第2章 10話
あちこち歩き回っていたら、妙な建物を見つけた。
何なのかしら?
「これ、何かの研究所みたいだ」
へー。
そういうのが分かるって、やはり科学系が好きなだけあるわね。
私にはさっぱりだわ。
健一は喜々として入る。
なんか。
私以上に脳天気ね。
健一矢の方がよっぽど現状を分かってると思ってたけど。
仕方無いので、私も後を追う。
ふむ。
これが研究所って所なのかしら。
私は健一を見つける。
「どう?」
何やら部屋の一室で書類らしきのを見てるみたい。
「うん。どうやら、あのモンスターの事らしい」
「え?って事はここで作られたって事?」
「どうもそうらしい」
って事は。
あれはよくあるモンスターのように元々ああいう形の生き物なんかじゃなく。
作られた生き物って事なのね。
「どうやら人と鳥を遺伝子操作して作られてるらしい。コードネームは”ハーピー”だ」
「はーぴー?」
また聞いた事の無い名前。
「その昔いたとされている伝説の生き物だよ。日本で言う妖怪のたぐいみたいなもの」
あぁ、そう言われると分かるわ。
つまりそれを人工的に作り上げちゃった訳ね。
「あれ?ちょっと待って。あれが作られたって事は、本来ここで管理してないと駄目なんじゃないの?」
なんで外で放置?
「もちろん最初の頃はそうだった。けど」
「けど?」
「計算外の事が起きた。天候による停電だ」
へ?
「ちょっと待って。普通こういう所って停電が起きてもいいように対策してない?」
病院とかでも突然の停電でも大丈夫なようにしてあるって聞いた事あるし。
不測の事態に備える必要はあるものね。
「ところがだ。実はその天候ってのがやっかいだったんだ」
どういう事?
「聞いた事無いかな?ノアの箱船って話を」
「そりゃあ、有名な話だから私でも知ってるけど」
「つまり、大洪水が起きたんだ。いくら頑丈に作っていようが何週間も持つ訳が無い」
え!?
「ちょっと待ってよ!!まさか」
「そう。この町は、いやこの世界はノアの箱船の時のような大洪水の被害にあったんだ。いくらなんでもそれは想定外だろ?」
まさか。
そんな事が現実に起きてるなんて・・・。
「あっ!だからこの町は外があんなに綺麗なのね!?」
「そういう事。ゴミは全部流されていったみたいだね」