第1章 4話
ついに来てしまった。
エジプトはカイロ。
実は海外に行くのは初めて。
それが、美喜子と二人きりとは・・・。
「ねぇねぇ!早速ピラミッドへ行こうよ」
あのねぇ・・・。
「まずは泊まる場所を確保するのが先だろ?荷物だってあるんだし・・・」
このまま直接行くつもりだったのか・・・。
「だって~。ピラミッドへ行きたくてワクワクしてんだもん」
こういう所はある意味、美喜子らしい。
だけどここは海外。
何が起こるか分からない。
とにかく、まずは宿泊先を確保しなくては。
こういう時の為に、色々調べて良かった。
日本人向けのホテルはすぐに見つかった。
やはり観光客が多いんだろう。
まだ午後3時くらいだけど、すでに6割は埋まってるらしい。
「それで・・・、シングルを2部屋・・・」
「何言ってんのよ。そんなのお金の無駄でしょ?ダブルでいいわよ」
おいおい・・・。
「何言ってるのか分かってるのか!?それって僕と美喜子が同じ部屋で寝泊まりするって事だよ?」
「うん」
即答した。
いや・・・。
たぶん、その意味を深くは分かっていないんだろう・・・。
そりゃあ・・・確かに昔からお互いを知ってる仲とはいえ、仮にも男と女が一緒に泊まるなんて・・・。
でも美喜子の言う通り、お金はだいぶ浮いた。
2泊3日の短い期間だけど、お金は節約するに限る。
それに、僕と美喜子じゃあ、万が一の事態も起きないか・・・。
それよりも、もっと深刻なのはこれからピラミッドへ行く事だ。
あの美喜子が、ただ見て帰るとは思えない。
中に入る事も当然予想される。
問題は。
このピラミッドへ行って無事に帰れるかどうかだ。
そりゃあ、ピラミッドは随分研究されて、ほぼ中身の全貌は明かされたと言っても過言じゃないけど。
それでも、今でも隠された場所があるという推測が出ている。
それほど、ピラミッドというのは謎が多い場所でもある。
そして・・・。
どうも、美喜子はそういうのを引き寄せる何かがある。
これまでも、廃墟と化した工場で秘密の紙幣製造機を見つけたり、自然の洞窟に入って行方不明となった人物の遺骨を見つけたりと、いくつも例があるぐらいだ。
そしてこういう場合、大抵僕が貧乏くじを引くはめになる。
次回更新は2月8日(月)予定です。