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【転移63日目】 所持金2兆1240億1170万ウェン「愛が愛着に勝てる訳がない 。」

ミュラー翁が来た。


正直、こんな野蛮人を招き入れたくないのだが、一応ここ大使館だからな。

流石に本国の軍務大臣までは追い返せないわな。



『大臣就任おめでとうございます。』



「いや、違うんじゃよ。

ワシは嫌だったのに、ハウザーの息子が勝手に閣僚名簿に載せやがったの。

少しは相手の都合ってモンを考えろよってなあ。」



『まあ俺も勝手に財政顧問に指名されてましたし。』




「あ、それワシの推薦だから。

礼には及ばんからね、ワシなりの感謝の気持ち(ウインクパチ)。」




…少しは相手の都合ってモンを考えろよ。




「それでね、それでね。

何故だか分らんのだけど、カネが足りないみたいなのね?

理由はわからんけど。」




『ミュラー卿の三公七民が連邦全土に広がったからじゃないですか?

実質年貢取って無いんだから、そりゃあ収支も悪化するでしょう。

幾ら足りないんですか?』



「それが聞いて驚け!

何と2500億ウェンもの!」




『コレット、袋詰め頼む。』



「はい♪」




==========================



【所持金】


2兆1342億9170万ウェン 

1兆8842億9170万ウェン 



※2500億ウェンの追加予算を連邦政府に投入



==========================




『じゃあ、話は以上で宜しいですか?』



「うん、終わりー。」



『では、本日はお疲…』



「ちょっと待って!」



『はい?』



「本題に入らせてよ!」



『まだ何かあるんですか?』



「折角自由都市に来たんだから!

少しは遊ばせてよ!

いや、てっきり君が街を案内してくれると思ってからさあ。

ほら、女とか買いたいじゃん!

そこら辺、君に案内して貰う気満々だったからさあ!」



背後の母娘の怒気が高まる。

おいおいおい。

俺に矛先を向けるなよ。



『いや、予算の話でしょ?』



「そんなん建前やん!!

国事を口実に女遊びをしにきたに決まってるやん!

遊ぼうよ!

若いんだから!!」



『ですからー。

俺は障害者なんですよ。

見て下さい、脚が全くたたない!』



「でもチ〇ポは立つじゃろ?」



『…まあ一応は。』



「じゃあ、オールセーフじゃね?」



『いや、自分の脚で歩けないんですよ!?

どこにも行けませんし!』



「え? 行けばよくね?」



『ですから!  足が全く動かないんです!

左手の握力も殆ど戻らないし!』



「ゴメン。

君が何を問題にしとるのかワシにはわからん。」



『いえ、つまり障害が如何に人間の活動を制限するかについてをですね!』



「…君、アホちゃう?」



『はい?』



「君、金持ちなんだから誰かに背負わせればよくない?

ってか輿でも雇ったら?」



『さっきも言ったじゃないですか!

今は寝たきりという設定なんです!

各国当局者にベッドから動けないと宣言してしまっているのですよ!』



「…君、アホなん?

ベッドごと運ばせたらええじゃろ?」



『いや、そんな!

何を言ってるんですか、貴方は!?

非常識でしょう!

大体、道が通れませんよ!』



「…なあ、今更君の道を塞ぐアホがどこにおるの?」



『い、いや!

ここはソドムタウンの中心ですよ?

名だたる大企業の馬車や、公人の車列だって頻繁に通ってるんです!』



「?

むしろ、そいつらが率先して道を空けてくれるんじゃない?」



『すみません。

ミュラー卿が何を仰っているのか本当にわからないのです。』



「あ、こっちこそゴメンね。

君が何を悩んでるのかワシにはさっぱりわからん。


君、勝ち確やぞ?

何を悩む?」



『この身体で勝ちも何も無いですよ!

正直、敗北感しかないです!

外にも出られないし!!』



「え?

出たいの?」



『出たいに決まってますよ!

俺、この街に来てから殆ど家の中でリハビリか寝たきりでしたし!

