第3章 三角形
なんとか無事に帰れた。
行った経由も不明なら、帰れた理由も不明。
まったく。
科学的じゃないから説明も出来ないってのはなぁ。
美喜子はありのままを受け入れてるせいか、もう気にしてない。
僕が考えすぎなんだろうか。
それにしても。
今回の水晶のドクロ。
また座標が書かれてると当然思っていた。
だけど。
そこには「Triangle」と英語で書かれているだけだった。
つまり三角形。
どういう意味なんだろうか。
三角形の建物って意味だと、ピラミッドしか思いつかない。
だけど、ギザのピラミッドはすでに行ってるし。
他にもピラミッドはあるけど、いくつもありすぎてどれと断定は出来ない。
困った。
美喜子は当然、僕に期待している。
こういう頭脳的な事は僕の方が得意だと思ってるし。
なんとしてもこの意味を解かなくては。
ピンポーン。
なんだ?
家のチャイムが鳴った。
今、この家には僕一人だけ。
美喜子なら、チャイムを鳴らすなんて事をせずに勝手に入ってくるはずだし。
誰なんだろう?
玄関の扉を開ける。
「どなたです?」
そこに立ってる人を見て驚いた。
そのあまりの綺麗さに。
確かこの人。
うちの学校の中でも一番の美人という噂の林道さんじゃないか。
どうしてここに?
「あら。美喜子さんに会いに来たんですけど。どちらさまで?」
美喜子に?
「美喜子の家はこっちじゃないよ。隣」
意外と抜けてる人なんだな。
「あら。それではあなたが山本君?」
「うん。美喜子から聞いてるのかい?」
わざわざ会いに来たって事は、少なくとも仲が良いって事だ。
そうなると、美喜子から僕の事を聞いてても変じゃない。
「ええ。お隣の”健一君”って」
やはり。
「美喜子に用事あるんだろ?」
「あっ、そうでした。水晶のドクロの事でお話をしようと」
水晶のドクロだって?
なんでこの人がその事を!?
美喜子しかいない。
でも変だな。
いくら美喜子でも、この事は秘密にするべきだって事は分かってるはず。
なのに、なんでこの人が知っているんだろうか。