第四章1 『境界の崩落、アスファルトに吠える鋼鉄の獣』
未知なる「現実の法則」に放り出された昼国・夜国の兵士たちの驚きと混乱、そして、愛する妹リオナの魂を追って、見知らぬコンクリートの地に降り立ったシオンたちの「喪失と決意」
1. 吹き抜ける空っ風と、消えた荒野
強烈な、耳を劈くような風の音が、鼓膜を激しく打っていた。
「……ぐっ! 盾を構えろ! 風に飛ばされるぞ!!」
昼国の近衛騎士団長ジーグは、大剣を石畳に突き立て、己の体を支えながら怒号を飛ばした。
つい先ほどまで、彼らは『暁闇祭』の熱狂の中にいたはずだった。シオンとリオナの『魂魄連理』による無色透明の雷が空を覆い、祭りの歓声が響き渡っていた。
しかし、上空に突如として現れた「緑色のノイズ」と、仮面を被った追跡者たちの襲撃。そして、シオンが放った紫金の極大の斬撃が空の亀裂を完全に破壊した直後――世界は、眼も開けられないほどの圧倒的な『白い閃光』に包まれたのだ。
どれほどの時間が経ったのか。
閃光が収まり、ジーグが恐る恐る目を開けた時、彼を最初に襲ったのは、これまで黄昏時の荒野で感じたことのない、異常に乾燥した「冷たく重い突風」だった。
「将軍! ご無事ですか!」
前衛隊長レオンハルトが、風に煽られながら駆け寄ってくる。
「私は無事だ。……街はどうなっている! 民の被害は!?」
ジーグが周囲を見回す。
彼らの足元にあるのは、間違いなく彼ら自身の手で築き上げた『暁の自由都市』であった。
古代東洋の陰陽思想を取り入れた堅牢な石造りの防壁、朱塗りの柱が美しい楼閣、そして複雑に重なり合う瓦屋根の建築群。昨日まで懸命に飾り付けた祭りの提灯が、強風に煽られて激しく揺れている。
街自体は、無傷だった。
しかし、防壁の『外』に広がる景色が、根本から狂っていたのだ。
「……将軍。あれを、見てください」
重盾兵のゴランが、防壁の縁から外を覗き込み、震える指で「それ」を指差した。
ジーグが防壁から外を見下ろす。
十五年間、彼らの見慣れていた『血と泥に塗れた黄昏時の荒野』は、跡形もなく消え去っていた。
代わりに広がっていたのは、見渡す限りの平坦な土地。
幾何学的な四角い区画に綺麗に切り分けられた、緑色の低い植物の畑(ネギやキャベツの畑である)。
そして、大地を一直線に切り裂くように伸びる、漆黒の極めて平滑な道。その道には、等間隔に白い線が引かれており、道に沿って、銀色の巨大な鉄塔と、空を切り裂くような無数の黒い線(電線)が張り巡らされていた。
遠く地平線の彼方には、荒野の岩山とは全く違う、青々とした雄大で連なる山脈(赤城山や榛名山)が、朝焼けの光を浴びて静かにそびえ立っている。
「……ここは、どこだ。我々の知る世界ではないぞ」
ジーグが、呆然と呟く。
「い、異界への転移魔法でしょうか!? しかし、これほどの巨大な都市を丸ごと転移させるなど、神々の御業でも不可能なはず……!」
レオンハルトが混乱の極致に陥る。
ビュォォォォォォォォッ!!!
