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おっさんはダンジョンマスターになって青春を取り戻せるのか  作者: 烏龍お茶
2章 おっさんがダンジョンマスターを楽しむ
19/81

他力本願のすすめ

 まず、ダンジョンの拡張をする事にした。


 大部屋の窪みから奥に通路を伸ばし、そこに2階に上がる階段を作った。2階の通路はぐるっと繋いで逃げ回れるようにする。その奥に厨房を併設したコア部屋を移設して鍵付きの扉をつけた。


 このカギを、これまでコア部屋にしていた部屋の奥に隠す。前のカギは大部屋の台座の上に、罠つきの宝箱を置きその中にいれておく。


 簡単に言うと、攻められ難く逃げ易い(あとがきのマップ)ようにしたのだ。ここまででDP(ダンジョンポイント)を600ポイントぐらい消費した。


 さらに眷属を召喚する。コストが40ポイントのケット・シーを3匹と同じく40ポイントのピクシーを2匹だ。


 ケット・シーとピクシーのステータスはこんな感じだ。


   名前:―        名前:―

   種族:ケット・シー   種族:ピクシー   

  レベル:5       レベル:5

   HP:26       HP:13

   MP:16       MP:11

    力:14        力:7

  器用さ:14      器用さ:13

  耐久力:12      耐久力:6

  素早さ:13      素早さ:16

   賢さ:18       賢さ:17

  スキル:―       スキル:手当て


 ケット・シーはコストが高いだけあって、今うちに居るレベルが上がったコボルトと強さが変わらない。ピクシーはコストの割にHPが低く力も弱いが手当てというスキルを持っている。少しぐらいの怪我なら1日に数回、手当てを使って治癒してくれるのだ。


 しかもこの2種族は言葉を話せる。ただしダンシングレー( お玉さん )ドルみたいに上品ではない。まるで小さい子供の様に騒がしい。特にピクシーはペチャクチャ、キャアキャアとうるさい。苦手なタイプかもしれないが、まあ、新戦力だ期待しよう。


 これで残りのDPが300ポイントを切ってしまったが、惜しげもなく使っているのは魔力を貯める作戦があるからだ。


 

 次の日から2階で私とお玉さんでオオカミを狩りながら、ケット・シーとピクシーのレベル上げも同時に行う。今度は前のように扉を使った数の調整を行ったりはせず、2階に上がってきたのを片っ端から殺していく事にした。そんな感じで5日もすると、ケット・シーとピクシーもレベルが10になっていた。


 ただ、順調だったのはそこまでで問題が発生した。シャドウウルフ(オオカミ)が2階に上がって来なくなったのだ。


 それどころか1階には20匹程のオオカミが溜まっているのだ。2階に上がると殺されるとでも覚えたのか、ずっと1階をうろついている。そして大広間でゴブリンが復活すると待ってましたとばかりに襲い掛かる。朝になっても出て行く気配がない……もしかして住み付かれてしまったのか!?


 地下1階と2階の行き来も出来ないし、仕方ないので上の階のメンバーと下の階のメンバーで挟み撃ちにしていっきに処理した。少し手を加えると途端に上手く行かなくなる。ダンジョンのマネジメントは難しいようだ。



 とりあえずオオカミの問題は後回しにしておいて、次の作戦を進める事にする。引き込むんじゃなくて積極的に外に狩りに行くのだ。これが新たな魔力を貯める作戦だ。


 別に新しくはないか……自分は怖くて行けないが、要は同じだ。お玉さんに尋ねるとあの規模の集落なら少々ゴブリンを狩ってもすぐに居なくなる事は無いと教えてくれた。


 そこでレベルが上がったケット・シーとピクシーにコボルトのハチを加えた3匹に、外に出てゴブリンを狩ってくるよう指示を出したのだ。


 ところがケットシーとピクシーは口々に「ムーリーです」とか「外には行けな~い」とか言い出した。予想外の反応に混乱しながらも、強く命じてみた。


「命令だ、従え!」

「だって、ねぇ~。行けないんだもんねぇ~」


 クスクス笑いながらピクシーが答える。カチンときて思わず剣に手を掛けるとお玉さんが状況を説明してくれた。


「ダンジョンから出るには体のある魔物で無くてはなりません。ダンジョンに召喚されただけの体の無い魔物はダンジョンの支配範囲から外に出ることはできません」


 ……そんな落とし穴があったのか。お玉さんありがとう。そしてあいつ等はバカなのか? 自分たちで説明すら出来ないのか。やっぱり、ああいう騒がしい連中は苦手だと、地下のメンバーと入れ替える事にした。


 下の階で鍵を守らせていた慣れ親しんだメンバーを呼び出す。あいつ等と違い無口なコボルト2匹がコア部屋にやって来たのでなまえ持ちの魔物(ユニークモンスター)として登録する。


 やっと貯めた魔力をまた消費してしまう事になった……。DP(ダンジョンポイント)が1000ポイントぐらい貯まったら、半分使うってのの繰り返しだ。今回も1050ポイントからユニーク登録料として400ポイントが引かれ650ポイントになってしまった。


 ああ、それでも前にダンジョンの外まで狩りに出た時よりは増えてはいるのか。5日間オオカミ殺しまくったのが大きかったかな。


 ちなみにコボルトの名前は単純にロクとナナ、ステータスはユニーク登録時に5割ほどUPしていた。



   名前:ハチ公      名前:ロク(ナナ)

