#1 悪魔憑き
なろう小説初投稿です。よろしくお願いします。
''人は死んだらどうなるのだろう''
誰もが1度は考えたことはあるのではないだろうか。私も考えたことがある。幼い頃、両親を事故で亡くした私は''死''を理解できなかった。棺桶に入れられた両親、私は2人が眠っているのだろうと「起きて」と必死に起こそうとした。そんな私を見兼ねた祖母は「パパとママはお空に行ったの。だからもう起きることは無いんだよ」と、祖母は涙ながらに私に訴えた。
''パパとママはお空に行ったの''
幼い私にはこの言葉が理解出来なかった。お空に行ったと言われても、私の両親は目の前で眠っているだから。おじいちゃんもおばあちゃんもパパとママを起こさずに何故泣いているんだろう?そんなことを考えていた。ただ、幼い私でも理解出来たことが1つだけあった。
''パパとママはもう帰ってこないんだ''
色んな思い出が蘇ってきた。私の思い出ではない。父と母の思い出だと、幼い私は直感的にそう思ったのだ。どんな時でも味方になってくれて、私に寄り添って愛してくれた母。妻と娘のために毎日必死で働き、休みの日には家族で遊園地や動物園に連れて行ってくれた父。2人とも私を愛してくれていたのが伝わった。''もう帰ってこないんだ''と理解していた私はその場で泣き崩れた。祖母も一緒になって泣いてくれた。
''人は死んだらどうなるのだろう''
先程も述べたが、誰もが1度は考えたことはあるだろう。だが、私は違う。私には亡くなった人の思い出が視える。今までどんな思いで生きてきたのか、どんな気持ちで亡くなったのか。亡くなった人が生前、大切にしてた家族や友人の思い出を、思い入れのある品を介して視ることが出来る。また、亡くなった本人に同情又は直接''見る''ことで能力が発動する。
霊能力の一種なのだろうか。お葬式やお墓、その人の思い入れのある品等に触れたり見たりしてしまうと、自分の意思関係なしに視えてしまうのだ。
''だから私は、人が死んだ後の事など考えない''
2020年4月1日
「ご飯出来たわよー!」
柊陽葵は祖母の声で起こされる。両親を亡くして10年、陽葵は祖父祖母の家に引き取られた。この10年、私は''人の死''について触れないようにしている。何故なら''思い出''を視たくないからだ。
「ん〜、もうちょっとだけ…」
陽葵は眠い目を擦る。そしてまた自分の布団に潜り込んだ。それを見た祖母、柊紗栄子は陽葵の布団を引っペがす。
「もう!今日から高校生でしょ?早く顔洗ってらっしゃい」
紗栄子は陽葵に支度をするように促す。自分の領土を失った陽葵は、仕方なく身支度を整えることにした。
「今日は午前中で帰ってくるのよね?」
身支度をしながら、紗栄子は陽葵に今日の予定を聞く。
「うん、今日は午前中で終わりだよ」
「お昼ご飯は?」
「んー分からない…食べていくかもしれない。一応準備してくれると助かる」
陽葵は曖昧な返事をした。それに対して紗栄子は呆れたように溜息をつく。
「もう…曖昧なのが1番困るのよ。一応インスタント麺用意しておくから、自分で食べてちょうだい」
紗栄子は呆れながらも陽葵にお昼ご飯を用意してくれるそうだ。
「ありがとうおばあちゃん」
新しい制服に着替えながら陽葵は返事した。
そうして身支度を終えた陽葵は祖母に「行ってきます」という言葉を残して家を後にした。
家を後にした陽葵は、高校へと向かうべく歩いて駅へと向かう。その道中、後ろから声をかけられた。
「陽葵ちゃんおはよう!」
幼なじみの橋本莉緒だ。彼女とは少し家が離れているが、近所である。彼女とは幼稚園からずっと一緒で、たまたま高校の進路も被ったのだ。これから一緒に通学することが多くなるだろう。
