第8章 12話
「そう簡単に思い通りにいくと思わないでよ!!」
美喜子はそう叫ぶと、ディルスが触れる前に姿を消した。
「何!?」
瞬間移動だ。
だが。
かなりやばい。
何せあれは回数制限がある。
そして。
すでに1回使っていて、これで2回目。
あと残り1回か。
ここが空中だという事を考えると、もう使えないと思っていい。
「ふぅ」
さすがの美喜子も汗だくになっている。
そりゃあそうだろう。
何せ触ったらアウトだ。
しかし。
どう倒せばいいんだ?
なんとか磁力を封じる方法を考えないと。
時間が欲しい。
くそっ!
外では、すでに雹が降っている。
これで残りはイナゴと暗闇か。
そこまで行ったら、僕達は死ぬ。
いや。
僕達だけじゃない。
世界中で沢山の死人が出る。
それだけで終わらない。
そう。
このイザナギノミコトがある。
ディルスはこのイザナギノミコトを使って何をしようとするのか。
それは残された人々のわずかな希望すらも奪い去る事は間違い無い。
そして、その時はそれを止める人はいない。
それはディルスによって悲しい人がもっと増えるという事だ。
あの過去の思い出が蘇る。
そうだ。
こいつは自分の欲望の為に、犠牲者が沢山出来たんだ。
ここで止めないと。
「ディルス!!」
僕は叫ぶ。
僕は基本的に人を傷つけるというのは嫌いだけど。
これまでの冒険でも、化け物相手でも守る為に攻撃はしてきたけれど。
僕は覚悟を決めなければ。
「『グレイトライト!』」
光のレーザーを放つ!
これはさすがに避けれないはずだ!
だが。
キィン!
何かにぶつかった。
あれは。
「危ない危ない。まさか、そんな手も使うとはな」
あれは。
鉄の破片。
くそっ!
楯のように使ってる。
「そろそろ悪あがきは終わりか?それなら、お前らはここで終わりだ」