   種族:コボルト     種族:コボルト  

  レベル:16      レベル:12

   HP:52       HP:39

   MP:27       MP:15

    力:28        力:22

  器用さ:25      器用さ:20

  耐久力:24      耐久力:17

  素早さ:46      素早さ:24

   賢さ:30       賢さ:11

  スキル:咆哮、牽制   スキル:―

      回避 


 ハチの能力は最初からユニークになっていたからか、愛情を掛けて育てたからかやっぱり優秀だ。



 あれやこれやあったが、ようやく準備ができた。決して無理をしないよう、ケガしたらすぐに戻ってくるように指示してハチ、ロク、ナナのコボルトの部隊を外に送り出した。

 ・・

 ・

 コボルト部隊は昼頃に少しケガを負っているようだが、無事に戻って来た。ただ外に出るのが相当に楽しいようでとても興奮している。戦果の方もテンションに劣らず中々の物だった。ゴブリンの魔石を6個も持って帰って来たのだ。部隊を作った甲斐がある! さっそく30ポイントも稼いだ計算になる。


 コボルト達は疲れているかと思ったが、まだまだ太陽の下で走り回りたいらしい。まるで犬だ、その通りなんだが……。洞窟にオオカミも現れないしコボルトたちには引き続き外に出て頑張ってもらう事にした。いったん地下に連れて行きピクシーたちにケガの治療をさせてから送り出した。

 ・・

 ・

 薄暗くなりしばらくするとコボルト部隊が戻って来た。今度はオオカミも狩ってきたようだ。オオカミの魔石が3個とゴブリンの魔石を2個持っている。働き者の可愛い奴らだ。コボルト部隊の頭を撫でる。


 結局この日、オオカミがダンジョンに現れなかったので、魔石の分だけDPが増えることになる。午前中に稼いだ魔力は30ポイントでお昼からは55ポイントか……おお! すごいな。


 そう頭の中で計算しながらダンジョンコアに魔石を吸わせていたら、どうもゴブリンの魔石の数値がおかしいようだ。調べてみると1個で魔力が25ポイントも増えている。通常の5倍だ。それが2個もあった。


 なんだこの魔石は……上位種のゴブリンでもいたのだろうか。ハチに聞いてみると、どうやらオオカミを狩ろうとしても直ぐに逃げて行き、そのあとは近付いて来なくなるらしい。それで森の中でオオカミを探し回っていたんだそうだ。夕方になって移動し崖沿いを北に進むと、ゴブリンの死体に群がり奪い合いしているオオカミの集団を見つける事ができたので、そのオオカミを狩り、残っていたゴブリンの死体からも魔石を回収してきた、と言う事みたいだ。


 ちょっと理解するのに時間が掛かった。ずいぶんと解り易くなったとはいえ複雑な説明は苦手のようだ。


 大体、犬たちは言葉を組み立てるのが嫌いみたいだ。ロクとナナなんかは基本的に嬉しいとか怖いとかの感情しか伝えてこない。


 思考がそれた。それよりこの魔石はどういう事なんだろう。オオカミがちょうど上位種を倒した所に出くわしたんだろうか。ゴブリンの上位種と言えばコブリンメイジとかゴブリンロードだろうか。そういう種類がいるのなら調べておいた方がいいだろう。明日もコボルト部隊に北側に行くように指示をだした。


 翌朝、送り出すときに上位種がいるかもしれないので、危なければすぐに逃げるようにと念押ししておいた。

 ・・

 ・

 コボルト部隊は4時間ほどして帰ってきたが、めちゃくちゃ怯えていた。ロクとナナの2匹は尻尾を巻いて恐怖の感情しか伝えてこない。ハチに聞くと『朝 死体 無い』で『昼 ドラゴン 飛ぶ 怖い』と何とか伝えてきた。


 洞窟の外でドラゴンの姿を見た時の事を思い出す。あの魔石は崖上から落ちてきたゴブリンの魔石なのだろうか……。ドラゴンは昼の間しか飛んでいないのかもしれない。それなら、色々と辻褄が合う気がする。危険だがあの魔石を手に入れる事が出来れば、おいしい。


 夕方になってから怯えるコボルトたちを宥め、もう一度北の崖に向かわせた。

 ・・

 ・

 5時間ほどで帰って来た。ロクとナナは血を流し傷を負っているようだ。ハチも小さな傷だがケガをしている。しかし、尻尾を千切れんばかりに振りながらオオカミの魔石5個とゴブリンの魔石3個を誇らしげに出してきた。褒めながら傷の状態を見てピクシーを呼び治療させる。


 そのあとコボルト部隊にエサをやりながら考える。このまま外で順調に魔石を稼げるならば、すぐに目標に届きそうだ。ただ、今のままだと危なすぎる。回復ができるピクシーが外に出れるようになれば、状況は変わるかも知れない。


 ただピクシーをユニークにするには400ポイントも掛かる……。それでも、この2日で半分以上は稼いでる計算か。ピクシーを呼んでユニークとして登録した。


   名前:サン

   種族:ピクシー  

  レベル:10

   HP:26

   MP:25

    力:14

  器用さ:24

  耐久力:12

  素早さ:29

   賢さ:27

  スキル:手当て


 明日からコボルト部隊にピクシーのサンを加えた4人で、外での狩りを頑張って貰おうと思う。





 しかしさすがダンジョンマスターだ、他力本願になる。

ダンジョンの説明が難しかったので、載せてみました。

挿絵(By みてみん)

ステータスやマップは自己満足です。

設定してるのか!? ぐらいで読み飛ばしてください。

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