表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/40

まりょくで、ごはん

 


「にいさま うそつき」


 ぷくぅっ


 真っ赤なほっぺを膨らませて口を尖らせている小さくて可愛いアヤナ。まだ5歳であるその妹の可愛さといったらもう、食べてしまいたいほどである。

普段から、「にいさま」と呼んでは兄の後ろをちょこちょこと追いかけている姿を、真封士一族の者達は暖かな目で見ていた。


 だが、今日はちょっといつもと様子が違うようである。アヤナが兄に対して怒っているのは初めてではないだろうか?


「ふういんしたら、けいやくできるいった!わるいの けももちがった。アヤナ、けももにわるいことした・・・」


 目に涙を溜めて兄を見上げるアヤナに、兄は戸惑うばかりである。


「ご、ごめんね?」


 昔から、「悪いことしたら、森の魔獣に喰われるよ」と言い聞かされて育つわけなのだが、何故かアヤナが勘違いして出会ったのは森を守護する聖獣だったわけで・・・。まさか封印までしようとするとは。

 

 


 真封士一族は、成長して魔力の操作が出来るようになると封印の修行を始める。その後、封印・解放・祓いなどの術が使えるようになってから、真封士に力を貸してくれる聖獣・魔獣・妖獣等の中で、人間の魔力を糧とし力を貸してくれる獣と契約をするのである。


 ・・・・が、そんな難しい話しを4歳の小さな子供に説明しても理解はできないだろう。そう考えた兄は、かなり説明を簡略化した。その結果がこれである。

 

「ね、アヤナは契約がしたかったの?」


 兄の質問に、アヤナはコクコクと頷き兄の肩の上に乗っかっている小さな契約獣である妖猫を見た。その視線は真っ直ぐで熱い。妖猫は狙われている小動物な気分になってゾクリと背中を振るわせた。


「じゃあ、まず魔力を知ること操れること」


 人差し指を立てて、にこにこと兄が言った言葉にアヤナは首を傾げた。


「どして?」


「アヤナと契約してくれた獣は、アヤナの魔力がご飯なんだ。だからアヤナの中にある魔力を感じて外に出したり入れたりしないとね。それに、魔力を札に絡めて術を発動させるから真封士になるには大切なことなんだよ」


 そう言いながら、兄は自分の手のひらをアヤナの前に差し出して目を瞑り集中する。パチリと目を開いた瞬間に手のひらから赤い半透明の霧がポワポワと溢れ出す。

 そっと、その霧のような魔力に触ってみたアヤナは、優しくて暖かな感じが伝わってきて幸せな気持ちになった。


 兄の肩を見たら、上に乗っている妖猫が溢れ出す魔霧を嬉しそうに吸い込んでいた。妖猫は身体の奥から満たされたような幸せそうな顔をしていた。


「にいさま、アヤナもしたい」


 この幸せな気持ちを、森に居るけももに分けてあげたかった。







 

「ああぁ、もっと!!もっとくださいっ!!!おかわり、おかわりっ んにゃにゃっ」


 ピョンピョン飛びながら、空中に霧散する魔霧を追いかける妖猫に真封士の皆様ノックアウト~!


 真封士一番人気の契約獣は、妖猫で決まりですね(笑)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