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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
2章 おっさんがダンジョンマスターを楽しむ
24/81

周囲を調べて良い物みつけた

 偵察部隊を作ろう。


 今あるダジョンポイントは560ポイントになる、無駄には使えない。


 そこで以前ダンジョンに配置したバンパイアバット( 吸血蝙蝠 )を、なまえ持ちの魔物(ユニークモンスター)に登録しようと思う。空を飛べるから安全だし、ユニーク登録するコストも1匹100ポイントだ。


 それでも3匹ともなるとDPが260まで減ってしまうがそれは仕方がない。しばらくの間は修行を中止する予定だ。


 早速、コア部屋まで呼び出した吸血蝙蝠3匹のユニーク登録を行い、終わり次第すぐに偵察に出した。北の崖沿い、ゴブリン集落、滝の南側とそれぞれの方向に向かわせる。死なないよう、陽が昇る前には帰ってくるように指示した。



 翌朝、帰って来た蝙蝠たちに周辺の状況を確認したのだが問題が発生した。こいつら、スライム並みの知能しかなかったのだ……。


 こちらの問いかけに不明・・のどれかで返事をするか、喜怒哀楽といった感情を直接的に伝えてくるかしか出来ないのである。失敗だ、なけなしのDPを使ったのに……。


 それでも質問を繰り返せば、判る事はある。


 北の崖沿いには新たな死体もなく、真っすぐ進んで行っても特に何も無かったという事と、ゴブリンの集落はやはり数を減らしていて、シャドウウルフ(オオカミ)が近くに集まってきているらしいという事。まあ、ここまではまだ予測も付けやすかった。


 問題は滝の南側だ。今まで一度も行った事のない未知なる領域だ。二日前の拡張で滝の裏の抜け道から南側に出れるようになった所なのだ。


 蝙蝠の感情を読み取る限り、そこの雰囲気は何となく良さそうで、そこには何か美味しそうな物があるらしい。何が良いのか判らないし、美味しそうな物もゴブリンでも、オークでもオオカミでも無かったので分からなかった。


 蝙蝠たちから情報を訊きだし終えて、横で出発を待っている外周りユニーク部隊(ナンバーズ部隊)を見る。


 ピクシーのサンに別行動するよう命じて、再度滝の南側の偵察を命令しようか。残ったハチたちコボルトには蝙蝠をつけて警戒させよう。


 ハチたちに今日の午前中はゴブリン狩りを止めて、オオカミを狙ってみるよう指示する。サンには滝の南側の偵察をするよう命令して、報告を待つ事にした。


 今日はレベル上げは中止だ。魔法の修行を行い、MPが切れたら寝る。を繰り返した。まあ、ほとんど寝てるわけだが……。


 昼になり、ハチ達が帰って来た。結果はゴブリンの魔石が2個で、オオカミが6個。ゴブリンは襲ってきた奴を返り討ちにしただけらしい。オオカミは情報通り集落周辺に集まっていて、蝙蝠の索敵で上手く倒せたそうだ。上々の成果だ。


 サンも昼すぎに戻って来た。あらためて情報の確認をする。


「どんな感じだ、何かいたか?」


「魔物を見たの。サンダーボアとジャイアントスパイダーがいたわ。豊かな森のようよ。あと、野菜も見かけたの。まえにダンシングレー( お玉さん )ドルが欲しがってたから手に入れたら喜んでくれると思うわ」


 フフフフと微笑みながら報告してくれた。


 サンダーボアは猪の顔と体で、足はないが素早く動くらしい。ジャイアントスパイダーは、そのままどでかい蜘蛛で1メートルほどあるそうだ。両方とも大食漢でエサが豊富じゃないと住み付かないらしい。


 あと、野菜!! 野菜があるらしい。もう無くなっていたのだ。必死にお玉さんが調理してくれてたが、さすがに肉だけの料理に飽きていた。料理のバリエーションが増えるかもしれない。これはきちんと確認しなければ。


 休憩させていたコボルトたちを呼び出し、全員で川の南側に出かけることにした。蝙蝠3匹とピクシーのサンに上空から警戒するよう指示し、ハチを先頭にナナ、私、お玉さん、ロクの順番で進む。外はさすがにまだ怖い。