ちなみに私は彼女を信頼している。何故だか分からないが、私は1度だけ彼女の''思い出''を視ることが出来たのだ。亡くなった人しか視たことが無い私は、その時は大変驚いた。彼女の''思い出の品''に触れた時、私の能力が発動した。彼女の思い出の品は、私達が小学校の頃に一緒に作った''黄緑色のミサンガ''である。
彼女の思い出は、私にとってとても嬉しいものであった。そこには莉緒の家で一緒にミサンガを作る私の姿が映し出されていた。お揃いのミサンガを付け、永遠の友情を誓う私たち。彼女はそんな幼い頃の私との約束を今でも大切に守ってくれているのだ。そして今でも彼女の右腕には黄緑色のミサンガを付けている、もちろん私も。
こんな自分を大切に思ってくれている莉緒のことは何があっても守ってあげようと思う。ずっと一緒に居たいと思う。
そして私は莉緒に挨拶を返した。
「おはよう莉緒。あれ?髪型変えた?」
私は莉緒の顔を見てすぐに髪型が変わった事に気がついた。前までは胸くらいまであった髪の長さが、肩下程にまで切り揃えてある。
「うん。高校生になったし、髪型変えてみようかなーって。今流行りのボブにしてみたんだ。どう?似合う?」
莉緒は笑顔で陽葵に問いかける。莉緒は元々美人なので、どんな髪型でも似合う。中学時代、いつも暗い表情をしてた私とは裏腹に、元気で明るい莉緒は男子からモテモテだったのだから。
「うん、とても似合ってるよ」
私なりに頑張って明るく莉緒に振舞って見た。その表情を見た莉緒は少し怒ったようにほっぺたを膨らませる。
「もう!全然気持ちが籠ってるように見えない!陽葵ちゃん可愛いんだから、もっと笑顔の方がいいと思うよ!」
いや…そんなこと言われても…
陽葵は心の中で苦笑いをした。''もっと笑顔の方がいい''と言われても、あれは私にとって''精一杯の笑顔''なのだから。これ以上どうしろと言われても仕方がない。
「あはは…ごめん莉緒。もっと明るく振る舞えるように頑張ってみるよ」
陽葵はその場しのぎの言葉を莉緒に言った。それを察したのか、それとも気を使ったのか。莉緒は少し残念そうな、それでもいつもと同じく''明るい''態度で私に言った。
「そんなに無理しなくていいよ!私は今の陽葵ちゃんも好きだから」
私はそれに対して笑顔で相槌を打った。言葉の真意は分からないが、気を使ってくれたことだけは確かだろう。おそらく彼女なりの''優しさ''なのだろう。
そんなこんなで私達は電車に乗り、駅からすぐ近くの高校に辿り着いた。
「えーっと…あー、陽葵ちゃんとは違うクラスだ。ここでお別れだね」
莉緒は少し残念そうにしながら私とクラスが別々になったことを嘆いた。そして私は莉緒を慰めるようにして言葉をかける。
「まぁ、家は近いんだし登下校は一緒にできるよ!それに莉緒ならすぐに友達できると思うし」
「うん!そうだね!また一緒に登校しよ!」
私の言葉に対して莉緒は嬉しそうな表情をした。そして私達は別々のクラスなのでお互い別れて行動することになった。
「えーっと…1年B組…あった!」
私は自分が配属された1年B組の教室を見つけた。そして私はその教室の中へと入る。
やっぱり莉緒がいないと緊張する…
幼稚園から中学までずっと莉緒と一緒にいた私は、性格は暗くても周りに省かれることはなかった。そのため莉緒がいないと''友達が出来ないんじゃないか''と少し不安になる。
自分の席に着席して、緊張で肩に力が入った状態でいると教室に''1人の男''が入ってくる。外見は至って普通の男、中の下と言った所である。そんな''普通の男''がクラス中の注目を集めている。
彼は焦点の合ってない目で大声を出しながら教室に入ってきたのだ。その声に驚いた私も彼の様子に注目していた。
