第4章 14話
「もうここには用は無い。次へ行くか」
こいつ。
「美喜子。行かせてやれ」
小声で健一が言う。
「なんで!?」
信じられない。
健一だって、こいつのせいで悔しい思いをして人生が変わったはずなのに!!
ディルスが行ってしまった。
「何度も言ってるけど、僕たちの目的はなんだ?」
「くっ。水晶のドクロを手に入れる」
「そうだよ。ディルスを倒す事じゃない。確かに二度と無いチャンスかもしれない。それにあいつの目的がなんなのかも知りたい」
やはり健一も悔しいんだわ。
「それに、あいつの能力は未知だ。触れると駄目というのはやばすぎる」
それは、そうかもしれない。
あの玉を動かす能力も詳しい事が分かってない。
奴は武器って言ってたけど、本当かどうかも分からない。
今は小さなビー玉サイズにまでなっている。
混乱をしていた自衛隊達は、私たちを放っておいてディルス達を追いかけている。
あいつらもディルスに滅茶苦茶にされた可愛そうな犠牲者ね。
なにせ、ここに1体。
金の像が立っているから。
「これって治る事あるのかしら」
「さあ。残念ながら僕達は治す術は無い。あいつが治す意志がない限り。でも無駄だろうね。だってあいつは狂ってるからな」
確かに。
そのせいで、健一は科学の道を歩む事になった。
そう。
ディルスに対抗するために。
私はまったく違う理由だけれども。
それでも、あいつに対抗できるように修行してきた。
「それにここで会ったのが運命なら、あいつを倒すチャンスは必ずやってくる」
「どういう事?」
「だってそうだろう?あいつはまだ目的がある。それはどうやら僕たちの行く先とも何か関係がある。つまり、まだ会うチャンスはあるって事だ」
そこまで考えて、あいつを見逃したって事ね。
「とにかく僕たちは水晶のドクロを手に入れる。あいつを倒すのはそれからでもいい。これはきっと僕たちの運命なんだと思うから」
運命ね。
確かにそうかもしれない。