第5章 8話
さて。
先へと進みましょう。
それにしても。
この機械。
一体何の素材で出来てるんでしょうね?
少し気になります。
そっと手を伸ばした。
その瞬間。
私の腕を山本さんがつかんだ。
「え!?」
「止めておいた方がいい。何か嫌な予感がする」
嫌な予感?
なんだか良く分からないですけれど。
素直に止めた方がいいかも。
え?
今。
微かに動いたような?
「美喜子さん!山本さん!」
二人の名前を呼ぶ。
そう。
今、破壊したはずの牛が。
再生されて、また再び動こうとしている。
「うげっ!!再生してるぅ!?」
どういう事?
「自己修復能力!?またとんでもない機能が。あれ?」
?
山本さんが何やら考え込む。
「なぁ、美喜子。これって」
「ええ。前に戦った恐竜を思い出すわね」
あっ!
そうですわ。
私が初めて戦った相手。
確かに、あの恐竜も傷が治ってました。
「この頑丈さに再生能力か。まいったな」
完全に元の状態に戻っている。
そして、私達をにらむ。
やはり、怒っているみたいですわね。
どうすれば?
『理恵子、理恵子』
え!?
何?
この、直接頭に響く声は?
『今こそ、真の力を発揮する時なのです』
真の力?
それってもしかして。
私はほうきを見る。
まさか、このほうきから声が聞こえてくるなんて。
そう。
これには威力が高すぎて、普段は出していない力がある。
それでも、武器として使う分には十分過ぎるほどの力があるのですが。
それを使う時?
でも。
正直、恐い。
あまりの威力の高さに。
このほうきは”切る”事に特化している。
その気になれば、切れない物が無いほどに。
それを使えという事なのね