「悪魔憑き!悪魔憑きだあああぁ!この教室には悪魔がいるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
彼は意味不明な発言をしながら、周りの机や椅子を蹴り飛ばしている。すぐに教室中が騒ぎになり、先生が教室に入ってきた。
「入学早々何やってんだお前!」
教室に入った先生は、暴れている男子生徒を見て急いで止めにかかる。先生も驚くだろう。入学早々、周りの机を蹴り飛ばしながら教室に入ってくる生徒がいるのだから。
教室には別のクラスの人間や、騒ぎを聞き付けた先生数人がやってくる。そのうちの1人の先生は他のクラスの生徒を教室に戻し、他の先生で取り押さえる。
彼は落ち着きを取り戻したのか、充電が切れたかのように気を失い保健室へと連れて行かれた。
私、やばい学校に来ちゃったのかな。陽葵は先程の騒ぎを見てそう思った。それにしても、彼の言っていた''悪魔憑き''とはどうゆうことなんだろう?まぁ、本人も正気じゃ無さそうだったし気にしなくていいか。
''悪魔憑き''と騒いでいた男を抜いて、入学式は始まった。緊張で寝れなかった夜、朝は莉緒が居たし、教室では''悪魔憑き''と騒いでた男がいたおかげで眠くは無かったのだが…校長の話やその他諸々の話を聞いて、陽葵は眠くなってきてしまった。眠い目を抑えながらようやく入学式は終わったのだった。
その日は入学式を終えただけで、午前中で帰ることが出来る。明日からは1日中学校にいなくては行けない。自分で選んだ道なのだから仕方は無いが、それにしても面倒くさい。
担任の先生の話を聞き終えた陽葵は、用を足そうとトイレへと向かった。1階に降りて左を曲がった保健室の先にトイレがある。保健室を通り過ぎようとした次の瞬間、ドアが''ガシャン''と乱暴に開かれる。
「うわあぁ…」
声にもならないような情けない声を上げてしまった。まずい、今のでおしっこちびっちゃった…
陽葵は湿ったパンツに不快感を抱きながら顔を上げる。そこには教室で''悪魔憑き''と騒いでいた男の姿が目に映った。
陽葵は驚いてその場から逃げようとする。早く用を足して逃げないと…じゃないとあの男は何をするか分からない。
「おい」
陽葵は男に腕を掴まれ、半ば強引に引き留められる。陽葵は恐怖を感じて必死に抵抗する。
「誰か助けて!変態がここにいます!!」
陽葵は今までの人生で出したことないような大声で助けを求める。しかし、聞こえていないのか誰も来ない。そして男は焦ったような口調で陽葵を宥める。
「お、おい!大声出すな。誤解だから!俺は仏木恭吉、お前に話したいことがあるんだ!」
仏木恭吉と名乗った男は、助けを求める陽葵よりも声を低くして、陽葵に訴えかける。その言葉に''朝の様子''とは雰囲気が違うことに気がついた陽葵は、抵抗することをやめた。
そして口を開こうとした瞬間、別の男が恭吉に話しかける。
「こら、恭吉。女の子に乱暴しちゃダメって教わらなかったかい?」
40代半ばの男の声が聞こえる。その声は妙に落ち着いていて、紳士的な印象を受けるものがあった。そして声の主は私達の前に現れた。
男は住職?のような格好をしているように見えた。年齢は40代半ばに見える。いや、住職なのだろう。髪が無いから。そして、男の表情はなんとも言えない。口は笑っているが、目は笑っていない。そんな印象を受ける男を見て、恭吉が口を開いた。
「義空…誤解だって。俺はただ…」
恭吉は''義空''と呼んだ男に対して言い訳を始めようとする。しかしそれを義空と呼ばれた男が遮る。
「恭吉、言い訳は要らないよ。それよりも恭吉と同じ学校に''悪魔憑き''がいるとは…」
義空は私をまじまじと見つめる。''悪魔憑き''とは、恭吉が今朝叫んでいた単語と同じ意味なのかな?
