第2章 3話
まさかとは思って無かった。
あんなとんでもない目に遭って、偽物だなんて訳がないとは思っていた。
それにしても・・・触っただけで分かるなんてどういうことなの?
「はっ!すいません。つい興奮して」
あらら。
とても珍しいのを見せてもらったわ。
彼女はあまり熱中するという場面を見せないタイプだと思ってたけど。
「これはまさしく、ヘッジスのドクロに匹敵するほどの物」
「ん・・・?何それ?」
初めて聞く名前だわ。
「オーパーツの中でも特に有名な品物です。水晶が持つ自然軸に反する形で切り出されて形成されているという、とても珍しい品物」
「へ・・・?どう珍しいの???」
サッパリ分からない。
「水晶というのは、自然軸に沿って加工しないと壊れてしまうんですよ。ですから自然軸に反する加工というのは、現代の技術でも不可能なんですよ」
へー・・・。
そんな訳の分からない品物なのね。
「これは全部で13個あると言われてました、まだ本物は1個しか出てなかったのに」
13個!?
それが本当だとすると・・・。
今が2個・・・つまり、まだこれと同じ物が11個存在する事になる。
まさか・・・。
例の数字って・・・次の水晶のドクロへの道のり!?
「まさか、本物を見れるとは思って無かったですわ」
まぁ・・・その話が本当なら、確かに本物なんてそうそう見れるもんじゃないし・・・。
ってあれ?
そうだわ。
まだ理恵子はきちんと観てない。
それこそちょっと見て、触っただけ。
まさか・・・。
「ねぇ・・・理恵子。もしかして・・・不思議な力が使えたりするの?」
私は気になる事を聞いてみた。
それは。
今の私も不思議な力が使えるから。
以前の私だったら、こういう事を考えもしなかったでしょうね。
「え!?その・・・」
「心配しないで。私も不思議な力を使えるの。そのピラミッドの中での出来事でね」
思えば・・・。
あの時・・・何か妙に引きつけられる文字を見つけた事から始まった、とても危険すぎる冒険。
その中で見つけた、トトの書。
あれの力。
もしかしたら・・・。
理恵子も似たような物の力をもらったのかしら?