再び、強烈な北風が吹き荒れ、彼らの純白のマントを激しく千切れんばかりに煽った。
「それにしても、異常な風だ! まるで空そのものが怒り狂っているような……!」
「砂埃が痛い! 目が開けられねぇ!」
彼らが直面していたのは、北関東・群馬県特有の冬の風物詩である『上州の空っ風』であった。山を越えて吹き下ろすその乾燥した強風は、ファンタジー世界の鎧の隙間から容赦なく体温を奪っていく。
「……将軍! シオン様とリオナ殿下の姿が見当たりません!!」
アリアが、血相を変えて楼閣の階段を駆け上がってきた。
「なんだと!? 最後に見た時は、上空の敵に向かって飛んで行かれたはずだ!」
「ハク殿とカイル殿の姿もありません! 空の亀裂が閉じた後、四人とも……どこにも……!」
ジーグの顔に、かつてないほどの焦燥が走る。
彼らを導き、この世界を救ってくれた特異点たちが、この未知の世界への融合と同時に消え去ってしまった。
「……慌てるな! まずは街の防衛を固めよ! 謎の鉄塔や黒い道には絶対に近づくな。結界班は防壁の出力を最大にしろ!」
ジーグが、己の動揺を押し殺し、指揮官としての重い命令を下した。
光の騎士たちは、未知の景色と強烈な空っ風に震えながらも、武器を構えて得体の知れない「現実世界(現代日本)」への警戒を強めたのである。
2. 鋼鉄の獣の咆哮、泥ネズミの観察
防壁の上で騎士たちが混乱している頃、自由都市の地下から続く隠し通路の出口――防壁の外側にあたる草むらから、音もなく這い出してきた者たちがいた。
元・夜国軍副長のゼッカと、影潜りのカエレン、そして毒娘のニムである。
「……ゼッカ先生。こりゃあ、とんでもないことになっちまいましたね」
カエレンが、草むらから首だけを出し、目の前に広がるアスファルトの道路(国道)を見つめながら呟く。
「ああ。シオン様が仰っていた『現実世界の法則』が、我々の世界を強引に上書きし、この都市ごと異界に引っ張り込んだのだろう」
ゼッカの義眼が、ジジジ……と微かな機械音を立てながら、アスファルトの構造をスキャンするように見つめた。
「見てください、この真っ黒な地面。……恐ろしいほど平滑で、硬い。魔力で土を固めたような痕跡が一切ない。何らかの未知の素材を、超高温で熱して敷き詰めたのか……? 途方もない労力と技術力だ」
「ねえねえゼッカ先生! あっちの畑に落ちてるアレ、見て!」
ニムが、強風で飛んできた一枚の『白い半透明の膜(レジ袋)』を拾い上げ、目を丸くして見せた。
「すっごく薄くて、引っ張っても全然破れないの! シルクよりも軽いし、水も通さない! こんな魔法の布、夜国でも見たことないわ!」
「……触るなニム。未知の呪いがかかっているかもしれん」
ゼッカがレジ袋を慎重に小太刀で弾き飛ばす。
彼らは、現代社会が生み出した「プラスチック」や「アスファルト」という、魔法の存在しない純粋な科学技術の結晶を前に、暗殺者としての本能的な恐怖を抱いていた。
その時だった。
ブルルルルルル……ッ!!!
遠くの黒い道(国道)の奥から、低い、地鳴りのような唸り声が聞こえてきた。
「……なんだ!? 魔獣の足音か!?」
カエレンが即座に短剣を抜き、身を屈める。
唸り声は、信じられない速度でこちらに向かって近づいてくる。
朝霧の向こうから現れたのは、四つの丸い黒い足を持ち、白い四角い胴体をした、未知の『獣』だった。
「……目が! 前方に付いている二つの巨大な目が、恐ろしく眩い黄色の光を放っているぞ!!」
防壁の上のレオンハルトが、その姿を視認して絶叫する。
「しかも、馬も引いていないのに、信じられない速度で滑るように走ってくる! なんだあの四角いバケモノは!!」
ゴランが大盾を構えて後ずさる。
彼らが「新種の魔獣」と勘違いしてパニックに陥っているその正体は、朝早くから畑の様子を見に来た地元農家の田中さんが運転する『軽トラック』であった。
荷台には、採れたての泥付きネギが大量に積まれている。
(……あ、あれ? オラ、まだ寝ぼけてんのかな)
軽トラを運転していた田中さんは、フロントガラス越しに、自分のネギ畑のど真ん中に、突如として出現した『映画のセットのような巨大な中華風の城壁』を見て、目をこすった。
(昨日までは、あんなデケェ城、無かったべ……? いや、それよりも……城壁の上に、西洋の騎士みたいなコスプレした連中がウジャウジャいるぞ!?)