それを考えるより前に陽葵の膀胱に限界が訪れる。
「あ、あの…すみません。トイレ行ってもよろしいでしょうか…?もう我慢できなくて…」
陽葵は顔を赤くしながらモジモジと足踏みをしていた。それを見た恭吉が慌てて陽葵から手を離す。
「ご、ごめん…その、早く行ってきた方が…」
恭吉が私に向かって謝罪した。私がトイレに向かっていることを知らなかったようだった。そして同じくその光景を見ていた義空も早くトイレに行くようにと促してくれた。
「ふぅ…危ない…マジで漏れるかと思った…」
多少パンツの方は湿っていたが、新しいおりものシートに交換したので先程の不快感は無くなっていた。そして陽葵は恭吉と謎の男、義空の元へと向かう。
彼らは先程とは場所を変え、下駄箱の方に場所を移動していた。おそらく、傍から見たら不審者だと思われるからだろう。まぁ、下駄箱にいてもそれは変わらないけど。
「すみません、お待たせしました」
陽葵は申し訳程度に小走りで彼らの元へと向かう。
「さっきは…ごめん。大丈夫だった?」
恭吉はまださっきの事を気にしているらしい。いい加減しつこいな…漏らした訳じゃないんだから…
恭吉の謝罪に、陽葵は少し不快感を覚えた。そんな2人の様子を見て、義空が口を開く。
「申し遅れました。私は神馬義空と申します。そしてこっちは…」
義空は恭吉の方へと目を向ける。それを察したのか、恭吉は自己紹介をした。
「同じクラスの仏木恭吉…てか、さっきも名乗ったよな?」
そういえば、どさくさに紛れて自分の名前を言ってたような気がする。陽葵は不意にそう思った。
「えっと…柊陽葵です。それで、なんの用件ですか?」
陽葵はずっと疑問に思っていたことを2人に問いかけた。先程から状況がカオスでいまいちよくわかっていないのだ。状況が分かっていない陽葵を見て、義空が口を開く。
「詳しい話は、寺に行ってからにしましょう」
「寺?」
陽葵は思わず聞き返した。なんでいきなり寺に行かなければならないのだろう。まぁでも、義空の見た目からして住職なのだろう。それは分かる。それにしても何故、私が寺に行かなければならないのだろうか?それ程重要な話なのかな…?
陽葵は1人で色々なことを考える。
「恭吉、今日はもう学校終わりだろ?お前も着いてきなさい」
義空の言葉に恭吉は気まずそうにしながら口を開く。
「あぁ…ごめん。俺この後職員室に行かなければならないんだ…」
義空はそれを聞いて呆れたような顔になり、陽葵は当然の事だと納得する。
「仕方ない…では、柊さん。申し訳ないのですが2人で私の寺に行きましょう。あなたにお話があります」
「お話…?」
状況がいまいち飲み込めないが、話を聞かないことには分からないと思った陽葵は、祖母に「お昼ご飯は要らない」という旨の連絡をして義空の寺に向かうことにした。
義空の寺は、私の家から徒歩で15分程度のある程度近い場所にあった。寺の大きさは大きいとも小さいとも言えない、そこら辺にある普通の寺だ。そこには悪霊山伝剛寺と大きく書かれていた。
そして陽葵は、義空に境内まで案内された。寺でよくあるようなでかい神様みたいなのが飾られた、畳の部屋で陽葵と義空は腰を下ろした。そこに私よりも少し年上の、若い女の人がお茶を出してくれる。そして何故か対面に座っている陽葵と義空の間に正座した。若い女の人が座った所で、義空が口を開く。
「まず、こちらの方を紹介するね。彼女は石渡汐織、陽葵ちゃんと同じ''悪魔憑き''の子だよ」
石渡汐織と紹介された女性は、陽葵に向かって一礼をする。
「あ、あの…さっきからその''悪魔憑き''っていうのは一体なんなんですか?」
今日で1番聞いた単語かもしれない。それに対して陽葵が疑問を持つのは当たり前だ。義空は物腰が柔らかい口調で陽葵に語る。
