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灯火  作者: 暦海
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……いや、止そう。

 ともあれ、結局何もしていない――どころか、指一本触れられてもいないわけで。当然ながら、これで報酬を受け取るわけにはいかない。なので、昨夜前払いでくれた代金を返そうとしたのだが――



『――いや、なんでだよ。俺が勝手に寝ただけで、別にあんたが職務を放棄したわけじゃないだろ』


 ピシャリとそう言って、断固として受け取りを拒むエリス。……まあ、そう言われてしまえば返せる口実なんてないんだけど。


 ともあれ……うん、改めて振り返るとほんと何もしてない。流石に、こんな私でも心が痛……いや、でもこうして置いてくれてるくらいだし、また幾らでも機会はあるだろう。昨日は……うん、きっと思ったより睡魔が強かったのだろう。



 ……ところで、それはそれとして――



「……随分、綺麗だよね」


 そう、一人そんなことを口にする。昨夜、初めて目にした時から思ってはいたけど……失礼ながら、この古びたアパートの部屋には似つかわしくないほどに綺麗な装飾が施されていて。


 尤も、そういう目など持ち合わせていないので詳しいことは分からないけど……カーテンからカーペット、お皿や燭台、寝具から陶瓶――そして、そこに生けられている色とりどりの花々に至り、その全てがなかなかに高価なものではないだろうか。趣味……にしたって、この出費を別の――例えば食費なんかに当てれば、もっと充実した暮らしができ――


 ……いや、そう。どんな生活をしようとも、当然ながら彼の自由――余計な詮索など、野暮という他ないだろうし。



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