田中さんのパニックと、騎士たちのパニックが完全に交差した。
「い、いかん! あの鋼鉄の獣、我々の防壁に突進してくる気だ!! 迎撃しろ!!」
ジーグ将軍が、大剣を振り下ろして命令を下す。
「うおおぉぉっ! 太陽の光よ、あのバケモノの目を撃ち抜け!!」
レオンハルトが、手にした長剣から光の魔力弾を放った。
パァァァァンッ!!
光の弾は、軽トラの数十メートル手前のアスファルトに着弾し、派手な爆発を起こした。
「うわぁぁぁぁっ!! な、なんだ!? 爆発!? テロか!?」
田中さんは、命の危険を感じて急ブレーキを力一杯踏み込んだ。
キキィィィィィィィィィィィィッ!!!!
軽トラのタイヤがアスファルトを激しく摩擦し、凄まじいスキール音を響かせて停車した。
「ひぃぃっ!!」
「聞いたか今の鳴き声! 耳を劈くような、悍ましい咆哮だ! 攻撃態勢に入る気だぞ!!」
スキール音を「獣の威嚇の咆哮」と勘違いした騎士たちが、一斉に槍を構えて防御陣形を組む。
軽トラの中で震え上がる農家の田中さん。
防壁の上で大盾を構えて震え上がる昼国の騎士たち。
そして、そのドタバタ劇を草むらから冷静に観察していたゼッカは、義眼を細めてポツリと呟いた。
「……カエレン、ニム。よく見ておけ。あの『鉄の箱』、生き物ではない。あれは、人間が操縦する『乗り物』だ」
「乗り物!? 馬も魔力も使わずに、鉄の塊があんなスピードで動くんですか!?」
カエレンが驚愕する。
「……シオン様が言っていた通り、この世界(現実)は、我々の箱庭とは全く違う法則で動いている。……迂闊に手を出せば、あの中にいる『術者』から、どんな未知の呪いが飛んでくるか分からんぞ」
空っ風が吹き抜ける群馬の平野で、ファンタジーの騎士と現代の軽トラが、互いに恐怖で硬直するという、歴史上最もシュールな「ファースト・コンタクト」が果たされた瞬間であった。
3. 剥がれ落ちた半身、自動販売機のネオン
一方、次元のポータルを突き破り、追跡者たちと妹の魂を追って『現実世界』へと飛び込んだシオンたちの状況は、全く別の種類の残酷な静寂の中にあった。
「……ハァッ、ハァッ……!!」
冷たく、固い地面。
鼻をつくような、鉄錆と排気ガスの匂い。
シオンが目を開けると、そこは荒野でもなく、美しい自由都市の楼閣でもなかった。
無機質なコンクリートで囲まれた、薄暗い高架下の空間。頭上を走る巨大なアスファルトの道路を、時折、唸り声を上げる鉄の塊(大型トラック)が通り過ぎていく。
遠くには、四角いコンクリートの建物が無数に立ち並び、夜明け前の薄暗さの中で、赤や青の人工的な光が不気味に瞬いていた。
「……ここが、現実世界」
シオンは、左肩の激痛に顔をしかめながら、ゆっくりと立ち上がった。
足元を見る。
彼女が着ているミッドナイトブルーのドレスは、次元を越える際の強烈なバグと摩擦によって所々が焼け焦げ、無残に引き裂かれていた。
そして、彼女の両腕には、もう何の『重さ』も残っていない。
「……リオナ」
シオンの紫の瞳から、再び大粒の涙が溢れ出し、冷たいコンクリートの地面にシミを作った。
妹を助けるために飛び込んだ。
だが、次元の壁を越えた衝撃で、三人はバラバラに吹き飛ばされることもなく、同じ場所に落下したようだが、そこには追跡者の姿も、リオナの魂の痕跡すらも見当たらなかった。
広大すぎる、見知らぬ鉄とコンクリートの森。
この中で、データとして消去された妹をどうやって見つけ出せばいいのか。