「''悪魔憑き''というのは言葉の通り悪魔に取り憑かれた''人間''のことです。陽葵ちゃんにも、心当たりがあるんじゃない?例えば、''死''に関してなにか''特別''な感情を持ったりとか」
''死''に関して''特別''な感情…陽葵には心当たりがある。私は、亡くなった人の''思い出''を見ることが出来る。生前、楽しかったことや辛かった思い出。そして亡くなるまでの過程や、どんな気持ちで亡くなったのか。私はそれを''嫌''というほど目の当たりにしてきた。このことは祖母である紗栄子にしか相談した事がない。
「えぇ。ありますよ…私には、亡くなった人の''思い出''を見ることが出来ます」
私は意を決して、親友である莉緒にでさえ言わなかったことを得体の知れない男に話した。そして義空はそれにさほど驚いていないように見えた。同席している汐織さんの反応を見ると、これまた同じような表情だった。そして義空は、先程とは違い、ゆっくり分かりやすいように敬語で話す。
「分かりやすくいうと、あなたが持っているその''能力''のことを''悪魔憑き''と言います。そして私は、先祖代々から受け継がれる''悪魔憑き''の''管理人''という立場があなたに1番わかりやすい表現だと思います」
私の''能力''が悪魔憑き…?だとしたら、私は悪魔に取り憑かれているってこと…?
「え、えっと…よく理解できないのですが…」
困惑している陽葵に、汐織さんが口を開く。
「あなたの能力は悪魔が取り憑いているからが故に、その能力を発揮できるのです。そしてそれはとても危険な能力なのです。子供では到底制御出来ないような…とても強い力なのです」
え…私って小さい頃からずっと悪魔に取り憑かれてたの…?一気に血の気が引いた。そんな陽葵の様子にお構い無しに義空は続ける。
「あなたのその能力、制御出来なくなる時があるでしょう?いや、ほとんどの場合が自分の意思と関係なく能力が発動するはずです。それは先程申し上げたように''悪魔の力''が強すぎるが故に自分の意思とは関係なく起こってしまうのです。仏木恭吉くんも、制御出来ずに日常生活に支障をきたしている」
仏木恭吉…?陽葵は朝の出来事を思い出した。あれは恭吉本人が自らの意思で起こした訳では無いのだろう。話の流れを察するに''悪魔憑き''の影響で制御出来なくなっていたのだろう。陽葵は義空や汐織さんの言っていることが分かってきた。そして義空が元の口調に戻って説明する。
「少しはわかったかな?まぁ完全に理解しなくていいよ、そのうち分かるから。それで先祖代々続く僕ら''管理人''は''完全に制御出来なくなる''前に君たちの能力を弱める役割があるんだ」
そこまで話して義空は奇妙な笑顔を浮かべる。
「話の流れはだいたい分かったのですが…私にどうしろと言いたいんですか?」
陽葵の質問に、義空はまた奇妙な笑顔を浮かべる。そして陽葵の質問に答える。
「単刀直入に言うと、君にはここで生活してもらうことになる」
「…は?」
間の抜けた返事が思わず漏れてしまった。え、いきなり…?いきなり過ぎない?まだおじいちゃんやおばあちゃんに相談してないんだけど…
「あ、あの…困ります!いきなりそんなこと言われても色々準備とか…」
「あぁ、それなら気にしなくていいよ。君が通う学校からも近いだろう?」
いや、そうゆう問題じゃないって!陽葵は心の中で突っ込んだ。そして義空は奇妙な笑顔を浮かべながら話を続ける。
「大丈夫。君のおばあちゃんには話をしておく。君の能力についても知っているのだろう?」
「まぁ…知ってはいますけど…」
「なら大丈夫。僕が君のおばあちゃんに連絡しておくよ。君は急いで荷物をまとめてきな!」
「…はぁ」
あまりにもいきなりの出来事に、陽葵は付いて行けなくなってきた。そして陽葵は一旦自分の家に帰り、この事を自分の口から祖母に相談することにした。
ご清聴ありがとうございました。