そりゃあ許されるなら外の空気を吸いたいに決まってるじゃないですか!』



「じゃあ、君が許せよ?」



『お、俺が許す?』



「だって、もう君に指図できる奴はどこにもおらんもの。

君が君にちゃんと指図しなさいよ。」



『…いや、俺が好き勝手したら

みんなの負担も増えるし。』



「じゃあ、その分の臨時ボーナス払えば?

カネ、余っとるんだろ?」



『まあ、金銭的には

正直、かなり恵まれてるんじゃないでしょうか。』



「あのなあ。

抱えすぎ!

君は何もかも抱えすぎ!

だからそんな辛気臭い顔をしとるんだ。

世界一の大金持ちの癖に。」




『俺が…  抱える…』




「あのなあ!

男の目的は女とヤルことじゃよ!


世の中の皆が戦争したり仕事するのは何の為?

セックスする為じゃろがい!


必死でカネを集めるのは何の為?

セックスする為じゃろがい!!


…あ、奥方も御母堂もそんな顔しないで。

割とマジな話じゃから。


コリンズ君は金持ちなんだから、ベッドごとチ〇ポを運ばせて女を漁ればいい。

一々布団を敷く手間が省けるから一石二鳥でしょうが!!」




暴論なだけに精神に対して突破力がある。




『…ベッドかぁ。

その発想は無かったわぁ。』




「君、若いんじゃから。

もっと柔軟に考えなきゃ駄目よ?

固定観念、ダメ絶対。」




『なるほど。』




「うむ、若者が理解してくれてワシ嬉しい!


じゃあ、早速女を買える店に案内してよ。

どうせなら、普通じゃ買えない最高級の女がいいねえ。

うん、自由都市を象徴する高級女郎を買いたい!!」



『いや、俺は結婚してるし。』




後ろで母娘が表情を輝かせる。




「じゃあ、奥方達も連れてったら?

どのみち、側室を置くんなら奥方の指揮下に入るんだから。」




おおー、この辺マジで封建社会の考え方だな。



『なあ、コレット。

俺、ミュラー卿を案内してみるよ。

君らも来るか?


いや、来てほしいな。

共有して欲しい見聞も世の中にはいっぱいある。』




勿論、母娘の笑顔は失せた。




==========================




もはや、狂気の沙汰としか思えないが…

俺のベッドとミュラー卿の騎馬が並んで大通りを進んでいる。



「なんか葬儀の出棺風景みたいじゃなw」



と縁起でも無いジョークを飛ばされるもスルー。

急遽駆け付けてくれたグリーブが先触れを務めてくれる。




途中、リスケしていた皆様がベッドに近寄って来たので

寝たまま挨拶する。



『いやあ、我が国からミュラー大臣が来られましたので

皆様とお繋ぎ出来ましたら、と。

何せ情勢が情勢ですから。

いやあ、こんな体勢で恐縮です。』



上半身だけ起こす事も可能だが、それをしてしまうと今までの説明と矛盾してしまう。

あくまで天を向いたまま、俺は大通りを進む。




《5500億ウェンの配当が支払われました。》




途中で配当がベッドに溢れたので、隣にいるコレットのポーチで保管して貰う。

女遊びと聞いて不機嫌だったのだが、こういう狂騒では鬱憤が晴れるのか、やや表情が柔らかい。




==========================



【所持金】


1兆8842億9170万ウェン 

  ↓

2兆4342億9170万ウェン

  ↓

2兆4340億9170万ウェン



※5500億ウェンの配当を受け取り。

※総額2億ウェンを謝罪費として周辺住民に支払



==========================





「えー、何ココ?」



『総合債券市場です。』



「はー!?

もう仕事の話は終わったじゃろ!

早く遊びに行こうよ!

ワシ、女が居ないと嫌だよ!」



『まあまあ。』



何人か顔見知りの職員が居てVIPフロアに通される。

というより、一般フロアではこのベッドを展開出来ない。


不満そうな表情のミュラーだったが、目の端でウェイトレスを捉えた瞬間に全てを悟り満面の笑みを浮かべる。

ここら辺は流石に歴戦の勇将の観察眼である。




「ははははは。

コリンズ君、若いのにわかっとるじゃないか。

フハハハハ。」



『あの、ここハニートラップ機関ですよ。

海外の要人から情報を引き出すのが目的の施設なんです。

だから俺もここは避けていたのですが。』




そこまで言ってから、既にウェイトレスが接近していた事に気付く。

見ればこの前のヒルダ系であり、顔面からダラダラと脂汗を垂らしている。

まあ、俺が彼女の立場でもそうなるだろう。




「あのなあ、コリンズ君。

ハニートラップを回避するのは簡単じゃぞ?