「……泣くな、シオン」
暗闇の奥から、足を引きずりながら歩み寄ってくる影があった。
ハクである。
彼もまた、次元を越える際の負荷に耐えきれず、全身打撲と火傷だらけの満身創痍だった。着ていたシャツはボロボロになり、首筋の呪いの刺青が、ネオンの光を受けて痛々しく脈打っている。
「ハク……あんた、生きてたのね」
シオンが涙を拭い、声の震えを必死に抑える。
「当たり前だ。てめぇを一人にして死ねるかよ」
ハクは、シオンの隣にドカッと腰を下ろし、コンクリートの壁に背中を預けた。
「……それにしても、ここはどこだ。空気がひどく不味い。魔力の気配が一つも感じられねぇ。まるで、世界全体が『死んでる』みたいだぜ」
ハクの言う通りだった。
この世界(現代社会)には、大気中にマナが存在しない。魔法使いにとって、それは息を止めて水中に潜っているような、絶対的な息苦しさと力の制限を意味していた。
「……ここは、システムを構築した奴らの本拠地よ。魔力じゃなくて、電気とデータっていう別の法則で動いてるの」
シオンが、傍らに落ちていた魔剣『雷月』を拾い上げる。
剣の表面に流れていた紫金の雷は、魔力の枯渇により、今は消え失せ、ただの鋭い黒鉄の剣に戻っていた。
「シオン様……ハク殿……ご無事、ですか」
少し離れた場所から、微弱な光が瞬いた。
半霊体のカイルである。
彼の状態は、三人の中で最も深刻だった。
白銀の光で構成された右半身は、今や半透明にまで薄れ、時折ノイズが走って輪郭が崩れかけている。魔力の存在しないこの世界において、純粋な魔力体である彼の存在を維持することは、極めて困難を極めていたのだ。
「カイル! あんた、その体……!」
シオンが駆け寄り、カイルの生身の左腕を支える。
「……申し訳、ありません。次元を越える際、リオナ様を……探し出そうと、意識を……広げすぎました。この世界の、情報の多さに……魂が、パンクしそうで……」
カイルの青い瞳は虚ろで、今にも意識を手放しそうだった。
シオンは、カイルの胸に手を当て、自分の中に僅かに残っている魔力を分け与えようとした。
だが、今のシオンにも、彼を完全に回復させるだけの魔力は残っていない。
(どうすれば……魔力回復のポーションもない、アリアの治癒魔法もない。このままじゃ、カイルが消えてしまう……!)
シオンが絶望的な焦りに襲われた、その時。
ジジッ……。
カイルのすぐ横にあった、赤く光る四角い鉄の箱――『自動販売機』が、微かな機械音を立てて点滅した。
「……ん?」
カイルの光の右手が、無意識のうちにその自動販売機の表面に触れていた。
ピピピッ。ガコンッ!
「うわっ!? なんだこの箱、いきなり何か吐き出しやがったぞ!」
ハクが驚いて飛び退く。
自動販売機の取り出し口に、温かい『缶コーヒー』が一本、転がり出てきたのだ。お金を入れていないにもかかわらず。
「……カイル。あなた、今、何をしたの?」
シオンが驚愕して尋ねる。
「……分かりません。ただ、この鉄の箱の中から、微弱な『雷(電気)』のようなエネルギーを感じたので、無意識に……魂の波長を、同調させてみようかと」
カイルが、薄れゆく意識の中で、不思議そうに自分の光の右手を見つめる。
シオンの頭の中で、前世の記憶(大魔導士の科学知識)と、目の前の現象がカチリと結びついた。
(……そうか! カイルの半霊体は、純粋なエネルギー体。……この現実世界の電気信号やデータ通信網と、直接『リンク』することができるんだわ!)