 少し進むと、すぐに生い茂る森が目に入ってきた。川の北側と違い色合いが豊かだ。


 森の中を進んで行くと、上空からサンが野菜を見つけて場所を教えてくれる。さや豆やカボチャ、芋、トウモロコシ。次々と採取していく。久々に見る新鮮な野菜に嬉しくなる。お玉さんも喜んでいるようだ。


 ナナとロクに持てるだけ持たして、いったん帰る事にした。途中、ジャイアントスパイ(大蜘蛛)ダーが現れたがハチが駆けて行って、すぐに魔石を回収して戻ってきた。聞いてみると、あまり強くないらしい『コボルト 程度』と。


「いや、お前もコボルト」と突っ込むと、嬉しそうな顔で尻尾をブンブン振っている。



 野菜を洞窟内に運び込み、もう一度南の森に向かった。次は野菜を採らずに魔物を探す予定だ。


 すぐに、サンダーボア(稲妻猪)が見つかった。お玉さんがまた喜んでいる。脂の乗った美味しい肉らしい。足の無いずんぐりとした体を器用に動かし、見た目よりずっと速い。オオカミといい勝負か。だが、その程度だ。周りを制して自分で戦うことにする。


 素早く距離を詰め2、3回剣を振り仕留める。支援なしでも余裕だ。これなら支援の為の音を態々立てる必要はない。ナナにその体を背負うように命じて、さらに魔物を探す。


 今度は大蜘蛛だ。やはり強くない感じだ。大蜘蛛はこちらに気づくと、まだ距離が遠いにも関わらず糸を吹きかけてきた。軽くかわすと、今度は待ち構えているのか動かなくなった。


 隙だらけだ。右手をかざしアイスニードルを唱えると、氷の棘はあっさり大蜘蛛の頭を貫いた。


 お玉さんによると、これは毒があって食べられないそうだ。ロクに動かなくなった大蜘蛛から魔石だけを回収するように命じる。


 その後はハチが大蜘蛛3匹とイノシシ1匹を一瞬で仕留めていた。


 ハチが四足で戦うようになってからちゃんと見るのは初めてだったが、強すぎでした。目にもとまらぬスピードで獲物の横を駆け抜けたかと思ったら、すでに爪や牙で相手を切り裂いてる。自分も大分強くなったと思っていたけど、ダンジョンの外だとまったく勝負になりそうに無いわ。


 思わず「もう、コボルトとは別物だわ」と聞こえないように毒を吐いておいた。



 洞窟に帰り、お茶を淹れてもらいのんびりする。中々の収穫だ。回収した魔石、50DPはもとより新しい食材も手に入れた。


 期待に胸が膨らむ。お玉さんはもう調理に掛かってくれている。他のことは手につかない。


 じっと待っていると、料理が出来上がったようだ。カボチャのスープにポテトサラダ、野菜と肉の蒸し煮や柔らかい角煮と次々と出して来た。食べてみる。


「くぅ~、美味しい」


 手がとまらない。今までも美味しかったが、味に変化がなかった。もうすでに干し肉はなく、罠の肉が主食になっていたがそれでも……。


 新鮮な野菜の食感。裏ごしして、滑らかな舌触りになったカボチャや芋。食材の美味しさを引き出した蒸し煮や角煮。これを食べてしまうと、前の状態には戻れないかも。



 食べ終わった後は、いつものようにナンバーズ部隊を北の崖沿いに送り出す。ただし、昨日のように怪我しないように5倍の魔石にこだわらず、オオカミを中心に狩るよう命令した。蝙蝠達にも、陽が昇るまで偵察するよう命じる。