普段から国政に興味を持たなければいい。」




斬新だな。

そんな閣僚イランけど。




『いや、ミュラー卿は軍務大臣でしょう?

その人の思考や価値観を知られるだけでマズいんですって!

次の戦争計画とか悟られちゃいますよ!』




「いや、戦争する時に一々計画とか立てんじゃろ?」



『いや! 普通立てるでしょう!?』



「え? そうなん?

ワシ、若い頃からそんな細かい事、したことないけど?」



『いやいや!

戦争計画も無いのに、どうやって軍事行動を起こすんですか?』



「そんなんノリやぞ?

暇じゃったら兵隊集めるし、ムカついたら攻めるし。

殺し飽きたら領地に戻るし。

みんなそうしてるんじゃないの?」



『いや、原始時代の人とかでも

もうちょっと考えて行動してたんじゃないですかね?』



「ほーん。

みんな大変やね。


まあ、いい。

じゃあ、ハニートラッププレイを楽しみますか!


コリンズ君! お代は任せた!」



言うなりミュラー卿はずかずかとウェイトレスの群れに割って入り、品定めを開始する。

力づくで服を破いたり、制止したウェイターを殴り倒したりと好き放題である。

このジジーに限ってはプロファイリングの必要ないと思う。




ヒルダとコソコソと密談してたヒルダ系が憮然とした表情で俺に各種資料を渡してきた。

この2人に挟まれると心理的プレッシャーが凄いな。




『あー、連れが御迷惑をお掛けします。


さっきのハニー云々の放言ですけど。

俺は別にクレームを入れに来た訳じゃないですから。

えっと、自由都市的に買って欲しい債券、買って欲しくない債券があれば、御指示に従うつもりです。

一応、上の人に確認とって貰いますか?』




==========================



【所持金】


2兆4340億9170万ウェン

   ↓

2兆1240億9170万ウェン

  ↓

2兆1240億1170万ウェン



※自由都市海洋開拓債を1000億ウェン分購入

※第2次自由都市未来テック債を1000億ウェン分購入

※首長国臨時戦時国債を1100億ウェン分購入


※チップ(迷惑料)として総額8000万ウェンを従業員全体に譲渡。



==========================




「ねえ、リンも色々な女の人と遊んでみたいと思うの?」



『たまに思うよ。』



「私のこと、嫌いになったりしない?」



『それはないな。

愛が愛着に勝てる訳がないから。』



「…私、負けてもいいから愛されたいよ。」




…女は本当に難しいな。

【名前】


リン・コリンズ




【職業】


(株)エナドリ 創業オーナー

駐自由都市同盟 連邦大使 (辞任申請中)

連邦政府財政顧問




【称号】


ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒




【ステータス】


《LV》  29


《HP》  (4/4)

《MP》  (5/5)


《腕力》 1

《速度》 2

《器用》 2

《魔力》 2

《知性》 4

《精神》 7

《幸運》 1


《経験》 20億9008万6938ポイント


次のレベルまで残り10億6745万1554ポイント 




【スキル】


「複利」


※日利29%  

 下10桁切上




【所持金】


2兆1240億1170万ウェン



※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有

※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有

※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有

※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有

※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有

※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有

※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有

※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有




【試供品在庫】


エナドリ 4322ℓ

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここのところ十話くらいの閉塞感を野蛮国のジジイが吹っ飛ばしてくれた まあこの状況にしたのもジジイだが [気になる点] 溢れた配当がコレットのポーチに収まるのか。重くない?
[一言] お、遂にHPが4/4に戻りましたね。 足はどうなったかな?
[一言] いい爺だ、臆病風が過ごしても治るといい。 アホの臆病者にプライドが高く、無計画に世界を取る気の男(勝手な私見です)
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