第2章 12話
私達は慎重に登る。
何せここは階段。
思いっきり外から丸見え。
当然エレベーターはあるけど、電源なんてある訳が無い。
だからこうして普通に登るしか無い。
というよりも自動扉も閉まってるから中に入れないだけだけど。
頂上は絶望的に遠い。
でもここは歩いて登るしか無い。
本当は私の瞬間移動を使ってもいいんだけど。
問題が一つ。
そう。
私の瞬間移動は一日3回しか使えない事。
これから立ち向かう敵は自由に空を飛べるから、万が一のために瞬間移動は温存した方がいい。
そうじゃないと、回数を使い切ったせいで落下死するなんて嫌だもの。
こんな訳の分からない所で死ぬなんて嫌よ。
「ん!?やばい!!気づかれたぞ!!」
え!?
上空から。
来た!!
どうする!?
「戦う?」
「戦うにしても、足場が不安定だ」
確かに。
外から丸見えな階段にいる。
ちょっとバランスを崩したら地面へと真っ逆さま。
戦うには機動力が使えないわ。
「仕方無い。『シルフ!』」
え!?
健一が、精霊を使った!?
どうやら、健一も私と一緒で能力を使いこなせるようにしてたのね。
そして。
風のバリアでハーピーの攻撃を防ぐ。
それを感じて、ハーピーは遠ざかって行く。
「良かった。今のは軽く攻撃してきたから防げたけど、本格的に来たらやばかったかも」
「へ?どういう事?」
「僕の能力は遠距離まで効力あるから、どうもそのせいで威力はそれほどでも無いんだよ」
あらら・・・。
利点があれば欠点もあるって所ね。
まぁ、私の能力もそういう点では一緒だけど。
となると・・・。
あっちが本格的に狙って来る前に、なんとか頂上へと行かなきゃ。