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決意
『――ええ、親がいないのかい嬢ちゃん? だったら流石に雇えねえよ。悪いけど帰ってくれ』
『――うちも大変でねえ。孤児を使ってる余裕なんてないの。ほら、お客の邪魔になるから出ていってくんな』
それから、ほどなくして。
両親、親戚ともにいない――文字通り、独りきりの私は仕事を得るべく彷徨い歩いた。ベーカリー、機織り工場、その他諸々――兎にも角にも、手当たり次第に頭を下げてお願いした。どうか、使ってくださいと。
だけど、首を縦に振ってくれるところはただの一つもなかった。……まあ、そりゃそうだよね。もはやまるで身寄りのなく、ボロボロの服を纏った見るからにみすぼらしい子ども――どう贔屓目に見ても、採用するメリットを見つける方が難しい。
そして、とうとう万策……いや、そもそも策なんてなかったけど……ともあれ、もはやどうにもならないと完全に悟った13の冬――私は、生き延びるためこの身を汚す決意をした。