第1章 2話
僕も美喜子も寝間着のまま下へ降りる。
さて・・・何が出てくるか。
こういう場合、大抵最悪な状況が待っている。
これまでもそうだった。
だからこそ、僕は不幸だと思う。
テーブルの上に何か置いてある。
メモか・・・?
いや、別に何かある。
なんだ・・・?
『健一。おまえの為に新婚旅行を用意しておいた』
新婚旅行って・・・。
結婚もまだなのに、どうも両親は結婚してると思ってるらしい・・・。
ん・・・?
どうやら、飛行機のチケットらしい。
親も旅行に行ってるのに、わざわざ僕らの為に買うとは・・・。
どこから、そのお金を出したんだか・・・。
なになに・・・行き先は・・・。
「は・・・!?カイロ?」
美喜子が驚くのも無理は無い。
どう考えても、そこは新婚旅行先じゃないだろと。
いや、別に僕たち結婚してる訳じゃないんだけど。
でも、仮に結婚したと仮定をしてもそこはありえない。
・・・まったく、何を考えてんだか。
本当・・・どこからそんなお金が出たのか、疑問が残る。
僕の家も美喜子の家も、そんなにお金持ちじゃないはずなんだが・・・。
「ん~。どうする?これ」
確かに・・・どうするか・・・。
「キャンセルして、そのキャンセル料で遊んだ方がいいと思う」
それが賢明だし、エジプトのカイロに行くよりいいと思うが・・・。
「えー!?せっかく面白そうなのに・・・キャンセルするの!?」
これだ・・・。
美喜子は好奇心が旺盛だ。
普通の人ならば、よほど興味が無い限りカイロなんてまず行かない。
これがハワイだの台湾だのと言った、有名観光スポットならいざ知らず。
「行きましょうよ!そしてピラミッド見るの!!」
・・・絶対嘘だ。
見るだけで終わる訳が無い。
それは子供の頃から一緒だったから分かる。
まず間違い無く、そこへ行ったら中へ進入するのは目に見えている。
・・・だから行きたく無いんだ。
「よーし!決定!!」
そして・・・。
この場合、僕の意見は完全に無視される。
だから、僕は不幸なんだ・・・。