シオンは、転がり出た缶コーヒーを拾い上げ、その温かさにハッと息を呑んだ。
これは、ただの鉄の箱ではない。この世界に張り巡らされた、巨大なエネルギーの末端なのだ。
「カイル! この世界の『電気』を、あなたの魔力の代わりとして吸収できる!?」
シオンが、カイルの肩を揺さぶる。
「……電気、ですか。……やって、みます」
カイルは、光の右手を自動販売機のコンセントの配線部分に直接押し当てた。
パチパチパチッ! と火花が散り、自動販売機のネオンが一瞬暗くなる。
同時に、カイルの右半身に、青白い『電気の魔力』が流れ込み、薄れかけていた白銀の光が、少しずつ、しかし確実に実体を取り戻し始めたのだ。
「……す、すごい。魔力とは違いますが、確かにエネルギーが満ちていくのを感じます。……これなら、消滅せずに済みそうです」
カイルが、深い安堵の息を吐き出す。
「よし……! これなら戦えるわ」
シオンは、握りしめていた拳をゆっくりと開いた。
魔力がない世界なら、この世界の力を逆に利用してやる。
妹を奪ったこの無機質なコンクリートの森に、かつての死神は、決して屈するつもりはなかった。
4. 夜空のドレスと、冷たい雨の決意
カイルが応急処置を終え、三人は高架下から這い出し、夜明けの街へと足を踏み入れた。
彼らが降り立ったのは、東京の郊外、広大な工業地帯と住宅街が入り混じるエリアだった。
ポツリ、ポツリと。
冷たい雨が、アスファルトを濡らし始めた。
「……冷てぇな。空っ風の次は氷雨かよ。この世界の天気は、随分と底意地が悪りぃぜ」
ハクが、身震いしながらボロボロのシャツを掻き合わせる。
シオンのミッドナイトブルーのドレスも、雨に濡れて重く張り付いていた。
彼女は、寒さに震える体を抱きしめながら、雨の降る灰色の空を見上げた。
(リオナ……あなたは今、どこにいるの。冷たい思いをしていないかしら)
シオンの脳裏に、消去される瞬間のリオナの笑顔が浮かび、胸が張り裂けそうになる。
だが、立ち止まっている暇はない。追跡者たちは、必ず彼女たちの存在に気づき、この現実世界でも襲いかかってくるはずだ。
「……シオン。まずは、ここがどこなのか、情報を集める必要がある」
ハクが、シオンの前に立ち、真剣な顔で言った。
「てめぇのその目立つドレスと、俺のこの刺青、それにカイルの光る腕。……こんなナリでうろついてたら、すぐに敵に見つかるぜ」
「そうね……。まずは、この世界に溶け込むための『服』が必要だわ」
シオンは、周囲を見回した。
早朝のシャッター街。ほとんどの店は閉まっているが、遠くの方に、煌々と光を放つ巨大な四角い建物(24時間営業のディスカウントストア)が見えた。
「あそこに潜り込むわ。ハク、見つからないように影で隠れながら進める?」
「チッ、魔力が少ねぇから長時間は無理だが、やるしかねぇだろ」
三人は、雨と影に身を潜めながら、コンクリートの森を静かに移動し始めた。
シオンの胸の奥で、悲しみの漆黒の炎が、静かに、しかし絶対に消えない『紫金の反逆』の炎へと再び姿を変えていく。
(待っていて、リオナ。どんな手を使ってでも、たとえこの現実世界全てを敵に回してでも、絶対にあなたを見つけ出して、一緒に帰るから)
黄昏時の荒野を生き抜いた三人の異邦人は、冷たい雨の降るアスファルトを踏みしめ、神のシステムの心臓部たる『現実世界』への静かなる侵攻を開始した。
次元の壁を失った二つの世界。
それぞれに放り出された光と闇の反逆者たちの、新たな戦いの火蓋が、今ここに切って落とされたのである。




