第5章 11話
ヤマタノオロチ。
その真実は、実は西洋のパンドラの箱のように開けてはならない8つの邪悪なる力が封じられた箱。
その名はオロチ・システム。
「一体、どなたが?」
「ディルスという客人だよ」
え!?
ディルス!?
何故、彼が?
「なるほど。ようやくあいつの目的が見えて来た」
「ん?どういう事?健一」
え?
山本さんは、今ので分かるというの?
「ディルスだよ。空中都市の時に会った時から疑問に思ってたんだ。あいつの本当の目的をな」
「そういえば、あの時は違う話ではぐらかしてたわね」
そういえば、お二人は会っていたんですものね。
「あいつの真の目的は、そのオロチ・システムとやらの完成だ。おそらくまだ全部は使い切れていないんだろう」
え?
「それは何故?」
持っているのなら、その全部の力を使うのが普通なはずなのに。
「何故なら、あいつはそれを持ってあちこち移動している。たぶんオロチ・システムはまだ完璧じゃないんだろう。だからそれを完璧にするために必要なのを集めているんだ。そうじゃなきゃ、あいつ自ら動くって事は無い」
それほど重要な事という訳なんですのね。
「もしかして、その必要な物がこれまで通って来た所にあるって訳?」
「たぶん。僕たちが水晶のドクロを集めてるように、あいつも何かを探して来ているんだ」
それこそが、ディルスの真の目的。
「そう考えると、あの事故から全てが始まっていた訳だ。僕たちがあの事故から始まったように」
「へ?なんで?」
「僕は知っている。あの原子力発電所は表の顔。裏の顔はオロチ・システムの研究所だって事をね」
え?
「えぇーーー!!」
まさか。
あの日本中を騒がした原発事故。
その裏の顔があったなんて。
「ちょっと待ってよ。だったら何で今頃?あれは私達がそれこそ物心ついた頃ぐらいじゃない!あれから何年経ってんのよ!?」
「それはあいつらに聞かないと分からないが。おそらくは最初は必要な物が何か分からなかったんじゃないか?何せ古代の物だ。すぐに動くとでも思ったんじゃないかな」
確かに、聞いてみないと分からない。
しかし。
ディルスがオロチ・システムを持っているというのなら。
葛葉の両親を狙った理由も分かる。
あの子の両親は。
オロチ・システムの研究チームの中でも一番の重要人物。
真方夫妻。
オロチ・システムを隠すために原子力発電所を破壊したというのなら。
葛葉の両親を狙うのも当然。
どうやら、ここで美喜子さん達と葛葉の事が繋がったようですわ。
「あの、もういいかしら?」
あっ!レンド様。
すっかり、こちらで盛り上がってしまいましたわ。
次回更新は10月17日(月)予定です。