第1章 6話
そこにはそう書いてあった。
『この下を押す者。全ての希望を捨てよ』
・・・えっと。
「全ての希望を捨てよ!?」
美喜子も驚く。
それはそうだろう。
何せこの文章。
あの有名なダンテの「神曲」に出てくる言葉に似ている。
しかも地獄の門に書かれてある言葉という内容だったはず・・・。
それがここにもあるなんて・・・。
つまり。
これを押す事は地獄へと進む道だと思った方がいい。
「美喜子。これはやばすぎる。おとなしく違う所を見よう・・・」
僕がそう言ったのにもかかわらず。
美喜子はすでに手が伸びていた。
そして・・・。
そのまま押した。
「って・・・。何押してんだよ!!」
「え?いや~。言ったじゃない。呼ばれてる気がするって」
だからって・・・。
こんなとんでもない事が書かれてるのに・・・。
「え!?」
その次の瞬間。
僕達の床が無くなっていた。
そして・・・。
そのまま二人とも、落下して行った。
くっ・・・。
何かトラブルを起こすと思ったけど・・・。
こういう展開だとは・・・。
「うわっ!!」
しらばく落下すると・・・。
突然、広い空間が表れる。
そして・・・。
そのまま落下する。
「くっ!!」
衝撃はあるけど・・・。
なんとか・・・無事みたいだ。
「美喜子?」
僕は側に落ちた美喜子に声をかける。
「いつつ・・・。なんとか大丈夫よ」
良かった。
美喜子も無事か。
さて・・・。
これは困った事になった。