第5章 9話
「私に任せてください」
このほうきの真の力を使う時。
それが来た。
あまり何回も使いたく無いけれど。
今はそんな事を言っている場合では無い。
「林道さん。狙うなら頭を狙った方がいい」
「頭?」
「ああ。あれは元々生物が機械になっているんだ。だから頭か心臓を狙えばさすがに復活する事も無いだろう。だが心臓は何か危険な気がする」
なるほど。
ここは素直に山本さんの助言に従う事にしましょう。
精神を集中して。
一気に解放!
「はっ!」
すると。
頭の部分が真っ二つになる。
そして、そのまま崩れ落ちる。
「やった!!凄いじゃん!」
ふぅ。
「にして、こんなに凄い威力あるなら。なんで最初から使わないの?」
それは当然の質問でしょうね。
私が口を開こうとする。
「あれ?そう言えば林道さん、髪の毛が短くなってないかい?」
どうやら、山本さんが気づいたようね。
「あれ?ホントだ」
「これが、今の力の代償なんです。一度使う度に髪の毛が5センチほど消滅してしまうんですよ」
ですから、これはあまり使いたくない。
「消滅!?」
「はい。私の能力で鑑定していますから。間違いありません」
そして、これを持っているもう一つの理由。
それは。
「これは、アーティファクト・ウェポンと言われる神の作った武器なのです。ですからそういう代償もあるんですよ。」
「神の作った!?」
「それを何故林道さんが?」
そう。
これはただのほうきでは無い。
「これは、アイテムが持ち主を選ぶんですよ。そして、その人の所へとやってくる。おそらく、私の所に来たのは運命というものなんでしょうね」
私も、初めてこれに触れた時は驚いた。
とてつもなく凄い力が込められている。
それは人が使うにはあまりにも強すぎる力。
ですから私は、普段は力を抑えて使っている。
それでも、普通に戦う分には十分過ぎるくらい。
元々私は戦うつもりは無かったんですが。
それでも、何度か使うはめになった事はある。
ですから、将来このほうきと付き合うためにも。
私は髪を伸ばす必要があった。