第3章 13話
「それで?どうだった?」
「かなりやっかいな事が判明しました」
やっかい?
どういう事だ?
「あのDNAには、傷を治す細胞が異常なほどにあります。おそらく、ダメージを受けた次の瞬間から治っているのでしょう」
なんだって!?
「ちょっと待って。それじゃあ、いくら殴っても意味が無い!?」
戻って来た美喜子も驚いている。
そういえば。
林道さんが切った部分からも血が流れていない。
いや。
それどころか、その切り傷も無くなっている。
そこまでは気づかなかった。
いや。
血が出ない事は変だとは思っていたけど、恐竜の構造が分かってなかったから大して重要とは思っていなかっただけかもしれない。
ともかく。
あの恐竜には攻撃は利く。
だけど、異常なスピードで治るってだけか。
確かにやっかいだ。
「どうすればいい?あんな巨体じゃあ心臓を狙うってのも、かなり無理っぽいし」
それに、狙っても瞬時に治る可能性もある。
どうしたらいいんだ。
こっちの攻撃力では、治る以上のダメージを与えるってのは無理だ。
林道さんも、どうしていいか分からない様子。
せめて、もう少し細かい情報が分かれば。
「そうだ。林道さん。もう少し詳しく知らせてくれないか?」
「え?」
「そのDNAの事だよ。僕はそういう事には詳しい。詳しく知ればきっと弱点も分かる!!」
「そうは言われましても・・・」
かなり困った様子だ。
「!!恐竜が来るわよ!!」
くっ!
ぐずぐずしてる場合じゃない!!
「早く!」
「!分かりました」
林道さんは覚悟を決めた。
「額を貸してもらえますか?」
「額?」
「はい。私の知った情報を送る唯一の方法です」
それなら。
僕は額を少し前に出す。
「それでは」
すると。
林道さんも額を出して、僕の額に当てる。
「なっ!何をしてんの!?」
「これが唯一の方法なのです」
それこそ、目と鼻の先に林道さんの顔がある。
だけど。
そんな事に動揺してるより先に、頭の中に情報が入る。
「!!これは」
「恐竜から得た情報です。私が分かったのはごく一部ですけど」
なるほど。
かなり細かい事まで情報として得ているようだ。
DNAの情報まである。
確かにこれは専門的に勉強してないと、分からないかもしれない。
これは。
DNAと共に元素記号の情報も入る。
しめた!
僕にとっては、こっちの方が専門分野だ。
ん?
これは。
「来るわよ!!」
あった!!
たった一つ、唯一の弱点が!
この元素記号の意味する所は一つしかしない!