第1章 ピラミッド
この物語は【妖魔界】の純粋な続きではありません。
また物語の性質上、作者が行った事の無い場所が舞台となっていますが、その情報は全てネットから入手しています。
その為、本当の場所と違う場合がございます。
予めご了承ください。
僕はとても不幸である。
そう思う時がある。
その原因が・・・。
「おっはよー!起きてる?」
今日も隣の家の窓から家の窓まで侵入して来た、この幼なじみが原因だ。
うちの両親と、隣の家の両親が仲良くなってから約20年。
待望の子供が生まれたのが仲良くなってすぐ後の事。。
そして・・・。
あとは良くある話で、両親達が勝手に許嫁として決めてしまった。
それでも、子供の頃は別に良かった。
その意味を分かって無かったから。
だが・・・。
今ではお互いに、いい年頃。
その意味も分かって来る。
しかし・・・。
あまりにも小さい頃から知ってるから、逆にそういう感じにはなれない。
何せ・・・。
今日も、隣の美喜子はパジャマ姿のまま僕の部屋へと入って来ているからだ。
「起きてるよ・・・。だいたい美喜子が来る時に寝てる事が一度でもあった?」
「あはは。確かにそりゃ無いわ」
屈託無く笑う。
ひいき目抜きで、黙っていればそこそこ可愛い部類には入る。
だけど・・・。
美喜子はどうも女性の感覚が無いようで・・・。
「それで?今日はなんだよ。もう夏休みの宿題は全部終えただろ?」
あれは地獄だった・・・。
だけど、そのおかげでまだ残り沢山ある夏休みをゆっくり遊ぶ事が出来る。
「いやー。実はね、うちの両親が旅行に行っちゃって・・・」
「え?美喜子も?僕の両親も置いて行っちゃったけど・・・」
まさか・・・。
「うん。たぶん一緒だと思うよ。あとは二人で仲良くやりなさいって・・・」
そう言って、美喜子は一枚のメモを出す。
うっ・・・。
そこには確かに・・・。
『お隣の健一君とラブラブするチャンスだから、存分に仲良くしなさい』
などと書かれていた。
・・・もしかしたら、家の1階にも似たようなメモが残ってるかもしれない・・・。
「このさいラブラブは置いといて、残りの夏休みをなんとか二人で過ごさないと・・・」
そうだった。
なんか、海外に行くとか言ってたな・・・。
帰るのは一週間後ぐらいとも言ってたような・・・。
一応お金は置いてあったから、なんとかなるかもしれないが・・・。
にしても、まさか隣の家族まで行ってたとは・・・。
これは・・・。
また不幸な出来事の前触れかもしれない・・・。
次回の更新は1月18日(月)予定です。