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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
3章 おっさんがダンジョンを強くする
31/81

いろいろと充実していく

 バンパイアバット( 吸血蝙蝠 )からの報告によると、ゴブリン集落へのシャドウウルフ(オオカミ)の襲撃はさらに激しくなっているようだ。


 それを聞いた冥府の番犬( ハチ )が嬉しそうに外周りユニーク部隊(ナンバーズ部隊)を連れて出発して行った。


 外まで出て部隊を見送ったあと畑の様子を見る。すると野菜が思った以上に成長してる事に気づいた。ピクシーのスーに聞くと最も早いものは、あと2、3日で収穫できるそうだ。なぜか作物の成長が速いんですのと喜んでいた。


 次に水牛の部屋、滝の裏に造った厩舎に移動してケット・シーから牛乳を受け取る。するとケット・シーが牛乳を用意しながら話し掛けてきた。


「牛の親子、狭い厩舎で鬱憤うっぷんが貯まっているようなのね。それで、少し散歩をさせてあげて欲しいね」

「わかった、考えとくよ」


 後で誰かに散歩させようか。上にもどってダンシングレー( お玉さん )ドルに牛乳を渡す。


「わざわざ運んで頂いて、ありがとうございます」


 お玉さんがお礼の言葉を口にしながら牛乳を受け取ってくれたのだが、何故かそれをじっと持ちながら悩んでいるようだ。


 どうしたのか尋ねてみると「お願いがあるのですがよろしいでしょうか、厨房の横に食料倉庫を作って頂きたいのです」と言ってきた。


 たしかに今は1階の大部屋の樽に、食料をバラバラに保管してるから面倒みたいだし、バターやチーズを作る場所も必要だそうだ。


 しかし、朝からお願いばかりだな。確かにやる事が多くなってるから仕方ないと言えば仕方がないが……。


 DP(ダンジョンポイント)は1500ポイント以上貯まってるので、作るのには問題ない。この所のオオカミ狩りや“守りの森”のクロップスビー(キノコ蜂)狩りなどで相当を貯め込んでいたのだ。


 ただあまり使いたくは無かったのだ。今まで使うと、まるでフラグが立つかのように収入が減っているから……それに出来れば魔法の石板を手に入れたかったし……。けど、必要な物があるのにいつまでも使わない訳にもいかない。ダンジョンコアの前に立ち食料倉庫つくる事にした。


 さあ、これで作業は終わり。次は修行だ! とお玉さんに声をかけるが、倉庫に食料を運搬しておきたいと言ってきた。


「むぅ」めんどくさい。


 ナンバーズ部隊が帰ってくるのを待つのもあれだし、サンや蝙蝠じゃほとんど運べない。ケット・シーを二階に上がれるようにすれば良いか。


 部屋を作ったり行動範囲を設定し直したりしたが、結局お玉さんは倉庫を方付けてるそうなので、魔法は後回しにして剣の修行から始める。



 リッチ先生に声を掛けてスケルトンたちと向き合い、お玉さんが作ってくれた木刀を構える。昨日までみたいに寸止めじゃない、これで攻撃を叩き込むことが出来る。モヤモヤを晴らしてやろう、という思いを心に秘め修行を始める。


「では、よろしくお願いします」


 先生が挨拶をするとドミネイトアンテッド(不死者の支配)を使って4体のスケルトンを操りだす。あまり素早くはないが、4体による連続攻撃が始まる。


 余裕をもって攻撃を避けて、回り込み、打ち込む。それをスケルトンが持つ剣で防御される。ここまではいつも通りだ。さあ、打ち込むぞと思った瞬間!? 間髪入れずに今までにない鋭い攻撃が飛んできた。


 状態を崩しながら必死に躱す。


 先生も木刀になって気合が入ってるのか、手加減なしの攻撃を打ちこんできた。あまりに鋭い攻撃に、自分の体が大きく反応し過ぎてしまい、こちらの攻撃が当たらない。


 これ、強い!


