第5章 10話
無事に機械の牛も退治して、やっと奥へと進む。
少々手間取りましたが、この奥には何が。
「ん?どうやら、一番奥のようね」
かなり広い部屋。
とりあえず、何も無さそうな感じ。
ただ。
その部屋に、一人の少女がいるだけ。
この中に入って、初めて会う機械じゃない存在。
それだけに、みんなに緊張が走る。
そう。
彼女があの機械を作った張本人と見て間違い無いから。
「あら。よくここまで来れましたわね」
振り返ったその姿は。
あら。
どこかで見た事あるような。
「そこにいるのは、もしかしてリンドウ?」
あっ!
「あなたはレンド様!!」
「?お知り合い?」
「はい。私の鑑定能力は各国のトップの方々にも重宝されていますので。彼女もその一人なんです」
まさか、ここで会うなんて。
「ふーん、って、国のトップぅ!?」
「はい。このパキスタンの大統領、ムシュラフ大統領の娘さんです」
どうして、護衛も無しに一人でここに。
「ふふっ。この前来た客人がね。面白い物を見せてくれたんですよ」
「面白い物?」
それは一体?
「何やら、小さな宝石箱のような物でしたけど。それを開けた途端に、私にこのような素晴らしい力が」
そう言うと、壁の絵に手を触れる。
するとその絵が実体化した。
しかも機械の体で。
「もしかしてそれって、オロチ・システム!?」
「よくご存じで。さすが、考古学に詳しいリンドウ」
「ちょっと・・・話が見えないんだけど」
美喜子さんが話に入る。
「そうですね。何処から話せば良いのやら」
「単刀直入に。そのオロチ・システムって何!?」
オロチ・システムそれは。
「日本の古代文献の中にヤマタノオロチって名前があるのはご存じですか?」
「へ?あぁ、確か八つの頭の龍が暴れて、何かの英雄が倒したって話し?」
「ちなみに、英雄の名前はスサノオノミコトだけどね」
ぽつりと山本さんが加える。
「実はあれは、本当は龍ではなく八つの邪悪なる力が封じられた箱だという説があるんです」
「何それ!?」
美喜子さんが驚くのも無理は無い。
これはあまり知られていない話。
私のように、考古学を詳しく調べていない限りは耳にすらしないほどの話。