なんでこんな事に…
「う…ん。ふぁあ〜…」
目の覚めた私は、上体だけを起こし大きく欠伸をした。
何かにぶつかったはずなのだが、至って無事らしいので、辺りを見渡した。
「ここ…どこだ⁈」
人の手に荒らされていない、暗い森の中に私はいた。
ハッとして、自分の体を見下ろせば私は目を剥いた。
「なっ、なんで私が、ゴスロリ着てんの⁉︎可愛いけど!」
私が着ていたのは、気絶していた時に着ていた制服ではなく、地面につきそうなくらい長い黒のローブに黒と銀、ワインレッドを基調とした膝上までのゴシックワンピで靴は膝が隠れる位の黒の編み上げブーツだった。首元が詰襟で、白の細いチョーカーをしていて、脚に違和感があると思いスカートをめくってみれば、太腿の少し上くらいに黒い革ベルトを両腿に付けていた。正確には、小さめのナイフホルダーだったが。
「なんか…いや、可愛いよ?可愛いんだけど…私のこの平凡顏…じゃなあぁああぁああい!?」
腰に下げていたポシェットから手鏡を取り出し覗き込んで見ると、そこには女神もかくやの絶世の美少女が映っていた。
一本に編まれた純白の髪に、左が真紅、右が紫のオッドアイ。肌は雪みたいに真っ白で、体付きは物凄く華奢。髪は三つ編みにしても腰まであるっていう事は解くと凄く長いんだろうな…。
「なんでこんな事に…」
呆然としながら、私は呟かずにはいられなかった。