エヴァーギャラクシー(成長要素有りMMOアクションゲーム)
架空のゲームというのが大前提の紹介文風作品です。
紹介するゲームは実在しませんので、真に受けないようお願い申し上げます。
エヴァーギャラクシー(Ever Galaxy)
発売日∶20XX年X月XX日
発売プラットフォーム∶PC 家庭用ゲーム機
ジャンル∶スキル育成要素有りVRアクションゲーム(フルダイブではない)
概要∶
今のゲーム業界に不満を覚えたトップ開発者達が独立して集まって設立し、最大手のゲーム企業がデベロッパーを引き受けて発売された、当時のゲーム開発技術の粋を集めて開発された作品。
これが未来のゲームだ!
そうキャッチコピーを打った、SF超大作アクションVRゲーム。
このゲームが発売される前に出ていた情報によれば、それこそ宇宙規模の超広大オープンワールド式のMMOゲームであった。
なおプレイするのに、ソフト代にプラスしてオンラインチケットとして月額が必要。
紹介記事にて添付されていた画像は兎に角綺麗の一言しか出てこないような、超絶クオリティーのゲーム背景の画像達であった。
画像の中には惑星やコロニー内にある街の様子もいくつか紹介され、そこに住む住人たちのポーズにも不自然さやゲーム特有のグラフィックの重なり等が無く、当時としては最上級でとてつもなくリアルに描写されていた。
その技術の高さから最高のゲーム体験が出来ると前評判が恐ろしく高く、世界中で当時の過去最高の予約販売数を記録した。
これはこの作品が大成功すると確信した材料になった。
発売されてからは評価が一変。
まず、その最高のグラフィックを描写するために、極めて高性能な端末が要求された。
PC版で最低要求スペックはミドルクラスの端末があればプレイできると有ったが、その最低スペックで描写されるゲームの世界は、まるで当時から比較して更に10年前のゲームみたいな酷いグラフィックへと落ち込んでいた。
普通のハイスペックな端末でさえ標準描写がせいぜいで、それでも描画されるフレームレートが20fps程度で、ガクガクと言えた。
このゲームを最適動作にしてフレームレート30fps以上……いや60fps以上で完全かつ最高に楽しもうとするなら、当時の200万円レベルの超超ハイスペックPCが必須であった。
そしてそれだけの資金を投じた端末で楽しめたのは、グラフィックだけであったと、記す。
だけとまで言われた肝心のゲームシステムだが、何をするにも手順が煩雑であった。
我々はトップ開発者達を嘗めていた。
リアルにこだわり過ぎて、あらゆる手順もリアルに準拠していた。
SF世界で言えばビームやレーザー兵器、パワードスーツやホバー戦車等の搭乗兵器、宇宙船が挙げられるだろうが、それらを使える様にする為の動作が必要だった。
手持ち火器であれば本人確認の認証、セーフティ解除の手順が必要。
ビームやレーザー等の非実体弾を撃ち出す物なら、撃ち出せるようにするための……車の暖気みたいな事をするための、立ち上がる時間が終わらないと攻撃に使えない。
搭乗兵器ならパネルアクションと呼ばれる兵器の立ち上げ作業が必要。
このパネルアクションとは、兵器に搭載されている機器の電源をONにするために、沢山のボタンやスイッチをパチパチ操作する事だ。
普通のVR用コントローラーでも操作は可能だが、実物を触って操作したい玄人用に、PC版家庭用ゲーム機版両方で使える特殊なコントローラー数種類が完全受注生産で発売された。
そのコントローラーはさながら太古のゲームである鉄○を思い出させる大型の物で、販売数は極めて少数だったらしい。
宇宙船なら船員が複数居るなら全員の点呼と各船員の持ち場のチェック作業が行われて完遂されるまで、何も出来ず。 そして指示を出してから各船員が作業に入るので、操船にズレが起きる。
個人で運用する宇宙船の場合はAIが起動するための各種作業を行い、操船や攻撃などは直接プレイヤーが行えるので、まだズレは少ない。
設備や道具をクラフトする際にも全自動ではなく、手動で組み上げる動作を毎回要求する。
量産を必要とする中間素材でもその動作は要求され、その作業感から精神をおかしくするプレイヤーが続出した。
なお動作を要求されずとも作れるようになる自動化設備もあるが、開発がそれを良しとしたがらないのか自動化設備を組み立てる時に要求される素材数も手動で動かす作業量も他に比べて明らかに多く、それが自動化設備の最大の障害になっている。
建築もリアルな建築と同様に耐荷重等の概念が存在し、下手をすれば床が抜けて落下したり、建築物そのものの崩落などの危険が発生するシステムである。
採掘なら丁寧に行わないと入手素材の質が落ち、植物の採取もそれぞれに合わせた採取手順でないと粗悪な素材しか入手出来ない。
農業は現実より多少簡略化されていて、植えてから収穫までに要求されるリアルの時間が最大で20日と、リアルからすれば良心的だ。
もちろん植物ごとの最適な気温・日照時間・栄養状況・水分状況・空気中の成分等等の細かい管理は必須で、まるで農業研修をしているようだと農業学科の学生が絶賛した。
ここまで紹介してきたものから、どこまでリアルなんだとお思いだろうが、案外違う。
グラフィック等はリアルだと前述したNPCに関してだが、シナリオやクエストに関係のないNPCには会話パターンが決まった数種しかなく、PCへの好感度管理は単純で、どんな物や1ゲーム内通貨でもあげると好感度が少量上昇する杜撰な仕様。
MMOで超広大なMAPを管理する必要があるからか、時々テクスチャが抜けたり当たり判定が抜けてMAPの底……通称“奈落”へ落ちたりが発生する。
特に奈落落ちするのはPCだけでなく、NPCもである。 特にその現象が初確認された頃はシナリオやクエストに関係するNPCが消失したと事件として扱われたほど。
後にアップデートで対応されるまで、イライラさせられるユーザーが多かったとか。
他にも銃撃戦不可能バグや農場全滅バグや惑星大地震(笑)事件や宇宙船オールジャックバグ、他にも多数。
リアルに寄りすぎて面倒過ぎるゲーム性と、前評判とのひどい落差と、あまりにもあまりにもなヤラカシが起きたこのゲームは、ゲーム史に残るクソゲーの代表作として今も語り継がれている。
主要登場人物∶
……………………。
………………。
…………。