 明日からも、南の森に行かないと。食材を確保しなければならないし、ついでに魔石も必要だ。この時間に魔石を稼げるなら、5倍の魔石が無くなった分も補えるかもしれない。


 ん?この時間に魔石が稼げなかったのは、ドラゴンが居たからじゃないのか。それなのに、今日は崖上にドラゴンが居なかった。……もう、5倍の魔石は望みが薄いか。



 失敗しなくなった魔法の反復練習をしながら、ナンバーズ部隊の帰りを待つ。詠唱スピードが随分早くなってきた。


 いつもより、ナンバーズ部隊は帰ってくるのが遅かった。ハチから魔石を受けとる。予想通り、5倍の魔石は無しでオオカミの魔石が4個だ。状況を聞くと、やはり死体は無かったようだ。死体が無いので、いつも群がっていたオオカミも姿を消したみたいだ。偵察に出ていた蝙蝠と合流して情報をもらい、何とか4匹だけは倒せたらしい。


 夕方からの狩りは中止してもいいか。あと2、3日様子を見てから決めようか。ナンバーズ部隊には負担を掛けるが、頑張って貰おうとおもう。



 次の日も未明に帰って来た蝙蝠から情報を訊き出したあと、ナンバーズ部隊を送り出す。


 特に目新しい情報もなく、部隊もオオカミ狙いだ。お玉さんが作ってくれた朝食を食べながら、今日の行動を考え………。


「こ、これ、うまい!!!」


 トウモロコシの粉で焼いた薄い生地トルティーヤに肉とカボチャと豆が挟んである。炭水化物がうまい……後は穀物があれば、とか思っていた所に粉もの。これ、絶品だわ。


 こんなのを食べてしまうと、さらなる食材を求めて出掛けたくなる。が、部隊が帰ってくるまで待機だ。


 ……もう1人サンがいれば今からでも行けそうなんだが。南の森なら私とお玉さんと偵察だけでも大丈夫だろう。


 ピクシーならもう1匹いる。ただ、ユニーク登録するのにコストが400ポイントもかかるか。……トロルに消えてもらうか。トロルを消せば350ポイント戻ってくる。


 いつも殺されるあいつなら喜んで消えてくれるだろうと地下に向かい、いつものトロルの前に立つ。いつものトロルは模擬バトルが始まると思っているのか、興奮しているようだ。手短に状況を伝え、消去することを伝える。


 ところが、すぐに承諾すると思っていたいつものトロルが困惑している。しばらく考えてから『オデ ヅヨイ アイヅ ダメカ』と、横にいるもう1匹を指さした。指をさされたトロルは怒りをあらわに威嚇音を出す。


 奴なら喜ぶと思っていたのに、戸惑った。確かにレベルは1つ上がっているので、若干ステータスは高い。勿体ないと言えば勿体ない。少し悩んでいると、2匹はすでにやる気になっている様だ。とりあえず戦わせてみるか。

 ・・

 ・

 結果は、いつものトロルがレベル差以上の強さを見せて圧勝した。


 指さされたトロルは怒りのままに、相手の頭に向かって力任せの一撃を叩き込もうとする。だが、いつものトロルは相手の攻撃をじっくり見てよけると腕を狙いだす。右手を叩き折り、左手を引き千切り無力化してから止めを刺したのだ。


 そういえば、回を重ねるごとに戦い辛やりづらくなっていたのだ。雄叫びを上げ、誇らしげな顔のいつものトロルがこちらを見る。声を掛け褒めながら、魔石を拾い上げ負けた方のトロルを消去する事にした。


 戦いの内容に驚きを感じながら、そのままピクシーを連れてコア部屋に戻る。



 トロルを消去してからピクシーのユニーク登録を行う事にした。


 名前はスーにした。サンの次はスーだ。


 登録が終わったスーは「キャハハハ」と、声をあげて喜んでいる。そして「よろしく~」と軽い感じで挨拶してきた。………サンとは若干違う様だ。


 早速出かけようと思っていたが、気勢をそがれてしまった。結構時間も経っているし、一度合流した方が良さそうか。はやる気持ちを抑え修行する事にした。


 昼までの間、ガーゴイルたちと打ち合う。トロルのようにレベルとは関係なく強くなれるかも知れない。ロングソード(両手剣)を握り打ち合い、体の動きを確認して効率的な動きを染み込ませていく。もちろん、倒さない様に気を付けてだ。




昼になり、やっとナンバーズ部隊が帰ってきた。

蝙蝠の名前といえば黄金バット。

でも金は勿体ない。そこで、黄銅、青銅、白銅と名付けてます。


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