第8章 9話
ついにイザナギノミコトの中へと乗り込んだ。
結構呆気なく入れた感じはするが。
当然、ディルスは僕達が乗り込んでる事ぐらい知ってるはずだ。
何の反応も無い所を見ると、自信満々って所か。
そりゃあ、ディルスにはDNAを操作する能力がある。
あれがやっかいだ。
それに未だ正体が分かっていない、あの鉄球もある。
その他にも未知の力があるかもしれない。
だが。
それは向こうも同じなはず。
まだ全ての力を見せてはいない。
だがこれから、全ての力がぶつかるはずだ。
心してかからないと。
「そうですわ。これからディルスと戦う前に、美喜子さんにこれをお渡しします」
林道さんが取り出したのは、手袋だった。
「何これ?別にこんなの無くても平気だけど」
「そうではありません。それはアーティファクト・ウェポン。つまり美喜子さん専用の武器なんです」
え?
これが?
どう見ても、普通の手袋にしか見えない。
なんというか。
格闘家が良く付けるような、手を保護するための手袋。
でも、普通のほうきにしか見えないが、武器だってのがある。
それが林道さんの武器。
それを考えると、これも同じような物なんだろう。
それに、それを言ってる人物は他でもない林道さん。
触った物品を鑑定出来る能力を持っている。
つまりこの手袋が普通の手袋じゃないって事は、誰よりも彼女が知っている。
「つまり、これで奴の鉄球にも対抗できるって訳ね」
そうか。
以前は弾いたが。
これが武器だとすると。
「少なくとも同じアーティファクトで無い限り、弾かれるって事はありません」
なるほど。
待てよ。
「つまり、もし万が一ディルスもアーティファクトを持っていたら?」
「かなり苦戦するのは間違い無いですわね」
そうだ。
何もアーティファクトを持ってるのはこっちだけじゃない。
すでにオロチ・システムなんて物も持ってる。
そしてオーパーツを求めてあちこち出回っている。
その時に、アーティファクトを見つけていたとしても変では無い。
林道さんによると、アーティファクトは向こうから持ち主を捜し出すって感じだし。
つまりはディルスも持っていても、何ら変では無い。
それも覚悟しないといけない。
「別に持っていようがいまいが。倒さなくてはいけない事に変わりは無いわ!」
そうだ。
奴は倒さなきゃならない。
それは変わらない。