意外なご趣味?
「…………わぁ」
それから、数十分ほど経て。
少し肌寒くも穏やかな陽が心地の好い街を、エリスと共に歩く最中のこと。
ふと、感嘆を洩らす。そんな私の視界には、ガラスに映る衣服の数々。赤、青、白、黒、さまざまな色の可愛い服が、私の目をぐっと惹いて――
「……入るか? ソフィ」
「……へっ? あ、ううんいい! ちょっと見てただけだから」
「……そっか。でも、俺がちょっと入ってみたいんだ。だから、もし良ければ付いてきてくれないか?」
「…………エリスが、そういうなら」
「サンキュ。それじゃ行くか」
そう、柔和な微笑で告げお店へと入っていくエリス。そんな彼に、心の中で謝意を告げつつ軽い足取りで付いていった。
「…………うわぁ」
それから、ほどなくして。
店内にて、感嘆の声が洩れる。さっきも似たようなリアクションで、我ながら芸がないとは思うけども、それはともあれ……うわぁ、すごい。やっぱり、綺麗な衣服がいっぱい。
「――ねえ、エリス。これ、貴方に似合うと思う」
「……いや、俺には似合わねえだろ。それよりあんたの方が――」
などと、ほのぼのと会話を交わしつつゆっくり店内を歩いていく。……うん、ほんとに楽しい。でも、これも私一人じゃきっとそうでもなかった。こんなにも楽しいと思えるのは、隣に――
「…………あ」
すると、ふと声を洩らす。そんな私の目をひときわ惹いたのは、白と薄桃色を基調としたフリル付きの可愛い衣服。それは、まるでさっきの――
「――これが、欲しいのか?」
「……へっ? あっ、いや別に――」
「……遠慮すんなよ、ソフィ。さっきのとそっくりだよな、これ。あんたがさっきじっと見てた、あのウェイトレスの制服と」
「…………あ」
すると、クスッと微笑み告げるエリス。……そっか、見ててくれたんだ。そして、気付いてくれてたんだ。私が、あの可愛い服に憧れていたことに。……そっか、エリスは――
「……実は、意外とコスプレ趣味?」
「そっかそっか、こっちの真っ黒のドクロTシャツの方が良かったか」
「ああ冗談ですごめんなさい!!」