 気を引き締め直して修行を続け、鋭い攻撃にも少しずつ慣れてきた。それなのに、ほとんど状況が良くならない。4本の木刀がまるでひとつの流れとなって襲い掛かってくる。


 その流れを変えようと、少々の被弾は覚悟し攻撃してみる。しかし私のその動きを4つの顔、8つの目で見極められ、こちらの攻撃は全て剣で受け流されてしまった。まるで三面六臂さんめんろっぴならぬ、四面八臂の阿修羅に見える。


 次第に攻撃できなくなっていく。ダメだ、手強すぎる。防御だけで精一杯になって来た。この前、本当に勝ったのか?


 もう無理と、大きく距離をあけ戦闘を中断する事にした。すこし休憩をとりながら先生に確認してみる。


「私の修行でもあります、大分と操るのに慣れてきました。私も強くなっているかと思います」


 さすが先生だわ。


 サンを呼んで来てもらい“手当て”を受ける。スケルトンの数を減らして修行を続ける事にした。3体のスケルトンのそれでも鋭い攻撃を避けて、なんとか反撃が出来ないかと考える。足の運び方、体のさばき方、剣の軌跡、かすかな雑学知識をたぐり寄せ、ひとつひとつ自分の体で実践していく。気が付くと昼になっていたようだ。


 魔法の修行を忘れていたが、お玉さんはサンといっしょに練習したそうだ。昨日の時点で、2回に1回は発動するようになっていたので自分たちでやってたらしい。



 ちょうど帰って来たナンバーズ部隊を出迎えるが、魔石の数は12個だった。DPを消費したからではないだろうが……。残念そうにするハチに確認すると、オオカミがあまり集落に近寄って来なくなったらしい。それで、二手に分かれて探し回ったそうだが、それでもこの数のようだ。


 蝙蝠の報告では数が増えてると言ってたのに、まぁ仕方ない。


 少し休憩させてから、散歩ついでに水牛の親子をつれて“守りの森”に出発した。ジャイアントスパイ(大蜘蛛)ダーを探し、キノコ蜂を探して狩りまくる。攻撃が当たらなくなった修行のストレスをここで一気に発散する。


 ハチはもちろん待機だ。戦い始めたら私の獲物まで狩り尽くしてしまう。連れてきた牛たちの護衛を兼ねた見張り役について貰った。頭2つを地面につけて、退屈そうに周りを警戒している。


 ナナとロク、サンとスーは忙しそうに魔石を取り出しながら、合間を見て野菜を集めて水牛に積んでいる。途中で私のレベルも上がって、さらに夢中になって狩りを続けていたら夕方になっていた。



 ノームの爺さんが来て、さかんにお礼を言ってくる。こちらの都合で暴れてただけなのだが、ここはその言葉に便乗してお願いする事にした。


「次に蜂の巣にキノコを取りに行くときに同行させてもらえませんか?」

「マスターさんのような強い方に来ていただけるなら、願ったりですじゃ」

「有難うございます」

「何人ぐらいでいらっしゃるのですかな。分配方法の事もあるのですじゃ」

「このメンバーで行こうと思ってるのですが、分け前はいりません。その代わり……」


 お玉さんやサンに話を聞いたら面白そうな蜂だったのだ。そう、私の目的はキノコ蜂クロックスビー自体。女王を捕獲して連れ帰るのが目的なのだ。洞窟に連れ帰ってキノコの安定供給を目指す!


 聞いた話だと調味料とハチミツだけじゃなく、蜂の子や蜂自体も食料になる。ノーム爺さんに確認してみると、女王蜂を連れ帰っても問題ないと言ってくれた。


 ただ“守りの森”のメンバーを集めるのに少し時間が掛かるらしいので、日時が決まってから教えて貰う約束をして別れた。上手く参加できそうだ。




 これでまた一歩、食生活が豊かになる。

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