベルを上げるなら私がやるのだよ。こいつらといい、なまえ持ちの魔物(ユニークモンスター)といい大体なぜにみんな食い意地がはってるんだ? ダンジョンの中では物を食べる必要がないのに………。


 仕方がないので、料理をトロルの分とケットシーの分とにわけてやる。とりあえずケット・シーには仲良く食べるよう命令した。


 いっぽうトロルたちはもう興奮が治まらない様だ。命令しても不満が溜まるだけかな、戦わせる事にした。ただし、絶対に殺さないようには命じておいた。



 私が戦いの許可を出すと、三匹のトロルが早速に向きあった。“いつもの”トロルは余裕をみせている。準備は整ったようだ、戦闘開始の合図をだした。


 直ぐに殴りに行くのかと思っていたが、全員様子見で距離を測ってる。れたのか、”いつもの”が1匹に狙いを定め殴りかかった。肩口に、振り回した腕が炸裂する。


 が、殴られたトロルは、体勢を崩しながらも殴ってきた腕にしがみついた。その瞬間をついて、残っていたトロルが”いつもの”に殴りかかる。


 腕をつかまれ、躱せなかった“いつもの”は吹っ飛ばされる。


 倒れた“いつもの”に、2匹が襲い掛かる。組み伏して、腕をとり足をとりして戦力を削いでいく。ほどなくして“いつもの”は体中ボコボコにされる。


 指をかみ千切られ、両腕を折られ、片足も引き千切られてしまっていた。“いつもの”は悔しそうに鳴き声をあげる。


 勝ち残った2匹も、料理を分け合うことなく戦い始めた。前の頃のように力任せに殴る訳ではない。フェイントをいれ、相手のバランスを崩す。そして腕を取ったら一気にぶち壊す。


 結局、最初に殴られたトロルが最後まで生き残った。勝利の雄たけびを上げると、料理を全部を口の中に放り込んだ。


「もっと、ゆっくり食べろよ」と思わず突っ込む。


 すると、ボロボロになっていた“いつもの”が悔しがる。

「グイモノ モウ ナイ マゲデ グヤジイ……」


 ケット・シーに確認すると、溜め込んでいた食料が少し前に無くなっていたそうだ。そう言えば最近は洞窟組にエサをあげてなかったな。横で楽しそうにトロル達の戦いを見ていたハチに、オオカミの死体を持ち帰るように頼んでおいた。


 いやそんな事より、こいつら相当強くなってる。“いつもの”だけじゃなく残りの2匹も戦い慣れしてた。しかも、バカで自分勝手なトロルが一時的にとはいえ、連携して。


 良い感じだ。良い感じだけど、やりすぎだ。たしかに殺してないけど、最後に倒れた奴なんて頭半分吹き飛んでる。そう言えば、前にコア部屋で戦闘を観てた時も腕引き千切られても戦ってた。注意しようと思ってたのに忘れてたわ。


 勝ったトロルに聞くと腕ぐらいなら一晩休めば生えてくるそうだ。それで、あそこまで出来るのか。通常トロルが防御しなかったのも納得だわ。


 それにしてもトロル、恐るべし。


 料理を食べさせたあと久しぶりに戦ってみようかな、なんて思ってたけど何かやる気がなくなった。最後に訓練の時にトロル同士で戦う場合は常時1匹は無傷で残すように命令して上に戻った。



 魔法の修行の様子を見に行く。お玉さんは、ほとんどミスすることなく発動できるようになっていた。ピクシーたちも一生懸命に詠唱しているが、こちらはまだ無理なようだ。修行を終了してもらい、ピクシーたちにトロルの治療をお願いしておいた。


 その後はリッチ先生にスケルトンを操ってもらい剣の修行を始める。横にずっと付き従っていたハチも、ナナとロクを呼んで訓練を始めた。お玉さんはMPがなくなるまで魔法の修行を続けるそうだ。


 それを横目に見ながら、自分の修行を続ける。今日“守りの森”でレベルが上がったからか、今までの剣の修行が実を結びだしたからか、スケルトン三体に少しずつ打ち込めるようになってきた。連続でスケルトンに木刀を叩き込み、満足しながら早めに修行を切り上げる事にした。


 コア部屋に戻って、魔石をダンジョンコアに吸収させながらレベルの上がった自分の能力を確認する。


「ステータス」


 あれ、剣術なんてスキルが付いている。レベルが上がったから付いたのかな。コアさんに聞いてみる事にした。


『スキルとは魂に刻まれた技術の事です。レベルとは関係なく、一定以上の技術を習得すると表示されます』


 また、難しい言い方だ。考えてみると土魔法が付いた時もそうか。スキルが載ってるから使えるんじゃなくて、使える様になったらスキル欄に載るのか。まあ、結局は同じ事なんだが……。


 するといつの間にか、戻って来てたお玉さんがお茶を淹れながら声をかけてきた。


「私のようにレベルが上がると、新たなスキルが使えるようになる者もいます」


 そう言い終えると、目の前でフルプレートの鎧を召喚してくれた。


「おお、すごい! 召喚魔法をマスターしたのか!?」

「いえ私の場合は鎧以外は召喚できませんし、しかも1つしか召喚できないのです。すこし特殊ですので、召喚魔法をマスターしたと言うほど大した事では無いのです」

「いや、それにしても凄いわ。おめでとう」

「ありがとうございます。他の方々もレベルが上がれば何か出来そうな予感を持っている方もいると思います。一度、確認してみてはどうでしょう?」


 目の前で実践されると、説得力がある。これはみんなに聞いて確認しなければ。


 自分は、と考えると今なら何でも出来そうな気がする。直ぐに調子に乗ってしまうのは私の悪い癖だな、気を引き締めておこう。




 確認する時にも私みたいな例外も居そうだ、すぐに調子にのるスーとか要注意か。

参考資料


 名前:主        名前:ダンシングレーデル

 種族:マスター     種族:踊るオタマジャクシ

レベル:18      レベル:14

 HP:106(53)  HP:107

 MP:76(38)   MP:63

  力:62(31)    力:42

器用さ:70(35)  器用さ:62

耐久力:44(22)  耐久力:65

素早さ:50(25)  素早さ:50

 賢さ:80(40)   賢さ:64

スキル:コア操作、剣術 スキル:支援演奏 鎧召喚

    低級魔法        


ご意見、ご感想、ご要望があれば、一言でもお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