第4章 17話
「美喜子!開けて飛び込め!」
私はうなずく。
健一の能力のパワーはそれほど強くない。
おそらく彼女を止めるほど強くしてるって事は、逆に効果時間が短いんだわ。
私の能力がいい例。
私はすかさずボタンを押す。
開いた!
そのまま、中へと飛び込む。
ふと振り返ると。
健一も走ってる。
ん?
こっちに飛び込むついでに、スイッチを踏んでる!
閉めるつもりね。
「『土の精霊よ!固めろ!!』」
へ?
健一はそのまま、私の側へと飛び込んだ。
「どういう事?ここの床は自然のものじゃないから使えないって」
「ああ。だけど僕の靴の裏にある泥は自然の物だろう?あのスイッチを覆い隠すには十分だ」
なんと。
とんでもない事を思いつくわね。
精霊を操る事が出来るというこの能力。
とんでもなく便利ね。
「さて。とにかく水晶のドクロを早く見つけよう。こうしている間にも落下はしているんだから」
そうだわ!
私は懐中電灯を点ける。
ここは電気も無く真っ暗。
中は。
「うわぁ」
これは。
金銀財宝の山だわ。
持って帰れば、それこそ大金持ちになれるほどの量。
「水晶のドクロは何処だ?」
それに関心を示さない人がここに一名。
いえ。
そうよ。
私達の目的はあくまで水晶のドクロ。
この財宝を求めて来たんじゃない。
えっと。
何処にあるのかな?
ん?
あっちの方にありそうな。
あっ!!
「見つけた!!」
今度こそ、正真正銘。
本物の水晶のドクロだわ。
「さすが美喜子だな。よし、早く帰ろう」
「そうね。この都市も落下しちゃうし。あれ?あいつらはどうするの?」
あいつらとは、もちろんさっき会った自衛隊の事。
「表にはまだ氷室もある。ここは僕たちだけで帰るんだ。それにあいつらだって独自の方法で脱出方法があるだろう。そうで無ければ、空中に浮かんだ都市に行こうなんて思わない」
そういうもんかしら。
「氷室百合恵はどうするつもりかしら?」
「さあ?パラシュートでもあるんじゃないか?ディルスを置いて残るんだ。それこそ独自の脱出方法でもあるんだろう」
まぁ、それはそうかもしれないわね。
「こっちは自分達だけで精一杯だ。非常と言われようがあっちはあっちでやってもらうしかない」
よし。
帰りましょう。
次回更新は7月25日(月)予定です。